真夜中で、歩み寄る影

らんらん

第?話

 私は、夜の道を歩いていた。既に深夜を回っており、住宅街であるここには街灯しか明かりがない。既に深夜。誰もが寝静まっているはず―――――であった。

 しかし、先程から背後で「コツ、コツ、」と誰かが歩く音がするのだ。私はスニーカーを履いていたので、当然私の足音ではない。誰かの足音である。振り返っても誰もいない。

 深夜の暗闇が恐怖を引き立て、私は小走りで家へと向かう。

 それに連動するかのように、誰かの足音も、速くなっていった。恐怖を感じつつも小走りでいると、家が見えた。

 少しの安堵。だが、足音はまだ止んでいない。私は急いで家に駆け込んだ。




 居間に横たわる。結局あれは何だったのだろうか。気を紛らわせるためにテレビを点ける。すると、速報のニュースがやっていた。

 どうやら、この近くに強盗が彷徨いているらしい。なんと恐ろしい事だろうか。その男は、家主を殺し、窃盗をしているとの事である。

 そんなことを言われると、鍵を掛けたか心配になってきた。扉だけでなく、窓も、家を隅々まで確認する。

 全て鍵は締まっていた。

 すると、「ピンポン。」とインターホンの音が聴こえた。

 こんな時間に誰だろうか。もしかしたら、ニュースでやっていた強盗かもしれない。

 警戒しつつ、インターホンについたカメラで外を見る。コンビニの従業員だった。

 そうだ、私は、コンビニにコーヒーを買いに、買い物に行っていたのだ。

 警戒を解き、ドアを開ける。


「お客様、お買い上げのもの。忘れてましたよ。」


 コーヒーを手渡しで受け取る。ここまで来てくれるとは、丁寧なことだ。


「にしても物騒ですね。強盗なんて。」


 私の言葉に従業員は笑う。


「強盗ですか! ニュースはあまり私は見なくて。でも、変な男が来たら、油断しては駄目ですね。」


 私と従業員の男は、笑いあった。




 明け方。被害者がまた、一人増えた。

 警察は、同一犯の犯行と見ており、被害者の手には、ペットボトルに入った新品のコーヒーが握られていた。

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