第24話 一抹の不安、破壊
またまたまたまた地図で示された場所まで歩き、遂に辿り着いた。
ゴブリンの時よりさらに森の奥で、さらに薄暗い。
やはり難易度が上がったということで雰囲気も上がっている。
「う〜怖いです…」
メイが震えながら俺の腕を組んだ。
何か柔らかいものが当たっている気がする。
俺も怖いな〜…女の人が……
「そろそろ来るよ。準備して」
王子はこちらを気にせず装備を着始めた。
俺はずっと着たまんまだから良いのだが一方の装備を着ていないメイは特に動く様子がない。
「メイは装備とかないの?」
「はい!そうなんですよ!!武器を高いの買っちゃってお金無くて…」
「その"武器"って?」
メイは両手を一度ズボンの中に入れ、また出した。
「これです!」
ズボンから現れた拳には、金属のトゲトゲしている物が装着されていた。
「…メリケンサックか……!」
俺は驚いた。
そんな物作れたんだという驚きも勿論あるが問題はそこでは無い。
防具も無しで…メリケンサックだけで戦えるのかという事だ。
やはり不安は残る。
そんな不安をよそにメイと王子は馬鹿みたいに武器を振り回している。
「かかってこんかい!」「やるぞ〜」
不安だ。大丈夫かな。
「ウ゛ウ゛ウ゛」
!?!?
「わん!後ろだ!」
王子の掛け声で、後ろを振り向くとそこには、ゾンビが数匹ゆっくりとした歩みで近づいてきていた。
暗くてあまり分からないのだが、そのゾンビの後ろから何匹も歩み寄ってくるのが見える。
一体何匹いるんだ…
でもやることは変わらない。
「ヘヤッ!!」
俺は先頭の1匹に肩の辺りへ一撃を入れた。
よしっまずは1人!
「まだだよ!!」
前を向くと、変わらぬ姿勢でまだゆっくりと進んでいた。
これが…ゾンビか……
俺の背後で王子も戦闘に入っている。
「頭だ!頭を切り落とせば倒せるっぽい!」
なるほど…それだったら…!
頭を斬……
「ぐわッ」
俺は横に突き飛ばされた。
何だ?何が起こった?
体を起こし前を見ると、そこにはメイの後ろ姿が。
どうやら俺の身を案じ、メイが突き飛ばしてくれたようだ。
だが今度は…メイが危険にさらされる。
「メイ!危ない!」
「『破壊(クラッシュ)』」
メイの頭への打撃でゾンビの頭が宙を待った。
え、強〜
「わんさん!私強くなったんですよ?見てて下さい!」
「『破壊(クラッシュ)』」
ぽーん
「『破壊(クラッシュ)』」
ぽーん
「『破壊(クラッシュ)』」
ぽーん
ゾンビの頭がボウリングのピンかのように弾け飛ぶ。
うん。ナイスストライク。
「やった〜めっちゃ飛んだ〜!!」
俺は…とんでもない娘を仲間に入れてしまったかもしれない。
……いい意味で……ね?
--続く
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