Change Blossom Fourth
朱ねこ
桜の花びらに導かれて
チェリー王国内は見るも無惨な姿だった。
妖精達を襲い家々をさらに壊し、大きな耳を振り回し荒れ狂ううさぎのぬいぐるみたちがいた。
「……っ! やめなさーい!」
駆けつけた勢いのまま一蹴する。
チェリーカッターで耳を切りチェリパワーを込めたパンチを繰り出しいとも簡単にうさぎのぬいぐるみたちを爆散させる。
「これがCherry Blossomの力ポメ!!」
右肩に乗っていただけの自称光の使者である犬のぬいぐるみがドヤ顔をしている。
妖精達はうさぎのぬいぐるみたちを倒した私よりも犬のぬいぐるみ、もとい光の使者に感謝していた。
「解せない」
「ブロッサムを呼んだ僕のおかげポメ!」
連続で敵を倒せたおかげか犬のぬいぐるみは上機嫌だ。親友とやらを救えたのも理由の一つかもしれない。
日が落ちてきたので今夜は犬のぬいぐるみの別宅に泊まることになった。
お城のすぐ近くにあった本宅は崩れた瓦礫とうさぎの怪力により住める家じゃなくなったらしい。
幸い別宅は一部天井が落ちただけで済んだそうだ。
犬のぬいぐるみの家は意外と綺麗で整理されていた。
人間が食べられるものがあるのか心配したが杞憂だった。どういうわけか元の世界と同じ材料が使われ犬のぬいぐるみが豪華な食事を振舞ってくれた。
料理のできる犬って1家に1台欲しいかもしれない。生意気でなければ、だが。
「おやすみポメ。明日は国王様たちをたすける、ポメ……」
「おやすみ」
小さな犬のぬいぐるみには広すぎるベッドに2人で横たわっている。
妖精達を守れて少し安心したのだろう。犬のぬいぐるみはすぐに夢の中に入ってしまった。
私はというと、眠りに入っても起きてしまい少しだけ散歩することにした。
「お母さんたちに怒られちゃうなぁ」
帰る手段はあの犬のぬいぐるみが握っている。約束を果たしてもらうために戦うことしかできない。
「綺麗……」
ふと桜の花びらが舞い落ちてくる。まるで自らが発光しているかのような輝きを放っていた。
花びらを目で追うと何者かの影が見える。
はっとして周りを見ると、壊された家々の上にうさぎのぬいぐるみたちがいる。
数を数えるのはざっと五十を超えたあたりでやめた。
うさぎのぬいぐるみたちの中には二匹、一際でかいのがいる。
「囲まれたわ」
「ぶろっさむ〜。どこにいったポメ〜」
寝ぼけた声が聞こえ焦ってしまう。今ここに来られて犬のぬいぐるみが狙われてはまずい。
「ちょっと待ってて!! Change Blossom!!」
箱の蓋を開け桜形の石を穴にはめ込み叫ぶと、再度私の身体を闇に負けない光が包み込む。
「こ、こくおうさま……ポメ?」
酷く驚いたような声が私の耳に入った。
Change Blossom Fourth 朱ねこ @akairo200003
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます