プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。

第11話 お兄ちゃん…… しよ……

「ってことがあったあよね〜　お兄ちゃん！！」

　彩音の話を聞いて、俺も昔のことを思い出した。

「そう、だな…… あの頃の確か彩音は、人と話すのが苦手だったよな」

「そうだったね〜　今となっては笑い話だよ〜」

　あの日から彩音は、日に日に友達を作る努力をした。

　俺は昼に散々な目にあったが、優しい友達と一緒にいる姿を見られて俺は嬉しかった。

「本当に、しばらく顔を合わせないうちに彩音は友達が増えていて、俺は嬉しいよ」

「みんな、お兄ちゃんにアドバイスもらってからできたんだよ〜」

「そっか……」

　俺がそう言うと、彩音は僕の頭を撫でた。

「ちょ……、何するんだよ……」

　恥ずかしくなって、手を避けようとしたが彩音はその手を止めなかった。

（撫でられるたびに反抗心のようなものがなくなってきた、最初はなつかないペットが飼い主に撫でられるたび、懐くようなものなんだろうか……）

「私はね、お兄ちゃんが見せてくれた新しい世界が好きだった　いろんなものを私に見せてくれたよね……」

「まあ、なんでも楽しそうにしてたよね」

「そんなお兄ちゃんが、昨年…… 私の前から姿を消したの」

　昨年、俺が不登校になったのはFPSゲームにはまったことが原因だ。

「私は悲しかった…… ずっと背中を追ってきたお兄ちゃんに会えなくて……」

「……」

　正直、その頃の俺は中学生で反抗期。

　彩音や母さんの言葉を無視し、ひたすらゲームに没頭していた。

「そんなある日　私は、お兄ちゃんがお風呂に入っている時に部屋の中を覗いたの……」

「ちょ、まさか……」

「いや、ノートも見たけど……　FPSゲームのソフトが置いてあったの」

（見たのかよ、あのノート……）

　中三の時、当時FPSキッズだった俺は『ダークネスドラゴンキング』という厨二病ネームでゲームをしていた。

　友達もいないボッチの俺だが、１００人を超えるクランで世界最強のプロゲーマー（妄想）の設定ノートを自分で作っていた黒歴史があった。

「そして私は、お兄ちゃんと同じゲームを私は家庭用ゲーム版で買ってみたの」

「……う、うん」

「そのゲームは面白くて、私の探してた『楽しい』を見つけたんだと思った」

　俺はその言葉を聞いて、嬉しくて涙が出てきた。

　ポロ、ポロと出る涙は、彩音のシャツを濡らしてしまった。

　慌てて、彩音から離れて僕はティッシュを取りにいった。

「ごめん……」

　箱テッシュを持って横に座ったのち彩音の服を拭こうとすると、彩音は上着を脱ぎ始めた。

「ちょ、ちょ、ちょ待て待て」

　俺は慌てて止めると、彩音の制服のシャツの下から体操着が出てきた。

「今日体育だったから体操着きてたの、さすがに恥ずかしいから下に着ていなかったら脱がないよ！！」

「そ、そうだよね」

　流石に期待したわけではないが、危うく僕のマウス（意味深）が凄いことになるところだった。

　理性を取り戻し、横に座ると彩音はキョトンとした顔で不思議そうにしていた。

「うん で、さっきのお話を俺にき、聞かせてくれ……」

　俺は悟られないよう、話を変えた。

「ん？？　まあ続けるね？？　そしてみんなで頑張って、練習していくうちに配信サイトからのオファーなんかもきてモチベーションにもなった」

「たしか『あちゃん』は活動した時から、ランキング１０位くらいだったはず」

「よく覚えてるね！！　お兄ちゃんは私のことなんでも知ってるね！！」

「ま、まあな…… ど、ドヤ！！」

（言えない…… ガチ恋勢でした〜なんて……）

　俺は冷や汗をかきながら、ドヤ顔で誇らしそうに言った。

　彩音が笑顔で笑ったのをみて、余計に汗をかいてきた。

「私がアジアで１番になったら、このゲームが大好きなお兄ちゃんは昔みたいに遊んでくれるって、配信会社の人に教えてもらったから頑張れたんだよ！！」

「そ、そうか…… なんか、うん…… これからは一緒に遊ぼう……」

「頑張ってよかった、ありがとう　お兄ちゃん！！」

　いや、そんなことないし、多分配信頻度を上げることでたくさん広告を出そうと嘘を彩音に言ったんだと瞬時に思った。

　まあ生活に支障を与えることなく、１位になれそうな彩音の才能に目をつけたんだろうとも取れるから、まあツッコミを入れないでおいた。

「あの…… お兄ちゃん……」

「ん、どうしたの？？」

　彩音はメモ帳のようなものを開いた

「……しよ？？」

「ん？？」

　俺がそう言うと、彩音は僕の体を倒してベッドに倒した。

（ちょちょちょ、まてまてまて……）

　僕は完全にXXXする流れだと思って、頭が真っ白になった。

　中学生とするのはまずいし、義理の妹だし余計に人生終わるVS世界で一番好きな配信者の推しとXXXできるが脳内で戦争していた。

「あの…… 彩音さん、そう言うのは……」

　俺が体を起こして、彩音の方を見ると彩音はメモ帳を読んでいた。

「お兄ちゃん、この後ってどうするの？？」

「え？？」

　俺は何言ってるのかわからなかった、彩音はメモ帳を見せてきた。

「これ、うーちゃんがお兄ちゃんと仲良くなる完全攻略って教えてもらったんだけど……」

　彩音のメモ帳には、最初の甘えさせる動きからさっきのまでの行動が事細かく書かれていた。

「……これって、緋奈ちゃんに教えてもらったの？？」

　俺がそう言うと、彩音は笑顔で頷いた。

　俺は彩音の方をポンと触った。

「これだけは言っとく、怪しい人には騙されないでね……」

「ん？？わかった！！」

　俺はそのまま彩音を部屋の外に連れていって、メモ帳の緋奈ちゃんが書いたところをちぎってから、部屋の鍵をかけた。

「ちょっと、お兄ちゃん急にどうしたの〜　開けて〜」

「早いけどなんか眠くなってさ、明日また話そう」

「わかった　おやすみ〜」

　彩音を外に出しのち、僕はPCを起動した。

「あのガキこら…… 大人を舐めやがって……　まあでも、彩音が１位を目指してた理由が知れてよかった……」

「……そこまでして俺に会いたかった…… いやいや、考えすぎだ……都合のいい解釈だよな〜多分」

　俺は独り言を言って、SNSで『あちゃん』が１位となった投稿におめでとうのメッセージを送った。

※後書き

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