過去編3 日本の未来
「敬礼!」
部屋の中に張り上げられた声が響いた。途端に周りでは俺と同い年程の男達が一斉に敬礼をした。もちろん、俺も。
「えー、今回は国家公務員総合職採用試験、合格おめでとうございます。
これから皆さんには日本の未来を、試験に落ちてしまった人々の分も背負らなければなりません。皆さんには合格した時点で巡査の階級が渡されます。是非とも精進して出世していってください。」
その男は最後まで棒読みを隠そうともせず喋っていった。
「そして今回の体力、面接、筆記、全ての試験で首席を勝ち取った物が一人います。彼には特例で巡査部長から昇給して行く事が決まりました。佐々木政宗さん!」
すると舞台裏から政宗が出てきた。
「よろしくお願いします!!」
大きな声を出した後、政宗は一度頭を下げた。政宗の返事が終わるとまた男は喋り出した。
そして政宗は俺を発見したのか、左手で大きなグーサインを出した。それを見て、俺もまた大きなグーサインを返した。
こうなる事は分かっていた。政宗が警察官になると聞いて、俺も入った。俺には自分の信念なんて無かったのかもしれないが、政宗と働けるのであったら十分だった。
「最近勤務ばっかりで全く面白く無い!」
「政宗、愚痴りすぎだ。上に聞こえたら俺まで説教になるからもっと静かにやれ。」
椅子の上でボールペンをいじる政宗をおだめていると、後ろから声が聞こえた。
「まーさーむーねー!!!」
「旭さん!」
そこには鬼の形相になっている旭警部がいた。これは一時間説教コースだと思っていたが、あの熱血な警部にしては珍しく何も言わずに下がった。すると後ろの扉がゆっくりと開いた。
「山田警視、お疲れ様です!」
「お疲れ様です!」
慌てて向いた後、上を向くとそこには山田警視が立っていた。
「早速捜査を頼みにきた。佐々木巡査部長、永澤巡査。」
「はい!」
俺たちが二人同時に返事をすると警視は優しく微笑み、言った。
「よろしい。」
「今回は最近この近くで頻繁に起き始めた銃刀法違反の元を捜査してほしい、だって!痺れるよなーー!!」
その後警視から直接指名された俺達は早速捜査を始めていた。政宗はすでに調子に乗りまくっている。
「てか、山田警視超優しかったよな。俺も出世したら、あの人みたいになりたいわー。」
「そうだな。」
でも、政宗はきっとそうなるんだなと思っていると目的地に着いた。
「証言者達はこの屋敷から怪しい物を抱えた男達が出入りしている所を見たらしい。」
「じゃあ、いっちょ突入しますか。」
「政宗、尋問するだけだぞ。」
「へいへい。」
そうして俺は玄関のベルを鳴らした。
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