第6話

――新宿

「ここか。大黒が秘密にしてた家は!」

「はい!ですが中のはもう荒れに荒れていました。性別も分からないほどの遺体もあります!」

「くっ!ってことはもう資料とかは何もないんだろうな!」

「はい!恐らくその通りかと。」


その後の捜索は部下に任せ近藤と岩田は署へ戻った。



――東京港区 高級マンション

「いやあボスたちは手際が良すぎですよ!」

「ほんとですよ!俺らだったらこんな上手くいかないっす!」

「いやあ私ら仁さんに付いてよかったです!」

「右に同じくっす」

「そうか。それは良かった!ただミスをしたっていいんだぞ!失敗のない成功と失敗があっての成功では後者の方が経験は積めるからな。だが失敗しない事に越したことはないがな!」


仁こと俺と話してるのは鏑城凛かぶらぎりんれんという双子さ。

ちなみに凛は姉。蓮は弟。蓮は敬語が拙く語尾が「っす」になる。


「言ったことは確認してきてくれた?」

「「はい!」」

「それで?」

「まず私から。部下に張らせてたら『アラクネ』にヒットしまして、私が着く頃には警察がいました。それで車田?ってやつが連れてかれましたね」

「はいはい俺の番っす!その数日後江藤の家張り込んでたらサツがきて家見て何人か逮捕してたっす!」

「わかった!ありがとう!その時見た警官の顔忘れないようにね。今日はここ泊まってきな。ゆっくり休め」

「「はい!」」「感謝します」「あざっす!」

そう言って2人は部屋を出た。


プルルル…プルルル…

「もしもし。これで第1ミッション完了。第2に移ろうか!」

「かしこまりました」

ピッと電話を切り、タバコに火をつけた。



現在日本は、ヤクザや暴力団と呼ばれる者たちにとって生きづらい世の中になっている。

1992年暴力団対策法が施工され、2012年には同法案が改正されより厳しいものとなった。

みかじめ料を始めとするいくつもの行為が禁止になりシノギと呼ばれる稼業も簡単では無くなっていってしまった。そのため年々暴力団構成員の数も減っている。



「ははははこれからだよな?!」

悪魔のような笑みを仁は浮かべていた。



――東京麻布十番

「久しぶりに食うとうめぇなあ」

「ああそうだな」

「仁のやつもくればよかったのに」

「やることがあると言ってたからな」


仁以外のメンツは麻布十番にある高級料理店『門松』にて肉を頬張っている。


「なあせっかくだしこないだ貰った店にこの後遊びにいかね?」

「どのお店だ?場所によっては俺と祐は帰る」

と金朋の誘いに健悟はそうキッパリと言った。


「ならどこなら行くんだ?俺は女抱きてーがな!!」

「ふんっ女好きが!好きにしろやっぱり俺と祐は帰る!」

「つまんねえの。まあいいや他はどうする?」

「儂は仁のとこ行くさ」「なら俺もそうする」

崇元と広嗣はそう答えた。

「可哀想だから俺が行ってやるよ」

「はっまさか芳翔が来てれるとわな」

「たまにはな」



「「「「「ご馳走様」」」」」「お粗末さま」

「んじゃ」「ほい」「じゃあな」

健悟と祐は帰路につき、崇元と広嗣は仁のもとへ、金朋と芳翔は夜のお店と消えていった。


――『Queen』

「いらっしゃいませ」

「おうご苦労オーナーよべ」

「それはいたし「呼べっ!!!」胸ぐらを掴んで怒鳴り散らした。

「だからそりゃだめだろって。離してやれ」

「くそっ」

「すみません。うちのものが。俺は――の大束と言います。オーナーを呼んでいただけますかね?」

「はいっ!!!」

………

「お待たせしてしまい申し訳ございません」

「いえ大丈夫ですよ!今日は単純に遊びに来ただけだよ」

「かしこまりました!こちらへどうぞ!」

………

「では俺はこの子で」「ん〜ならコイツだ」

「承りました。ではご案内までの間に。私ここ『Queen』のオーナー寺善翁じぜんおきなと申します。以後お見知りおきを!」

「うむ」「ありがとう」

「ではご案内致します」

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