フェアリーダンス【 KAC20234】

三毛猫みゃー

fairy dance

 夜の街を満月が照らしている。

 そんな街に有る時計台の尖塔に、フェアリーが舞っている。


「こんばんは、フェアリーの娘さん」


 フェアリーに声を掛けたのはバンパイアの少女だった。


「こんばんは、バンパイアのお嬢さん、初めて見る顔ね」


「分かりますか?私今日この町に着たばかりなの」


「ああ、新しく教会に引っ越してきた家族はあなた達だったのね」


「よく知ってますね、そんなに有名なんですか?」


「見れば分かるでしょ、この街は狭いものそれに噂好きのニンフがそこかしこで話していたわよ、あなた達のことはもう街のみんな知っているはずよ」


「あははーはぁそうなのですか」


「まあ諦めなさいな、きっと悪いことばかりではないわよ」


「うん、そうします、それよりフェアリーさんはこんな夜更けに何をしているのですか?」


「何をと聞かれても特に何もしてないわね、あえて言うなら真夜中の散歩かしら、あなたもそうでしょ?」


「そうですね、月も綺麗ですし散歩にはうってつけですね」


 暫く語り合うフェアリーとバンパイア。


「あなたは色々な場所を旅してきたのね、その話をもっと知りたいわ」


「うん、良いですよ、でもどうしてそんなにお話を聞きたいの?」


「私は今本を書いているのよ、私と同じ様にこの街で生まれこの街から出られない人達のための本を」


「そういうことならいっぱい協力しますよ」


「まだまだ書き始めた所よ、内容はこの街で起きた事や外から来た人のお話をまとめたもの、それとあなたから聞いたお話も書こうと思うわ」


「それは素敵ですね、私も協力のしがいがあります、ちなみになんてタイトルになりそうですか」


「ふふふ、タイトルはねあなたと話していて先程思いついたのよ」


 フェアリーは満月の光を浴びて踊るように体を動かしながら声をだす。


「タイトルは古代語で『What happened深 夜 の 散 歩 で on a late-night walk 起 き た 出 来 事』なんてどうかしら」

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