第5話 宿泊行事~二泊三日 二日目~

私は白城茉央。この宿泊行事の班長、学年班長を務めている。朝から、先生と軽く打ち合わせがあって、すこし忙しいが私はそれでちょうどいい。忙しいほうが好きだから。最近は学校にもクラスメイトにも慣れてきて、とても毎日が楽しい。席が近くの人としか話せないけれど、でもいい。クラスで浮いてないから。浮いてないように見ているから。見えているだけでいいんだ。小学校の頃は浮いていて、クラスでもいじめの的だった。だから学校なんか行ってなかった。勉強はそこそこできたし、運動もまぁまぁできた。50m走は7秒台後半だった。一応与えられたものはすべてこなしていた。そんな私を気に食わなかったのかわからないけれど、いつからかいじめが始まった。この佐紀原学園(さきがはらがくえん)に入学して、学校というものの楽しさを知った。でも、少し心配なんだ。ひとつ後ろの鈴木梨央は小学校の時に私を敵とみなしていて、転校していったけど、鈴木の双子の妹は残っていて、莉緒ちゃんの双子の妹は私をいじめていたグループのリーダーで、少し怖い。今では電車が一緒で、莉緒ちゃんは隣の学区になっただけだから、あんまり家は遠くはなくて出席番号も一個後ろだから近いから話すけど、心境はちょっと怖い。でも、周りの田中さんとか清水さんとか話しかけてくれて、嬉しかった。結構。うん。一個前の清水さんは話し合い活動の時に積極的に話しかけてくれて、面白いから話しやすい。クラスではいじられキャラとかそんな感じだけど、全然浮いてないし、すぐに馴染めていていいなと思った。横の田中さんはクラスのムードメーカーでクラスの雰囲気を作り上げていて、田中さんが休みだと物足りなくなってしまうのではないかと思っている。一個前の清水さんは身長が大きくて、どの授業でも一個前だから黒板が見えずらい(笑)本人もそれを自覚しているようで、自分の前に書かれた板書は口頭で教えてくれる。ありがたい。とても気づかいの聞くやつだと思う。


私は鈴木莉緒。小学校の時に少し一緒で覚えてるかな?と思っている。妹がいじめていたのも知っていて、敵視されても仕方がないと思った。よく海衣と話していて、私も交じりたい!!いろんな人と話したい…。んだ…。ち、がうかも…。電車が白城ちゃんと海衣は一緒で、よく話してるけど、私は海衣と幼馴染だからたまに話すけど、あの二人が話しているととても絡みづらい。いつになったら、海衣に本音を伝えられるのだろう。私は、いつまでこの思いを抱き続ければいいのだろう。一回取られるのが怖くて、白城ちゃんに好きな人いる?って聞いたことがある。いないよ。って帰ってきた。安堵した。早く私のものにしたくて、海衣の好きな人を知りたくて。私は毎日眠れない夜を過ごしている。


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