第3話

 そんな家族に冬がやってきた。雪深い山奥に暮らす雄三一家は、山仕事が難しくなる冬にはがくんと収入が落ちる。時には雪を溶かして塩をふり、漬物を刻んで入れた粗末な汁物で夕食を済ませることもあった。そんな貧しい食事であったが、秋頃に雄三が蓄えた栗や木の実がささやかなながら栄養の手助けとなっていた。祖父は食べ盛りの幼子たちに自分の分を与え、にこにこと微笑んでいた。祖父は自身の体を蝕みつつある手足のしびれ、そして力の衰えを必死に隠して生活していた。

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