　さっき解析魔法を放出制御で発動させて感知した大勢の気配。この場所の複雑な形状もあって数とか強さとかはあいまいだった。

　だけど徐々にここへと近づいてきているから、今はもう一度魔法を使うまでもなく、解析レテラの副次効果でその規模が掴めている。

　個々はそれなり、そして数は相当、だ。

　デルタファミリーは思った通り、あまり武闘派集団ではなかったらしい。あのジゴロウくらいしか強いのはいなくて、あとは有象無象か。まあそれこそが特徴の組織だった訳だけど。

　とはいえ、感じられる気配に気になるところもある。妙に均されているというか、一定の強さに統一されているように感じる。後ろの方は徐々に強くなっているようにも思えるし、まるで騎士団だ。

　大部分を占める末端構成員は、いってしまえば寄せ集めのデルタファミリーにしては、おかしいと感じる。

　……まあ、気にしすぎかな。

　そんなことよりも、別方向の気配の方を気にしないと。

　おそらくは家々の屋根の上を走ってきているなんて、その時点でまともな奴ではない。というか、まあデルタファミリーの一味ではあるだろう。本体が数で攻めるのにあわせて、奴らに残った強者を遊撃として使って僕が逃げるのを防ぐってところか。

　実際、メインの雑魚集団と戦っている時に横から突撃されるのは避けたいけど、そっちの強者とぶつかっているところを集団に呑み込まれるのはもっとまずい。こんな状況で逃げに徹するのもまずそう、背中をさらすとどうしても一撃二撃は喰らってしまうだろうし。

　と、なるとだ。

　この広場を僕の方から出て、入り組んだ路地の中で向かってくる集団とぶつかるか。そうすると、後から強者が襲ってきても、最悪二体一での戦いで済む。

　そううまくいくのかっていうところは問題だけど、なんにしても受け身よりは仕掛ける方が気分もいいしね。

　「よし……じゃあ」

　一瞬だけカミーロに目を向けて、広場の出口に歩き出す。

　ちょうどその時だった。

　「あれ？　くそっ、そう来たか！」

　副次効果での察知だからある程度大雑把なものだけど、向かってくる敵の気配は掴んでいた。その内の単独で向かってくる強者らしき方、そっちが一気に加速した。

　足場の悪いところをかなりのスピードで迫ってきていたから、それが最高速だと判断していた。だけど、そいつはまだ余力があったみたいで、僕の動きを察知して防ぎにきた。

　癪だけど、こっちのしたいようにはさせてくれないみたいだね。

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