第13話 究極の二択、屈辱

クラウンの審査とは、全身の防具を作ること。

俺は防具というまだこのゲームで聞いたことの無い要素についてクラウンに教えを乞うた。


「クラウンの〜防具教室〜!」


クラウンの授業が始まった。

俺は席について先生と黒板(木の板)を眺めた。


「今回は防具について解説していくよ〜。防具とは服とは別に身につけることが出来るアイテムだよ〜。主に2種類あって、1つが通常装備。別ゲーとか漫画とかでもよく見る普通のやつだよ〜。頭と上半身、下半身と足の4種類でプラス素材によって何種類かあるだけだね〜例えば皮とか石とかね〜」


「ふむふむ…」


「そしてもう1つが特殊装備!通常装備に何かしら素材を合成する事で出来るよ〜。明らかに特殊装備だ!って分かるようなのだったり服と見分けつかないものまでたっくさんあるの。しかも特殊装備にはバフ効果やデバフ効果など追加効果も着いてる場合があるの!だからこ~~~」


明らかにクラウンが興奮している様子が分かった。

次第に早口になっていき何処か鼻も高くなっている気がする。

少しめんどくさい。

何となく分かったからもういいや。

つまり今回の審査ではとりあえず通常装備を1式作れば良いんだな。


「……以上で授業終わり〜素材集めは僕は面倒臭いから1人で行ってね〜完成したらそれ見せてクリア〜。じゃあ頑張れ〜」


……え?

俺の事放置ですか?

まぁいいや。そっちの方が俺としても楽だしね。

さ!素材集め行きますか!!


なんの素材にしようか…

クラウンは皮とか石とかって言ってたよな。

……ん?

石……?

あるじゃん!

…じゃあ終わりだ。

…良いのか?


思ったより簡単に終わりそうで逆に不安になるヤツだ。


…え、ホントにいいの?

俺は今度は武器屋に向かい、テツジに話しかけた。


「なんでぇい。また来たんか兄ちゃん。どんな要件でぇ?」

「石の防具が作りたくて…」

「そうだねぇ。兄ちゃんの持ち物だと石の装備全身作れるよぉ。石、頭と足が50個、上半身と下半身が100個で合計300個と200Gでどうだい?」


俺の持ち石は残り9949個、Gがさっきのクエストクリア分を入れて300G。

十分足りるな!


「はい!お願いします!」


~~~


「完成だよぉ」


俺はテツジから全身の防具を受け取った。

石装備との事あって叩いてみるとそれなりに硬いことが分かった。


とりあえずこれを装備して…っと。


武器屋の鏡を見ると、今までボロボロの服に見慣れてたのもあってより一層かっこよく見えた。


「ありがとうございます!じゃあこれで……え?」


俺が武器屋を立ち去ろうとした時、テツジが俺の手を掴んだ。


「実はさぁ兄ちゃんの持ち物で特殊装備1つ作れるんだけどどうする?」


特殊装備!?

絶対かっこいいし強いじゃん!

そんなの断る理由ないだろ!


「やります!お願いします!!」


だがテツジは少し困ったような顔を見せた。


「それがよぉ2種類作れるんだけどどっちがいい?スライムの核と頭装備で作る"スライムヘッド"とドクドク茸と"キノコ頭"どっちがいい?」


テツジはサンプルを見せてくれた。


「…え…」


俺は衝撃を受けた。

見た目が想像してたかっこいい装備とはかけ離れていたからである。

スライムヘッドは見た目が明らかにうんk……だし、方やキノコ頭はちn……

俺にとってこれは究極の2択だった。


「なんでだよぉおぉおぉ」


~~~


「ありがとなぁ」


テツジに見送られ俺は武器屋を後にした。

すると、出てすぐの所でクラウン達が俺を待っていてくれた。


「…わんそれ…」

「wwwwww」

「なんですの…それ…!!」


俺が選んだのはスライムヘッドだった。

テツジの要らない親切で茶色に塗装してくれた。

ホントにありがとう。

嬉しいよ。

もし俺が『ヘルフレア』使えてたら武器屋燃やしてるよ。

ショウたちの笑い声が溢れる中俺はただ1人、頭に大便を乗せ燃え尽きていた。


--続く

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