とにかくなんでもぐちゃぐちゃにして食うやつVS料理漫画の住人
@aiba_todome
混ぜて食うな
「混ぜて食うんじゃねええええええええええ!!!!カスがあああッッッッッ!!!!」
五秒前まで宝石のように輝いていたなんとかのフィレ肉のなんとかソース添え。今や無惨なる泥と化していた。
怒り狂った料理人は泰山荒神拳の奥義、奇象虹雷を打ち込むが、料理をぐちゃぐちゃに混ぜていた男の
「ぐぶりゅえぼっぱぶええええーーー!!??」
それを動画で視聴する黒ずくめの男。肌を切りそうな殺気から、動画で死んだコックとは比べものにならない腕の料理人であることが分かる。
「見ての通りだ。うちの有望な新人が、皿の上を世界大戦にされたあげく粉々にされたよ。とてつもねえ功力と最低のマナーだ。もう頼れるのはあんたしかいねえ。日本料理界最高の殺し屋であるあんたしかな」
依頼を説明されても、男は微動だにしない。
名を
美食王に仕える四包丁の一人であり、王の命を受けて料理人、客を問わず殺しを請け負っている。得意料理は目玉焼きで、ここ三年料理はしていない。
依頼人は望月幸次郎という、美食王傘下のホテルの支配人だった。優秀な経営者であり、上納金の供出も怠っていない。依頼を断る理由は無かった。
「今月中には、結果が出るだろう」
周防はあえて不確かな言葉を使う。
「あんたでも分からんか」
「五分だ」
望月は冷や汗を流した。周防の恐るべき実力を、彼はよく知っている。人間の領域ではない。それが明言を避けるほどの相手。飯ぐちゃぐちゃ男も怪物に違いなかった。
飯ぐちゃぐちゃ男は昼食のエントロピーを無限に増大させ、襲いかかってきた料理人を粉砕した後だった。
ふと小腹がすく。食べてる途中で戦いになったので、腹六分で食べ終わったためである。
嗅覚に感あり。香ばしい匂いにつられると、そこには目玉焼きとご飯のご機嫌な朝食セットが。
ちょうどいいので椅子に座り、半熟の目玉焼きをご飯に乗せてよくかき混ぜる。ほとんど卵かけご飯と変わらなくなったところで食べる。
吐血!目玉焼きとご飯それぞれに仕込まれた薬剤、この二つが混ぜ合わさることでVXガスの五倍以上にもなる超猛毒が生成される!ロシアの毒ガス兵器ノビチョクだ!
混ぜ混ぜ男は膝から崩れ落ちるが、地につく前に耐える!驚くべき根性と耐久性であった。
「即死のはずだが……大したものだ。周防火具土。恨みがあるなら、この名を覚えて化けて出るといい」
必殺の罠の直撃を受けてなお倒れぬ男の前に、周防が現れる。直接殺すしかないと判断したのだ。
「
飯ぐちゃぐちゃ男、柿田も名乗る。瀕死の身体から生命の最後の輝きが漏れた。濃厚なオーラのぶつかり合い。景色は歪み、鳥が一斉に飛び立つ。
一撃で決着がつくだろう。周防は予感する。目の前の雄の最大の一撃、逃げるのは不可能だ。打ち勝つしかない。
空間が張り詰め、ひび割れるように風が鳴った。
同時に動く。周防は最大奥義・八卦門四衛獣神打を放つ。玄武と白虎の手が同時に弾かれ、朱雀はかすめるだけにとどまる。
青龍が柿田の腹を貫いた。
それが隙となった。腹をえぐられながらも、身をひねって急所避けた柿田が絶招を放つ。
ところ変わって銀座美食タワー頂上。地上2449メートル。美食王は常人なら香気のみで失神する極限懐石料理に舌鼓をうっていた。
「共倒れのようでございます」
畳下から現れた忍者の報告に、美食王は深々とうなずく。
「うむ。周防のやつもよく働いたが、そろそろ邪魔にもなっていたからのう。作法も知らぬ狂戦士と相打ちなら本望であろう」
「これでお館様の夢、美食世界の顕現も間近でございますな」
「うむうむ。ふふふ、ふはははははは!」
そこに飛び込み料理人と客!最大威力でぶつかりあった結果バグった周防と柿田である!
「ぎゃあああああああああ!!」
美食王と忍者死亡!
「ふ、俺の忠誠もどうやら無意味だったらしい。……食うか?」
周防は切なげに口を曲げ、柿田に懐石を進める。
柿田は全部茶漬けにしてごたまぜにしてから飲み込んだ。
「一つずつ喰えや!」
周防、二度目の絶招!美食タワー爆発!
こうして美食王の野望は潰え、美食混沌時代が訪れることとなる。その引き金となったぐちゃぐちゃ混ぜ男の名を知るものは少ない。
とにかくなんでもぐちゃぐちゃにして食うやつVS料理漫画の住人 @aiba_todome
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