第2話 学校生活はじめ

 学校生活初日。

 一限目から課題提出、教科書配布、自己紹介だった。

 もちろん入学前課題は完璧に終わらせてある。教科書配布はとても重たかった。国語、社会、理科、英語、数学、美術、音楽、家庭科、技術、道徳、書道、体育。重た。くて仕方がなかった。名前を書く作業がもっとも大変で、20を超える冊数の教科書にすべて名前を書いたのだ。清水海衣、清水海衣、あっちにもこっちにも俺の名前を書き散らした。自己紹介の時間になって、はじめはグループで自己紹介をして、その後にクラス全体で発表するという事だった。もちろん俺には同じクラスの友達はいない。ぼっちで考えた結果、こんな自己紹介カードになってしまった。

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 名前:清水海衣(しみず かい)

 誕生日:7月18日

 好きなもの:らーめん

 クラスに一言:よろしくお願いします。

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 The普通の中学生の自己紹介カードだ。

 俺は難なく人前での発表をこなした。目立つわけでもないただの普通の中学生の自己紹介だから恥など何もなかった。BLが好きなやつ、ゲームが好きなやつなど個性あふれるクラスメイトに囲まれた俺は、普通の中学生として生きて行くのだ。と確信した。

 二限目も学活で、委員会・教科係決めをした。俺は写真を撮るのが趣味だが、写真部だけには入るな運動部に入れと親に言われていたので、日常生活を撮影する文化委員会に所属希望を出した。誰とも希望がかぶらなかったため俺と槇原という男女のペアで文化委員会を務めることになった。槇原は元気で明るい奴だ。俺とは正反対の超陽キャといったところだろうか。何より褒められるのが好きらしく、撮った写真をすごく見せてくるが、カメラワークが下手くそだ。ちやほやされていて俺が好みのタイプではない。俺は槇原が撮った写真は褒めることができない。家には一眼レフカメラを持っているし、デジカメでも槇原より良い写真が撮れている自信しかない。槇原とは委員会でも話さない。きっぱり言うと、槇原は好きではない。これを幼馴染の佐藤に言うと、恋愛対象じゃないんだといわれるが、槇原を恋愛対象にはとてもできない。

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