第108話
「セルジョ……さんの……へやに……けいか……く……しょ……が…………」
汚名返上とばかりに張り切るラセツに任せてみたところ、一応魔法使いからそんな情報を引き出すことには成功した。
結果的には良かったけど、また今度の機会までにラセツとは尋問のなんたるかを話し合わないとな。だって話し終えてすぐにこと切れてるし……。もし口が堅かったらこれ失敗してただろ。
まあ僕もひとに教えられるほど、そういう技術に長じてるって訳ではないんだけど、幼児のお人形遊びみたいな気軽さでぽんぽん引きちぎっていくようなのを断じて尋問とはいわないことくらいは知っている。
「おそらくあの部屋がそうじゃの」
意気揚々と先導するラセツは、セルジョとやらに心当たりもあったらしい。
というか、例の逃げられた一人っていうのがそうじゃないか、と。
都合よく僕らの知りたいような情報が残されてればいいけど……。
「いや、あったよ」
思わずそんな風に呟いてしまった。
「む? 何か問題があるのか?」
グスタフもそんな僕の反応を見て、不思議そうにしている。いやぁ、願ったり叶ったりではあるけど、都合が良すぎて驚いたんだよ。
「あの逃げたセルジョとかいう輩の癖だったのやもしれんの」
色々と散らかっている部屋の中で見つかった数枚の紙を、つまんでひらひらとしながらラセツはそう推測する。忘れちゃいけないことを書き留めておくタイプか。けど忘れちゃいけないことと、知られちゃいけないことの区別は特にしなかったらしい。
「うん、火を使わなかったのは、偉かったね」
「ふへへ」
自分だったら建物の中で火魔法ぶっぱなしてた可能性もあるなとか思って褒めておくと、ラセツは緩い笑みで嬉しそうにしている。いや……いくら僕でもさすがに情報収集にきて燃やしは……するかも……いや、しない、はず。
「それで、なんと?」
グスタフの言葉で逸れていた思考が戻って、紙に目を向ける。ラセツがこっちに見えるようにしてくれると、一番上の紙には「幹部以外読むな!」という注意書きに続いて、想像よりさらにひどい内容が書かれていた。
「ヴァイス爆破計画…………だって!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます