無題
かんた
なんだこれ
「好きです、付き合ってください!」
僕は、放課後の後者の屋上で目の前で遠くを見て佇んでいた、高校のマドンナに告白していた。
アイドルかと見間違うほどの整った顔、高校生離れした、所謂ボンキュッボンな体形、誰に対しても優しいその性格は、あっという間に高校中の男子を虜にして、まだ高校入学から半年もたたないというのに告白された回数は三桁を超えると言われているほどに男子からの人気を得ていた。
対する僕は、高校一年生で既に身長は180センチ後半、骨格からごつごつしているせいかかなり筋肉質にもなっていて初見の相手にはほとんど必ずと言ってもいいほどに怖がられている。
それに拍車をかけているのが、左目の外側に、眉毛の上あたりから頬骨の辺りまでザックリとついている切り傷だ。
もちろん、何か危ないことをしただとかではなく、ただの事故でついてしまった傷ではあるのだが周囲の人間には関係なく、結果としていつの間にか出来上がっていたのは、この辺りの暴走族を取りまとめるボスで、対立していたグループに単身素手で乗り込み、全員を病院送りにした、暴力団からも目を付けられている男、としての虚像の僕だった。
もちろんそんなわけはなく、暴力どころか武術をかじったことも喧嘩をしたこともない、小心者なのだが、誰にも弁解することも出来ずに、人の噂も75日と放置していた結果このようになってしまった。
さて、そんな僕が目の前の彼女に告白した結果、どうなったかという事を端的に話そう。
今、僕は異世界に来ていた。
「なんでだぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
いや、本当に意味が分からない!
告白して返事を聞こうと思っていただけの僕が、なんの予兆も無しに気が付いたら異世界に来ていた。
何故それがすぐに分かったかと言うと、今僕ことを走って追いかけてくる角と翼の生えた馬、カエルのように跳ねている牛の頭にサルの腕、なめくじの胴体を持つ奇妙な動物など、現実の世界では全くあり得ないような生命?があちらこちらにいるからである。
加えて、先程から何故か燃えているのに熱を感じない右腕、そしてずっと石が零れ落ち続けている左手と、自分の身にも不可思議なことが起こっていれば、それは現実ではないと思うだろう。
もちろん、夢ではないかと思いもしたけれど、転んだ時には普通に痛かったし、身体の至る所をつねっても痛みを感じたので、夢や幻覚の類ではないように思える。
せめて、突如として異世界に来るのならば神様とか天使とか、この際悪魔とかの類でもいいから説明が欲しかったっ!
そんなことを嘆きながら走り回っていた僕は気が付くと目の前で急遽巨大化したスライム?に飲み込まれていた。
と思えば、次の瞬間にはこの世の終わりのような空をした、これまたいかにもな魔王城みたいな建物の前にいた。
これはもしかして、魔王を倒せばもとに戻るのか!と淡い期待をした僕は、いざ!と魔王城?に入ろうと歩き出したところで、後ろからとんでもないスピードで走ってきていたらしい自動車に吹き飛ばされた。
(いや、世界観!)
肉片になりながらも何故かある意識の中で、そんなことを思っていた。
「……はっ!」
気が付くと、目の前には学園のマドンナが屋上で黄昏ていた。
もしかして、元の世界に戻ってきたのだろうか。
とにかく、返事を聞けていないしもう一度気持ちを伝えようと考えた僕は、先程とは違う言葉で告白しようと少し考えて、口を開いた。
「貴方のことが好きだからー」
……これは違うな、と本当に考えたのか疑わしい言葉を吐きやがった自分の口を恨みながら、慌てて
「生まれた時からあなたのことを好きになりました!」
とまたもや意味の分からないことをほざいていた。
生まれた時から彼女のことを知っているわけないだろ!?
高校が初対面だよ!とひとりで頭を抱えて悶えていると、彼女からの反応があった。
「嬉しい、そう言ってくれるなんて」
もしや、これは脈ありか!?と勢いよく顔を彼女の方に向けると、
「これからも末永く、宜しくね?」
そこには嬉しそうな顔をした、親父が身体をくねらせてそこに立っていた。
「なんでだぁぁぁぁあぁああぁぁぁぁあ!?」
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いや、もう、ほんとにごめんなさい……。
一回何も考えずに暴れてみようと思った結果が、思った以上に何も考えていなかったことで何が書きたいのか分からないという結果になりました。
自分でも書きながら何を書いているのか意味わかんなかったし、主人公と一緒になんでだ!?って叫ぶ羽目になっていましたけど、案外楽しかったです。
たまにはこういう何も考えていないのもいいのかもな、と思いました。
……しばらくはこんな変なことしないと思います。
無題 かんた @rinkan
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