第42話 最終決戦、ゲンテン

みるみるうちにゴーレムの体が変形していく。

おおよそ石の体でできているとは思えないほどぐにゃぐにゃとだ。

それに呼応すようにダンジョンもグラグラと揺れている。


「……なんだってんだ…」


やがてゴーレムの体がとある形で落ち着いた。

先程より腕が体に比べてとても大きくなっていて表面にマグマのような赤い液体が流れている。


第2形態とでも言おうか、明らかに最初の形とはだった。


「グググゲゲ」


姿の変わったゴーレムは俺の方へゆっくり歩いてきた。

第1形態より速度は格段に遅く、殺気もない。


困惑しながら少し警戒していたところ、突然ゴーレムの腕が天頂から振り下ろされた。


「うぉっ」


かろうじて剣で受け止めることに成功した。

踏ん張っていた足が地面に埋まる程の衝撃だった。


受け止めた後もそのまま力で押し込んでくる。


パワーが桁違いだ……


もう…無理……


「『破壊』」


ゴーレムの横からメイがスキルを放ち遠くへ吹き飛ばしてくれた。


「わんさん大丈夫ですか!?」

「あぁありがとう…」


危うくGAME OVERになるとこだった。


それにしてもこいつ…さっきと挙動がまるで違う……。


俺たちはまたしても痛感した。

これがボスかと。


「きゃぁ!」


気が付くとゴーレムは王子の方へ攻撃を始めていた。

強烈な振り下ろしが王子を襲う。


「メイ!」


まだ足が痺れていた俺は助けを促すようにメイの方を見た。


「……」


何故かメイはこちらに目すら合わせず助けに行く様子がない。


くっ…ここでか……


「待ってろ!」


痺れる足を引きずり、王子の元へ駆け寄る。

ギリギリで耐える王子を、得意の突き攻撃でなんとかゴーレムの振り下ろしを逸らす。

一瞬の隙を付いて2人はゴーレムから距離を置けた。


さて、どうしたものか。


今までの知識や経験は全く役に立たない。

ならばどうすべきか、答えは簡単。


左右の2人に俺は目でサインを送った。

それは俺たちのゲンテン。



脳筋ゴリ押しじゃぁ!!



3人で何も考えずに突撃した。

数の利を活かして様々な方向から乱雑な攻撃を入れる。

確実にダメージは蓄積されていった。


だが、ゴーレムも負けじと腕を振り回す。

腕が地面に触れた途端地割れが発生する程の威力だ。

しかしそんなもの見向きもせずただひたすらに攻撃し続ける。


「はぁぁ!」「『破壊』!『破壊』!!」


「行けえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



俺の斬撃がゴーレムを肩の辺りからヒットし、体が真っ二つに割れた。


「…やっ…た……のか…?」


体はボロボロ、もう1歩も動けない。


これで…クリアだ……


「報酬ですよ!」


メイが素材などが見えた報酬の部屋を開けて中に入る。


…………俺も実は動けたから続いて部屋に入った。


中には隙間から見たよりも明らかに大量に煌びやかなアイテムがあった。

それを見て3人は今1度目を合わせた。

その時、3人の気持ちは一致していた。


「気持ちぃ〜!」


"イクシードの守護神キーパー(ダンジョン)"難易度6

挑戦者«わん、王子、メイ»




-クリア-


--続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る