第3話

精神と体力を温存する事に決めたブッコローは

即座に鍵を探すことを諦め(他の人任せて)


別の解決策を考えることにした。

決して、外部者だし、関係ないし、面倒くさいしという理由ではない。


効率を考えると役割分担するほうが得策だろう。


携帯電話を眺め、最近は老いのせいか反応が悪いスマホをタッチペンで

操作してゆく。


このタッチペンを見るとあの出来事が思い出させる。


あれは、彼女と初めて仕事をしたときの出来事。


有隣堂文房具バイヤーの岡崎さんと一緒に有隣堂商品を紹介する番組だ


最初は大事な要なんだ、わかるだろう?という意思も込めて一番最初に

’インパクト’のある商品をお願いしますと伝えていた。


そんな緊張感が漂う空気の中、たった一本のペンで4つの機能を持ち合わせた凄いペンなんです。是非使って欲しいと思ってと渡してきた品物。


「えーと、先ずこれは先端についている黒いクッションみたいなのが付いているんですがこれがスマホを操作出来るんです、さらに横についているボタンを押すと、


なんと、黒のボールペンが飛び出て、紙に書けます。


そして後ろにはLEDライトが付いていて、光るんです。


あと、最後なんでしたっけ、えーと、えーと、あ(閃)


最後はこの側面に描かれている線と数字をみてください


定規として使える一品なんです。」


(ボールペンなんか普通に描ければいいと思ってたがこれが、文房具バイヤーならではの視点?)


ニコニコと喋り出す岡崎さんを尻目に様々な思考が駆け巡る


「しかも、すーーーーごく安いんです。 なんと100円です!」


(確かに値段にインパクトあるか・・100円だったらありか?

・・・駄目だ、ちゃんと仕事しないと一消費者として厳しめの審査をしないと・・・)


渡された商品を手に取り、操作しているうちにある発見をする


「これは、便利だと思う人には便利かもしれません。ただ、気を付けて使わないといけない部分を見つけました。」


「え?どこがですか」


「この、横についているボタンが気が付かないうちに押されていてスマホを操作中にボールペンの先が出て画面が汚れ傷がつきやすくなってしまう。そこさえ注意すれば確かにボールペンとして面白い商品かもしれません・・・金額も100円という低価格でお財布にも優しい。有隣堂で扱ってる点として消費者としては嬉しいですね。TSUTAYA 1ポイント獲得です」


どうだ、論理的考察に最後は可愛くボケをかまして ドヤ顔だぜ。


「え、これは、有隣堂では扱ってない商品です。私が近所のスーパにある100円均一で買ってきました。」


「はあああああああ?有隣堂じゃないんかーい」


そんなインパクト望んでない。俺のボケは霞んでしまっていた。


だが、ナイスガイブッコロー頑張るゾ、これは仕事なんだ。

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