5色は難しい
数多 玲
本編
「……あのね、私、ずっとレッドのことが……」
マジか。
「実はこの前、グリーンに告白されて」
ピンクがうつむきながらポツリと呟く。
「それで、私の気持ちはどうなんだろう、と考えたの」
パッと顔を上げてこちらを見つめる。
「グリーンの気持ちは嬉しかったけど、私はグリーンの気持ちに応えるよりもレッドに告白しようと思って」
俺は微妙な顔をしていたのだろう、ピンクは笑って
「……でもダメだよね、レッドはイエローのことが好きなんだってこと知ってるから」
「……俺は」
確かにピンクの言うとおりだった。俺はイエローが好きで、でもイエローはパープルが好きで。
どうせ叶わぬ恋なのであれば、イエローへの気持ちは永遠に封印して、同じく戦いの中で苦楽を共にしたピンクの方を向いて生きていこうかとも思う。
……もちろん、それがピンクのために良いことかと言われればそうではないかもしれない、というのはある。だが俺にピンクへの気持ちがゼロかと聞かれれば答えはノーだ。それも生半可な思いではない。ピンクの気持ちに応える自信はある。
ただその気持ちに切り替えられないのは、イエローが思いを寄せるパープルはグリーンのことが好きだということを知っているからだ。
イエローとパープルの気持ちは本人から聞いた。だがグリーンとピンクの気持ちは今初めて聞いたので、かなりややこしいことになっていると思う。
であれば、もしグリーンがパープルの方を向いてくれれば、イエローが俺のことを向いてくれるかもしれない。
……だが、そうなるとピンクは……?
「……レッドが何を考えてるかわかるよ」
ピンクがうっすら涙を浮かべているように見えた。
「優しいもんね。私の気持ちの行き場がなくなることを考えてくれてるんだよね」
「……俺とピンクがしばらく付き合えば、諦めたグリーンがパープルと付き合うかもしれないから、余ったイエローと付き合えるかもしれな……ぶほっ」
ピンクの超必殺技が俺に炸裂した。
その後、ピンクはグリーンと、イエローはパープルと付き合うことになったらしい。
(おわり)
5色は難しい 数多 玲 @amataro
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