第17話 日本1を決める戦いが幕を開けた

「よし…… マウスも充電MAX、エナドリも用意したこれでおっけー」


 大会の直前、俺は準備がバッチリか確認していた。

 今までも大会は何度か出ていたが、今回のような強い人たちと戦うのは初めてで少し緊張感がある。

 俺は大会が始まるまで、大会運営が動画サイトで配信しているのを確認した。

 ページを開くと、このゲームの実況をしている『TAKI』と『AREN』が話していた。


「え〜 みなさんこんちにわ!! 俺の名前はTAKI!!  ARENと一緒に実況していくぜ!!」


「ルールは撃ち合いモードで1本先取、トーナメントは事前に送ってもらったメールの方に送信したからそれを確認したのちに、プライベートモードを作ってくれ」


 ピコンと俺の携帯に通知がきた。

 俺がメールを確認すると、トーナメント表があった。

 俺の相手は今回のランキング14位、あっき〜だった。


「あっきーって確か、この前4人がかりで俺に喧嘩売ってきたやつかよ…… またボコすのか……」


 相手は先日、俺がテスト終わってストレスが解放された時に喧嘩を売ってきたやつだった。

 仲間の4人で俺に挑んできたが、俺がボコボコにしたらSNSをブロックして逃げたダサいやつだ。


「まあ誰でもいいわ、彩音とあいうえの誰か…… それと3位だったやつは俺が何回戦で当たるんだろ」


 俺は今の相手なんかどーでも良すぎて、強いやつはどこかと他の人の対戦表を見た。

 彩音はまさかの別ブロックで、当たるのは決勝戦だった。


「うわマジか…… まあでもあいつは絶対にくるだろ……」


 諦めて他の強い人を探していると、俺のいるAブロックでは有栖ちゃんと戦うことになりそうだ。


「えーちゃんってか、有栖さん…… スナイパーアジア1位か…… ラスボスすぎねーか」


 俺がトーナメントを確認していると、もう1つ運営からメールがきた。

 そのメールには、1回戦の実況マッチはあなたの試合ですと記載されていた。


「は?? 嘘だろ……」


 実況マッチは勝者インタビューのコーナーがある。

 俺はネットに声を出していないので、アンチの皆さんに声を聞かれてしまう。

 どーせ俺の試合なんて誰も見たくねーだろうし、適当に規約もろくに読まずに適当にチェックしたのが裏目になった。


「まあいっか、どーせ世界大会で顔もバレるし 僕はクソガキボイスの高校一年生ですよ〜」


 俺は独り言を言って、プライベートマッチを開いてあっきーを招待した。

 よろしくお願いしますとお互いがメッセージを送ったのち、装備選びの画面に飛ばされた。

 俺は得意のアサルトライフルを選択し、チェックボタンを押した。


「ARENさん、今回の試合はどう予想しますか??」


「そうですね…… やっぱりYUUはソロ最強ですから、このリゾートの地形を活かせるかが鍵でしょうか……」


「なるほど、解説ありがとうございます!! では試合開始だ!!」


 ピピーと音が鳴り、試合が始まった。















 

 今回は南国をイメージして作られたマップ『リゾート』。

 ビーチや海など、まさに観光地のような地形で戦いにくいが、風景が綺麗で人気のあるマップだ。



(さて…… どう動くか……)


 俺は海の家の上からスコープを覗き、周辺を確認していた。


(砂浜に足跡ついてないから、逆側の森の中かな だるいな……)


 森の中はツタや苔などリアルに再現されていて、迷彩服などを着ていると判別しにくい。

 だが迷彩服は装備なのにも関わらず、購入ポイントが高い。

 よって、武器はあまり強いのが使えないという弱点もあるので一概にも強いとも言い切れない。


 まあ俺に正々堂々挑んで敗北してんだ、流石に安全な動きにした方がいいと判断したんだろう。

 俺は装備をカバンにしまって、海の家から降りて森側に向かって走り出した。



 森の中に着くと、そこには足跡があった。


(あっきーは大型の体型キャラを使う、隠れるにはあまり向いてないがどこに隠れた……)


 俺は周囲を確認したが、あっきーの姿がどこにも見えない。

 それに俺の姿を見て奇襲してこないのも不自然だ。

 俺はさらに森の中を進んだ。


 少し進むと、そこには滝があって水飛沫が上がっていた。


(やっぱりここって神秘的だよな〜)


 俺は大会だって言うのにも関わらず、棒立ちをして滝を眺めていた。


「チャンス!! ここだ!!」


 俺が滝を見ていると、後ろからカサッと何かが動いた音がした。

 俺はその方向を見ずに、滝の方を見ていた。


 後方からミニガンの弾が無数に放たれた。

 俺は弾丸が飛んでくる瞬間、走り出して木の裏に隠れて回避した。


「見えていたのか?? なあYUUさんよ〜 背中から狙ったのに見てから回避なんてやっぱりチート使ってんだろ??」


「お前程度のカスに使うほどじゃねぇだろ、つか俺がお前の存在に気づいてないとでも思ったかよっ」

 

 俺は木の裏から顔を出し、滝の裏にある木の上でリロードをしているあっきーに向けて、アサルトライフルを打ち込んだ。

 銃弾があっきーの右腕に当たり、大ダメージを与えた。

 あっきーはカバンを回復アイテムを使いながら、走り出して俺から距離を取った。


「っくそぉ…… 今ので半分持ってかれた……」


「いや、半分で済むわけねぇだろ」


 俺は木の上をつたり、あっきーが回復アイテムを使っているところに奇襲を仕掛けた。


「は?? なんでここに……」


「なんででしょうね〜 不思議だよね〜 まあさよなら……」


 俺は呆然としているあっきーの頭に、アサルトライフルの銃口を頭に当てて銃弾を放った。

 あっきーのアバターがゆっくりと消滅して、俺の画面にYOU WINの文字が表示された。


 

 



※後書き

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