第8話 新たな目標

 俺は驚いた衝撃で転びそうになった。


「大丈夫??にいちゃん」


 緋奈ちゃんが、俺の体を支えてくれた。


「ああ、ありがとう」


 俺は東寺に渡された水を飲んで落ち着いた。


「んで、さっきのアレみたいに俺を試すいじりとかじゃないですよね……」


 俺がそういうと、美佳ちゃんは呆れた顔をした。


「そんなに私が信用なりませんか??」


「ああ、そりゃ、さっきあんなに心を痛めつけられたらな」


 俺がそういうと、美佳ちゃんは頭を下げた。


「さっきの件はすみませんでした、私の言い方がわるかったです」


 素直に謝ってくれたので、俺の怒りは収まった。


「まあ、ネットでアンチが多いのも事実だし あんな記事もみるよな……」


 俺はよくSNSで炎上する。

 理由は単純にコラボの誘いなどは有名人であっても全部断るし、ソロで余裕みたいな投稿をするので『仲間をなんだと思ってるの??』、『駒のようにボイスチャットで指示するからうざい』など自分の言動によるものなので、美佳ちゃんに怒りを感じたのを冷静に振り返ると俺が一番悪いのかもしれない。


「はぁ……」


 俺は思わず、ため息をしてしまった。


「まあ、その件はもうどうでもいいや んでさっきの俺が『Fighters』にってのはどういうこと??」


 俺がそういうと、美佳ちゃんはスマホを俺に見せてきた。


「ここが今話題のところですね」


 見てみると、そこにはNAサーバーで活動してる『Fighters』のキャプテン『Larry』が視聴者からの質問に答えている場面だった。

 身長2m、茶髪センター分けに整えてある顎髭の似合う大男はカメラ写りも良く、まさにハリウッド俳優のようだ。




「Asia Featured Player??(アジアの注目の選手??)」


「aiue knight these two teams(あいうえ、ナイトの2チームかな)」


「Come to think of it, won't he be attending?(そういえば彼は主席しないの??)」


「He is the 2nd solo player in Asia (アジアで二番目に強いソロの彼)」


「I think 2nd place solo is amazing, because no one has ever been in the top 3. (トップ3に入った人が今までいなかったのにソロ2位、俺はすごいと思うよ)」


「I want to fight him in the world championship(彼とも世界大会で戦いたいよ)」


 俺はこの動画を見て、全身に鳥肌が出た。


(Larryに俺が認知されてる!!やっぱり頑張ってよかった~)


 俺はにやにやして、スマホを美佳ちゃんに返した。


「そんなに嬉しかったんですか」


「そりゃそう、なんたって『Larry』はこのゲームで世界1のチームのキャプテンなんだから 嬉しいに決まってる」


 俺がそういうと、有栖ちゃんがこっちにきた。


「……でも、世界大会はチーム戦…… 3人集めないといけない……」


「あ……」


 重要な課題がそこだった。

 いくら実力があろうと、あくまで4対4の対人ゲーム、ソロで世界大会に出るなんて不可能だ。

 

 それに俺のトラウマ、世界大会で通用する強さの人との人脈などの問題がある。

 俺はチラッと、3人の方を見た。


「……いや」


「無理です」


「ベンチならいいよ!!」


 俺が発言するより先に、3人に断られた。


「まだ、なんも言ってねぇよ」


 まあ最初から無理なのは知ってた、なぜなら4人の団結力で圧倒的の勝率を誇っている。

 誰か欠けるだけでチームとして成り立たなくなるのは、古参の元ファンなので理解していた。


「……じゃあ、どうしたの??」


 俺は有栖ちゃんの言葉を聞いた瞬間、3人に土下座をした。


(情けないがこれしかない)


「お願いします、一緒に出てくれそうなリスナーの人とか日本トップ勢を紹介してください!!!!」



 俺がそういうと、3人は冷たい目でこっちを見てきた。


「にいちゃんってプライド??っていうんだっけそういうのないの??」


「中学生に頭を下げる男子高校生……」


「嘘ですよね……」



 なんと言われようがこれしかない。

 というのもこの子たちは、配信サイトでの顔は日本で一番広い、そんな彼女らなら強豪選手と繋がっていてもおかしくないだろうと思った。


 俺が頭を下げた状態でいると、教室のドアが開いた。


「え??」


「みんな~ なんでお兄ちゃんの学校の裏校舎にいるの~ また、うーちゃんの探検か…… って えええ、なんでお兄ちゃんが土下座してるの??」


 教室にきたのは彩音だった、彩音はびっくりした表情でこっちにきた。


「こ、これはちが、違うんだ彩音」


 俺がそういうと、緋奈ちゃんが彩音の近くに行った。


「あやねん~ そうなんだよ、さっきね にいちゃんが有栖の下着を見ようとしてたんだよ~」


「え??」


「……怖かった」


 彩音は緋奈ちゃんや、有栖ちゃんの言葉を聞いて、まるで汚物を見るような目で見てきた。


「ち、ちがう!! それは誤解だあああああ」


 俺は大きな声でそう言った。

 大きな声は教室の中に反響して旧校舎の中に響き渡った。







※後書き

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