第2話

「なんで暗いの?」


不意に声が発生した方向を見つめてみる


薄っすらと見える少しふっくらとしたシルエットから

想像してそして、皆が、皆驚く。 まさかこの声は

間仁田さん! 居たの


「岡崎さん、鍵 本当に直ぐ見つかるかな

今日は動画出演担当者じゃないから早く帰りたいんだよね」


出演する予定がなくキャスティングから外していたにも関わらず突然の出現に困惑する人たちを除き岡崎さんだけは違っていた


「丁度よかったです。はい、もちろん、確か、今月は問仁田さがマスタキーを持っていると聞いてます。 確か、雅代姐さんから受け継いだと聞いてます


あれです、アレの鍵が束になってる奴。どこに有りますか」


「ええ 何それ ・・・・持ってないよ」


「じゃあ、誰がマスタキー持っているんでしょう」


「そもそも、マスタキーなんてあるの」


つい、PDが疑問を投げてしまう。


「それは、有ります。私 前に渡されて 持ってました」


「それさ、使ったことあるの?オートロックの扉を解除して使ったという事?」


 「多分・・あ、でもずいぶん昔な話だったかも」


「だけど、使えます。大丈夫です。鍵の形状だから」


根拠のない自信に胸を張る岡崎さん

この不毛な議論に終止符を打ったのは他ならないブッコローであった


「取り合ず、埒が明かないから 鍵らしきもの探せばよくないか

大きさと色、あと特徴的な形状があれば教えて貰って皆で探せば時間短縮、数打ちゃ当たるだろう」


「えーと、そうですね・・・普通の鍵です。こんくらいです。」


両手で3㎝くらいの隙間を作りアピールしていたがいまだ薄暗い闇の中であることを忘れていた岡崎さんは必死に訴えてた。


「わかりますか、みてください。このくらいです。」


すかさず、横にいたブッコローの黒子が岡崎さんの手元を携帯ライトで照らしフォローをする。


「色は、えーと、うん、何ていうんでしたっけ、濁点がつくあの下着の色でオートソックスで、 ほら ぶ とか べ から始まる言葉。  ああ、今はちょっと言葉に出ないだけでいつもは言えるのに。 なんでしたっけ、べ ぺぺ べべとか シルバーじゃないです。


「ベージュ。ブロンズ、シルバー」


「さすが、問仁田さん、ありがとうございます。そう、ブラウンです」


・・・二人を除く一同は理解する。頼ろうとした相手を間違えた事に。

そしてブッコローは思う。この二人に突っ込んでいけない。

今は、緊急事態。突っ込んだら負けだ。大事な事だから二回いう。

今は、緊急事態。突っ込んだら負けだ。

ただ、鍵を探そうと。無心になるしかなかった。















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