第3話

 部長は、悩んでいた。


 最初はこんなことになるなんて思ってなかったのだ。

 自分の特殊技能…仕事をしているふりして瞬間移動してミミズクとして適当にくっちゃべってまた戻ってくる…この力が使えると分かった時にはもっと違うことに使うための小手調べのつもりだったんだ。

 それがなぜか動画が人気を呼び、いつの間にやら本業の部下がチャンネル登録をするようになり、そればかりかそれをオマージュしたコンテンツを作りたいとまで言い出した。

 まあ、それはいい。少々手加減をしたらアマチュアっぽくなったし本物は鬼の編集が入ってるから決して超えないはずだ。

 だが、最近はミミズクに無茶振りをする内容が増えてきたような気がするのだ。

 本が出たのは凄いことだ。売れて何よりだ。ただ、サインをバリエーションをつけてあれだけの量を書くのは、描くのは、あれはマズい!

 本業に支障が出る程の筋肉痛になっちまった。

 ブッコローをぶっころ…す気かーっハハハ。

 はあ…。


 幸い、部下たちは気が付いていない。

 多分。いや、気が付いていたらどうしようか。

 そうだ、いい考えがある。

 …サイン本(【夜勤】と【六法】を無理矢理買い取った)を渡して口止めしよう。

 それとも…新しくサイン本を作るかな…

「あー、こんにちはー。いらっしゃーい。え、何されてるんですかー?へえ、ゆうせか真似してコンテンツ作ってんだー!で?部長が実はブッコローだったって?マジ?スゲーじゃん、おれ会ってみたいなぁ、無理かぁ、本鳥だもんー。」

 はい、出来た【社外秘!】なんてな」


 ふと気配を感じて振り返ると

 そこにはニヤニヤしながら口を押さえ、うなずいている部下2人が立っていた。



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社外秘:あの人は中の人だけどホントは外の人らしい。 つくもあきお @29mo

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