ヘビの鐘

ミンイチ

第1話

 数日前から僕は変な夢を見る。


 真っ暗な田舎道を歩いていると、大きなヘビに追いかけられ始める。


 少し走っていると前のほうにお寺がある。


 そこの住職に逃げている理由を教えると、そのお寺で匿ってもらえることとなった。


 しかし、そのヘビは寺に隠れたのを知っているかのように大きな音を立てて近づいてきたので、お寺の鐘の中に隠れる。


 ヘビはお寺を破壊しているようで、建物が崩れていく音が聞こえてくる。


 その衝撃が届いたのか、はたまた何かが飛んできたのかは知らないが、鐘がいきなり地面に落ちた。


 ギリギリ鐘にはつぶされなかったが、大きな音だったせいでうまく立てない。


 そしてヘビが近づいてくる音が聞こえたと思えば、周りが熱くなっていき、鐘の下から炎が漏れてきた。


 もうだめだというところで目が覚めるのだ。


 そんな夢の内容は、ある昔話に似ている。


「安珍・清姫伝説」だ。


 あるゲームでは偏愛的なキャラクターに仕立て上げられているあの清姫が出てくるあの話だ。


 こんな夢を見るようになった理由に、僕は一つだけ思いつくものがある。


 それは、その夢を見るようになる前日の夜の散歩で拾った金属の破片だ。


 少し山のほうに足を延ばし、いつもより長めに散歩をしていたのだが、道のわきに少しだけ溶けた青銅のようなものを見つけ、拾ったのだ。


 しかも、拾った後の帰り道では出会ったヘビに2,3回ほど威嚇された。


 昔からよくわからないものを拾ってくる変な癖があるため、たまにこういう変なものを拾うので対処には慣れている。


 まず、とりあえず体をきれいにする。


 そしてできれば拾った時間に、できなければいける時間帯に戻しに行き、いったん戻してそのあたりを持ってきたお酒お清めっぽいことをして拾ったものを置きっぱなしにしたり持って帰ったりするのだ。


 それが無理そうなら近くの神社なりに相談するのだが、今回は大丈夫そうだ。


 しかし、他の人が拾わないように少し深めの穴を掘って埋めた。


 帰るとき、埋めたところにヘビがいたように見えた。

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