R.B.ブッコロー

@youzi1

第1話

いつも通りの「有隣堂しか知らない世界」

撮影準備で呼び出されていた

ブッコローは休息中、今日もいそいそとTANKの赤ゲルペンを片手に

競馬予想を嗜んでいた。


「うーん、馬のコンディションは◎、△、× 毛並みは △、×、△

 1‐3か いや待てよ3‐2もあるぞ・・やっぱりここは穴馬を狙うべきか」


好きな事に没頭していた最中、突然


バチバチと大きな音が鳴り響きその刹那あたりは、暗闇に包まれる


「な、なんだ 何か起こったんだ」


「キャー 音なった? 暗い 怖い・・・」


「突然、電気が消えたよね?」


「何が起こったのかな」


徐々に、暗闇が目に慣れ始めて


ざわざわと社員たちが現状確認している中


新人社員だろうか、パニックにならず落ち着いた様子で受け答える


「今、電気を付けようとスイッチを押しに行ったんですが何も反応がなく

ここの扉、オートロックで、さっきから色々試したんですが

開かないみたいで、どうやら閉じ込められたみたいです」


ドアをドンドンと叩く音、ガチャガチャとドアノブを回す音が響き渡る。

冷静に対処しようとした新人社員とは対照的に


さっき迄、あわあわしていた岡崎さんが何かを発見したのか意気揚々と

話し出した。


「え、うそ、 どうしましょう ドアが開かない? なんでかな それじゃ他の

 出口探さないと あ、明りが必要よね

 あ!(閃) あ、の私が持ってる蓄光をよかったら使ってみてください。ほら、こんなにも綺麗に光って2時間は綺麗ですから。見て下さいほら」


隣にいた、ブッコローの黒子が小声で答える


「え?いえ岡崎さん、ありがとうございます。ただ、携帯にライトついてるんで大丈夫です。」


「そうですか、それじゃ仕方ないですね、そんな時もあります」

断られてショックだったのか少しだけ声のトーンが暗くなったのが伺えた


何故、誰も突っ込まないのか・・痺れを切らしたブッコローがすかさず、口を挟んでしまう。


「いや、そもそも 他のってないんじゃないんですか? 出口探すじゃなくて、ドアを開けるドアノブ用の鍵を探すほうが先決じゃ?」


「そ、そうですね、それ、今私が思いました。鍵を探しましょう。確か、予備ようの鍵がどこかにあるんです。すぐ、有ります」


岡崎さんが相変わらずでさっきまで競馬脳だったブッコローは

冷静さを取り戻しつつあった。


だが、完全に冷静さは欠けていた。何故なら、外部との連絡が取れてただの停電であれば復旧を待てばいいだけの話だからだ。


その判断力を鈍らせて暗闇の中、鍵を探す事に疑問を持たず岡崎さんに意図せず誘導されていたとは知る由もなかった。

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