第3話 知らない過去へ


また何日かいつもと変わらずに過ぎていました。

朝起きて仕事へ行き、仕事終えて買い物して帰宅する。

DVD見ながらご飯を食べて、入浴剤を入れて温泉気分。

その繰り返し。

何も変わらずの日々…… 。


仕事をしていた時、一本の電話が入る。


「 もしもし…… はい、警察…… 。

えっ? 見つかったんですか? 」


盗まれていた財布が見つかったとの事。

現金やカードは盗まれていましたが、いらなくなった財布をごみ捨て場に捨てた模様。

少しホッとして電話を切る。


( 財布だけでも見つかって良かった…… 。

色々盗まれていたのはイラつくけど。

全部あのおじいさんのせい…… あっ!

そう言えば何か貰ってたの忘れてた。 )


警察からの電話により、偶然にもカレンダーの事を思い出しました。

帰りに財布を受け取りに行き、直ぐに家に帰りました。

少し気にもなっていたからです。


家に着くと部屋中を探しました。

色々探しても見つからない…… 。

間違えて捨ててしまったのか?


「 おかしい…… 帰って来て適当に置いたから、全く思いつかん。 」


適当に床とかを片付けつつ探す。

するとタンスの隙間にカレンダーを見つけました。


「 あった…… あったぞ。

これってどう使うんだっけ? 」


見つけて中を見ても使い方が分からない。

適当に半信半疑で聞いていたので覚えていない。


「 たしか…… 戻りたい日の余白に丸つけるんだっけか? 」


試しに丸をつけたのはおじいさんと会った日。

…… 試しにやっても何も起こらない。


「 何だよ、何も起こらんじゃないか。

何が裏だか闇のオークションだよ。

パチもん掴まされてやんの。

風呂入って寝よっと。 」


そのカレンダーを投げ捨ててお風呂に入り、直ぐに眠ってしまいました。

すると…… カレンダーが緑色に怪しく光り出す。


次の日になって目が覚める。

そこは居酒屋でした。


「 えっ…… なんだこれ?

何で居酒屋に居るんだ…… 。 」


何故居酒屋に居るのか分からない。

目の前にはビールのジョッキがある。

しかもつまみも頼んだ後もある。


「 お前のそのデータもうオワコンじゃん!

なら最初からやり直せよ。

リセマラだよ、リセマラ!」


隣にいる大学生の会話が聞こえてくる。


「 えっ…… この会話聞き覚えあるぞ。

隣の大学生にも見覚えがある。 」


その光景は過去に体験したものでした。

怖くなり直ぐに外へ。

スマホの画面を直ぐに見ると、日にちはおじいさんと会った日になっていました。


「 こ…… これは…… タイムスリップってやつなのか。

そんなまさか…… 。 」


タヌキに化かされてしまったような気分になりました。

歩いているとおじいさんと会った場所に向かう。

おじいさんは肩がぶつかった連中に絡まれている。


( やっぱりだ…… やっぱり戻ってる。

何なんだこれは!? )


前と同じようにおじいさんは裏へ連れてかれてしまう。

同じようについていく。

するとやっぱり同じ事が目の前で起きている。


「 ジジイ、直ぐに倒れんなよ?

俺の黄金パンチが炸裂するぜ。」


前と全く同じ。

良太郎は直ぐに決断を迫られる。


( これを助けないとどうなる?

未来ではケガはしないし財布も盗られない。

万々歳ではないかい? )


過去でおじいさんを助けなければ、ケガはしないし財布も盗られない。

未来が大きく変わる事になるのが直ぐに分かりました。

でも悩んでる時間はありません。

直ぐに決断しなければいけない。


「 待てーーいっ!! 」


ヤンキー集団はその声の方を見る。


「 弱い者いじめはやめなさい。

俺が相手になろう! 」


良太郎は格好良く登場しました。

ヤンキー集団もあまりにも堂々と現れたので、動揺して黙ってしまう。


「 …… 何だか分かんねぇけど、バカの方が殴りやすいぜ。

くらい! 黄金パーーンチっ!! 」


凄い勢いでまたもや目にぶつかる。


「 うわぁーーーーっ!! 」


そして目の前が真っ暗になる。

でもどうしてやられると分かっていたのに、また同じ事を繰り返したのでしょうか?


気がつくと公園のベンチの上でした。


「 いてててて…… 分かっていても痛いのよね。 」


「 目が覚めたかな? 」


おじいさんが運んでくれていました。


「 本当についてなくて…… 助けてあげたんだからお礼をくれないか? 」


「 んん? お礼? 」


良太郎はタイムスリップする映画は腐るほど見ていたので、行動を変える恐ろしさも勉強済み。

この未来は変えられない理由がありました。

それはカレンダーを受け取れない未来になってしまう。

そうなってしまったら未来は変わっても、それでおしまいになってしまう。

それならこのカレンダーを有効活用する為に、また繰り返す事にしたのです。

なんともあざとい。


「 お礼かぁ…… そうだ!

このカレンダーをやろう。

お主みたいな若者に持って貰いたいんだ。 」


ゆっくりとあのカレンダーをまた受け取る。

良太郎に不適な笑みが溢れる。


「 ありがとうおじいさん。

でもこれはもう2回目なんだよね。 」


「 ん?? 2回目? 」


これまでの経緯を話しました。

カレンダーに丸をつけて、この日に今戻って来た事を。


「 どひぇーーっ!! 本当だったのかい。

たまげたなぁ…… あのオークションで、凄い値になるはずじゃ。 」


おじいさんも半信半疑だったようでした。

凄い驚いている。


「 って事はお主は寝たら元の時間に戻るのか。 」


「 えっ? 元の時間って? 」


このカレンダーは丸をつけて寝るとその日にタイムスリップ出来る。

目が覚めると過去に行ける。

その過去でまた眠ると元の時間に戻れるのだとか。


「 でもそれじゃ…… 元の時間に戻るって事は未来は変わらいって事? 」


「 そうでもないんだ。

過去で何かが変わったら、それは元の時間にも影響するんだ。

まさに猫型ロボットのタイムマシーンのようなもんだな。 」


複雑そうなお話ですが良太郎には直ぐに理解できました。

何て言ったって映画好きなのだから。


「 ふむふむ…… 大体理解出来たぞ。

過去で存分に変えれば、元の時間に戻ると大きく変わってるって事だな? 」


「 理解が早いな!

さすがは若者だな。 」


良太郎は嬉しくて笑いが溢れてしまう。


「 ありがとうおじいさん!!

これで俺は時間を駆け巡る王様って訳だな。

あっはっはっはっは!! 」


朝早くから大声で笑う。

そして公園に朝日が差し込む。


「 喜んでもらえたかな?

ただ一つだけ約束してくれないか?

殺人や犯罪…… それだけは禁止だぞ。

良いな? 約束だからな? 」


その時のおじいさんは真剣な顔でした。


「 勿の論だぜ。

これさえあれば俺は大金持ちだ!

だっはっはっは! 」


ここに一人時間を超越した男が誕生しました。

おじいさんは喜んでくれました。

家に帰りまた一眠りする。

元の時間に戻る為に…… 。

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