第14話 最終審査、限界

「次の審査はショウでお願いしたい」

「wwww…分かったよww」


この屈辱…次の街に行ったら絶対痛い目見せてやる……


ショウの審査とは…トレーニングで80点以上取る事。


「トレーニングって何なんだ?教えてくれ」


俺はショウにクラウンの時と同じように質問したが、その返答は想像していたものとは違ったものだった。


「嫌だよ?そこも自分で頑張って?」


……もう俺は怒らないよ?

怒りというかもう呆れ...っていうのかな?

どうせこういう奴らなんだって分かってたもん。

うん。そうだ。怒ってない怒ってない…。


な訳あるか!本当に許さない。後で終わらせてやる…あいつら。


でも大丈夫。こんな時の為に1つ策がある。

俺の唯一の友人であり無限のガチプレイヤー…紗来奏多(さらいかなた)に教えて貰おう。

俺は1度ゲームを中断し、奏多に電話をかけた。


電話がかかるまでの間、俺と奏多の関係を説明しよう。


端的に言えば、俺たちは幼なじみだ。

小学校のまだコミュ障とか陰キャとかない時代からの友達で今も、今までもずっと同じ学校に通っている。

俺の唯一と言っていい親友だ。

お互い同じゲームという趣味を持ち日々それに打ち込んでいる。


おっともう繋がったようだ。

説明はこれまでだね。


「もしもし〜どうした?」

「無限についてなんだけど良い?」

「おぉそうか!了も始めたんだったな!」

「そう!で、無限にトレーニングって機能ある?今イクシードに行くために審査受けててそれで80点以上取らないとダメなんだけど」


「……俺はある程度無限のことは知ってるつもりだけどトレーニングとかは聞いたことないな。了お前…騙されてるんじゃね?」


「……やっぱりそうか。何となくそうかなって思ってたんだよね。でもたぶんこの感じで言うと「トレーニングなんて無い」って言ったら審査クリアになるんだと思う」


「大丈夫か?なんなら俺がイクシードの行き方教えようか?」

「いや大丈夫!出来るだけ奏多の助けは借りないようにって決めてるから。奏多に聞いちゃうと楽しみが無くなっちゃうからね」

「そうか!じゃあ頑張れよ!」

「うん。ありがと」

「あ、あとフレンド登録よろしく!じゃね」


電話が終わり、俺は再びVRゴーグルを頭に装着した。

そして、ゲーム画面を認識すると、目の前にはショウ達が立っている事が分かった。


「どう?分かった?」


こいつ俺が誰かに聞きに行くことも想定して…


「あ、あぁ分かったよ」

「じゃあ聞かせてみ?」


ショウは余裕の表情で俺を見る。

俺のストレスの限界値は、とうの昔に限界値に達していた。


「そもそもこのゲームにトレーニングなんて機能はないんだ。だから…80点以上を取る事は出来ない」

「すごいね。そんなに自信もって言えるんだ。随分知識のある人に聞いたんだね」


ショウの嘘を見破ったのにも関わらず、まだまだ余裕の表情は崩さない。


「良いよ。審査クリアだ。あとははぁとだけだね」

「あぁそれはもうクリアしてるよ」


俺はショウ達に一泡ふかせるかのように自信満々に答えた。


「だってさはぁと」

「凄いなわん!いつクリアしたんだ!?」


その問いに俺は無視し、逆にショウに問いかけた。


「で、全部審査クリアだ。教えてくれよ次の街…イクシードの行き方!」


ショウはにっこりと笑って俺の肩に手を置いた。


「いいよ。教えてあげる。ただし…」


--続く

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