第7話 年下の女の子に罵倒されたんだが……

 ドン、拳銃の音が鳴って俺は咄嗟に体制を低くした。


「ひゃ、 な、なんだよ……」


 俺は頭から急に水をかけられたので、情けない声を出した。


「お前、疲れてるって…… 2年の徒競走の音に何びっくりしてんだよ……」


 東寺は呆れながらそう言った。


「え、あ ……そうだよな、ははは」


(やべ…… ハンドガンの銃声に聞こえて咄嗟にゲームでやるいつもの動きになってしまった……)


 ゲームのやりすぎで、現実に支障が出ると聞いたことがあったが、まさか自分がなるとは思わなかった。


「まあ、お前は選手としては出ないから 保健室で寝てろっ」


 東寺は俺に未開封の水を投げて渡した。

 正直朝の寝起きも悪かったし、今日は土曜日の朝10時。

 ゲーマーなら確実に寝てる時間で、ガチで眠くて仕方なかった。


「そうさせてもらう、水ありがと」


「うい!!」


 俺はサボりも含め、保健室へ向かった。


(やべ、眠いし寝るか~)


 今日は体育祭、怪我人とばったりあったら気まずいので、俺は第2校舎の空き教室に入った。


「ここなら存分に寝られるな、タイマーをセットしてっと よし!!」


 俺は机の上にうつ伏せにの体制になった。





(あれからどのくらい経ったのだろう…… お腹も空いてきたな……)


 そんなことを考えていると、妙な違和感を感じた。

 ガヤガヤと話し声が聞こえた。


「まて、ここは空き教室で今は体育祭、授業の夢か??」


 俺がひとりごとをいうと、耳元で誰かが囁いた。


「現実だよっ」


 金色の髪が俺の横顔にあたった。

 女の子の声が耳元で聞こえびっくりして、俺は椅子から転げ落ちた。

 ドゴンっといい音がなって俺は地面に倒れた。


「ちょっと、緋奈 初対面の人にいたずらはいけないよ!!」


「ごめん、だってさ~ あやねんのにいちゃんだし、いいかなって~」


「そういう問題じゃないでしょ、あの…… 大丈夫ですか??」


 俺は緑髪にメガネをかけてる女の子に、体を起こしてもらった。


 目を擦って前を見ると、俺がさっきまで寝ていたところにピンク色の髪の女の子が座って携帯型のゲームをしていた。


「あ、おはよ……」


 彼女はそう言って、ゲームを再び始めた。


「ど、どうも……」


(誰なんだ、この人たちは……)


 そんなことを考えていると、メガネの女の子が口を開いた。

緑色の髪で三つ編みの髪型をしている。


「そういえば自己紹介がまだでしたね、初めまして私は『伊吹美佳』って言います」


(一番話が通じそう、真面目な女の子って感じだな)


 次に金髪の子が自己紹介をした。

金髪のツインテールで、水色のピンを付けている。


「次は私、『宇佐見緋奈』!! さっきはごめんね にいちゃん!!」



(俺とは真反対の陽キャ、誰とも仲良くなれるタイプの悪戯好きの子っていう感じか)



 2人が自己紹介した後にもう一人の子が自己紹介をすると思っていたが、その子はゲームをする手を止めないでずっとゲームをしていた。

 緋奈ちゃんがその子の背中に抱きついて、体を揺らした。


「こ~ら~ 有栖~ にいちゃんに失礼だろ~」


((どの口が言うんだ……))


 俺と美佳ちゃんは同時に心の中でそう思った。


「揺れる~ 揺れる~ わかったから うーちゃん、それやめて~」


 自由でマイペースのような女の子はゲームをやめて、俺の前にきた。

ピンク色の髪にウェーブロング、彩音よりも少し長くて腰の辺りまで髪が伸びている。


「私は、榎波有栖です 以上」


 適当な自己紹介をして有栖ちゃんは再びゲームを始めた。


(マイペースな人だなぁ……)


「こら~ 有栖、なんかアピールポイントとかないの??」


「アピールポイントはいいとして、有栖さんも何か一言あった方がいいと思うわ」


 2人がそういうと、有栖ちゃんは履いているスカートに手を当てた。


(ちょちょちょ、何何…… まてまてこれは捕まる)


「んとね、今日履いてるのは……」


 下着が見える直前に、美佳ちゃんが止めた。


「なにしてんの?? お兄さんは彼女もできたことない、ボッチの寂しがりやなんだよ、そんな下着なんて見せたら何されるかわからないじゃない!!」



「ギャルゲーだと、こうすれば好感度が上がるんだけど…… 違うの??」


「違うわよ!!」


(事実だが実際言われると、心が痛い……)


 俺は心が痛んで、その場に倒れた。


「いやおそわねぇよ!! 大体なんでそのこと知ってるんだよ!!彩音か?? 彩音なのか??」


 絶対彩音だと思って、俺は美佳ちゃんにそう言った。


「いや、彩音ちゃんはお兄さんはいい人っていつも言ってたわ」


 美佳ちゃんの言葉を聞いて、2人も頷いた。


「そうそう、あやねんはそう言ってた」


「あやねちゃんは悪口を言わないし、嘘もつかない……」


 頭に血が昇って、咄嗟に彩音のせいにしてしまった。

 みんなの話を聞いて、俺は落ち着いた。


「んじゃあ、なんで……」


 俺がそういうと、美佳ちゃんがスマホを僕に見せた。


「いや…… この前、彩音ちゃんと登校しようとみんなで集まってたら、お兄さんと彩音ちゃんで話してるのを聞いて、お兄さんがソロの『YUU』ってのが確定したんですよ」


(入学式の時か、あれ聞かれてたのかよ……)


「なるほど」


「んで、『YUU』さんについて調べてみると、記事で『彼女できたことない』、『インキャ』、『ロリコン』、『不登校』 その他たくさんの記事があったので、本当なのか試しただけですが、まあ大体あってそうですね」


「ぼっちで有名な にいちゃん!! 元気出して!!」


「……ふぁいと」


(だるすぎる…… もう勘弁してくれ……)


「そ、そうですか……」


「彩音ちゃんにはこのこと言ってないので、ご安心ください」


(安心できるかああああ)


 俺は心に更なる傷ができ、倒れそうになった。


「にいちゃん、どこ行くの??」


「ちょっと外の空気を吸いに……」


 俺がそういうと、美佳ちゃんは俺の袖を掴んだ。


「な、なんですか もう勘弁してくださいよ……」


「いえ、『YUU』さん あなたという確信が付けたので、これだけ言わせてください」


 美佳さんは俺の目を見て、真剣な表情になった。


「昨日、日本時間だと4時頃にあなたは昨年の世界大会王者『Fighters』のメンバーが世界大会に来てほしいと配信で言っていました、なので今年の世界大会に出るのかとネットで話題になっています」


「ええええええええええええええええええええええええええええ」


 俺はその言葉を聞いて思わず、大きな声を出してしまった。







※後書き

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