第13話 しょーぶしよ!! お兄ちゃん!!

 目覚ましの音で目が覚めた。

 時計を確認すると土曜日の昼12時、昨日は遅くまで開幕ランキングをしていたので寝不足だ。


(とりあえず最高ランクにはいけたからよかったけど…… 眠すぎる……)


「ふぁぁぁ…… なんとか起きた…… お腹すいたし、昼ごはんでも食べるか……」


 俺は寝巻きのまま部屋を出て茶の間へ向かった。


「あ、お兄ちゃん おはよ〜」


 茶の間に着くと、彩音がミートソースのパスタを食べていた。

 彩音は白いブラウスにスカートを履き、私服に着替えていた。


(似合ってるな……)

 

 俺は朝寝ていて、何も食べていなかったので不意にお腹の音がなった。

 恥ずかしくなり、俺はそっと後退りをすると彩音が袖を掴んだ。


「生理現象だし仕方ないよ…… お兄ちゃんの分は冷蔵庫にあるから電子レンジで温めて〜!!」


「あ、ありがと……」


 俺は冷蔵庫を開けた。

 冷蔵庫の中を見ると、ミートソースパスタがラップに包まれて置いてあった。

 俺は電子レンジの時間を1分30秒にセットして、彩音の座っていたテーブルの向かえ側の椅子に座った。

 俺がスマホでSNSを見ていると、彩音が口を開いた。


「そういえば、今日お母さんがお友達の人と遊ぶみたいで夜ご飯を用意しないみたいだけど、何か食べたいものある??」


「いや特には無いな……」


 俺がそういうと、彩音は俺にスマホを見せた。

 そこにはファミリーレストランのお食事券があった。


「なら、近所に最近できたファミレスへ行こ〜」


「まあ確かにファミレスなら、好きなもの食べれるし、そうしようか」


「うん!!」


 そんな会話をしているとパスタが温まり、電子レンジの音が鳴った。

 俺はパスタを取り出し、フォークでパスタを食べ始めた。


「おいしいな…… これって彩音が作ったの??」


 俺が彩音にいうと、彩音はえへへと照れたような表情をした。


「ソースは手作りだけど、麺とか茹でただけだけどね〜」


「このソース手作りなんだ…… すごいな……」


 俺はカップラーメンしか作れないレベルの料理センスしかないので思わず感動してしまった。


(ゲームも最強で家庭的とか…… 無敵かよ……)


 俺は改めて彩音が完璧な人だと思った。

 整った容姿に家庭的で明るい、俺とは真反対な性格だ。

 俺はいろいろ彩音に劣るなと思い、思わずため息をこぼした。


「どうしたの?? お兄ちゃん、浮かない顔をして」


「いや…… なんでもない…… それより今回のランキング戦はやるの??」


 ため息をしたことで、なんとなく気まずい感じになったので俺は話を変えた。


「ん〜 どうしようかなって感じ、一応みんなで回して最高ランクには行ったけど、ランキングを走るかは決めてない!! 今のマップがあんまり好きじゃ無いからさ〜」


「確かにレーザータウンはゴミマップだよな」


 レーザータウン、それは俺たちがやっているFPSゲームで、もっともゴミと不評判のマップだ。

 理由は遮蔽物が少なく、戦いずらいのにも関わらず入り組んでて移動しずらい。

 SNSや動画サイトでこのマップが公開された初日にはゴミ、消せ、いらないと散々叩かれに叩かれまくった。

 このゲームの運営は何を思ったのか、今回再びランク戦に使われることとなった。


(彩音もレーザータウン嫌いなのか…… 本当になんでこのマップにしたんだよ……)

 


「まあでも今回から、ランキング戦が撃ち合いモードに変わったのはいいけどね〜」


「それは俺も思うわ!! 運営よくやった!!」

 

 そして今回のランキング戦だけ、試験的に撃ち合いモードの変更になった。

 変更理由は、今回の世界大会が撃ち合いモードでの戦いになることが原因とされている。

 正直、陣取りモードよりも撃ち合いモードの方が人気あった。

 散々プレーヤーから変更を求められていたから、これはいい調整だと思う。


「そういえばお兄ちゃん、再来週の大会に出るの??」


「うん 彩音も運営から招待されていたよね??」


「そうなんだよ〜 だからみんなで練習はしてる!!」


「まじか、なら今回の大会は1対1だし、絶対に勝つ」


 俺は彩音に勝利宣言をした。

 この間は負けたが、あれから練習もしたし『世界初ソロ称号持ち』として負けるわけにいかない。


「そうだね、私も応援してくれる人たちのためにも、そしてお兄ちゃんにも勝ちたいから頑張るよ!!」


「おう、絶対に負けねぇ!!」


「んじゃあさ、お兄ちゃん!! この大会で総合順位低かった方が罰ゲーム的なのしない??」


 彩音が面白い提案を持ちかけてきた。

 個人戦である以上、結果は己の実力のみで決まるから断る理由もない。


「いいよ、罰ゲームの内容はどうする??」


「ん〜 まあ結果が出たら発表で!!」


「わかった、ならそれで」


 俺は彩音の前に握り拳を持っていった。

 彩音もそれに気づいて、手をグーにして俺の拳にくっつけた。


「えへへ」


「どうした??」


「いや、お兄ちゃんとこんな感じでゲームするの、昔みたいで懐かしくて嬉しくて……」


「……そうか」

 

 俺たちはそれぞれの部屋に戻り、夕方まで大会の練習を始めた。

 

 





※後書き

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