第3話
とりあえず、こんな何も無いシャボン玉の中だと全然つまんねーな。もう飽きた。
語呂合わせ出来れば何でもいいのか?
じゃあベタなところで『渋谷』とか?そしたら渋谷が出てくるのか?
ブッコローは本に『渋谷』と『428』と書いた。
すると、書いた紙がシュルシュルと渦巻いて上に伸び、目の前に映像が広がって渋谷の街が出現する。
シャボン玉の半分から向こうにずっと広がっている。
「ウッヒョー!これならさ、何でもあるじゃん!ボクって天才じゃね?」
ブッコローは渋谷の街の中へ飛んで行く。
街はあるけど誰もいない。
自動ドアは開くけど、何かおかしい。見えてるものは渋谷そのものなのに、なんか違和感がある。
お店に並んでる服を手に取ろうとすると、スカッと空振った。手に触れることができない。試しに壁に手をやると、すり抜けた。そのまま全身で壁をすり抜ける。しかも関係者以外立ち入り禁止の場所だからか、入った先は真っ白だ。
他にもウロウロしてみたけど、共用部分はちゃんと本物みたいだがプライベート部分は真っ白で何もない。
でも壁をすり抜けたりしていると、幽霊になった気分になってちょっと面白い。
あ、幽霊だった。
街頭ビジョンも真っ黒で、映画も真っ黒。本当にただ街の映像があるだけで、しばらくしたら飽きた。
「食べ物もこんな映像なのかな?」
ブッコローは本に『いちご』と『15』を書く。
書いた紙はまたシュルシュルと渦巻いて大ぶりの赤いいちごに変わる。
つまんで持ち上げるとちゃんといちごの質感と重量で、匂いもする。
「お!コレはいけるんじゃね?」
ブッコローは大きく口を開けてかぶりつく。
「うんま!甘ー!」
今度は本物だ。
「そうか、一品目って言ってたから、単体の固有名詞だと本物で、複合的なものは偽物か。
じゃあ、ラーメンいけるかな?いや、ラーメンて無いか。じゃあ、そば…も無理か?寿司は?
余談だけど、スーは麻雀で使う数え方だからねー、多分大丈夫な筈。まあ、ボクは競馬の方ですけどね。
でも、1枚1個だと勿体ないか。
例えば100貫とか?貫は…5かなぁ?いやーなんか無理っぽいかなー?まあいいや書いてみよ。」
ブッコローは『寿司100貫』と『441005』と書いた。
すると紙はボッと炎を上げて燃えて消えた。
「あーダメかぁ。じゃあ、個は?」
ブッコローは『寿司100個』と『441005』と書く。
すると今度はシュルシュルと渦巻いていろんな種類の握り寿司が出現する。
「ぃやったぁー!寿司!寿司!ヒャッホーイ!」
ブッコローは寿司を摘もうと手を伸ばすと、スカッとまた空を切った。
「くそー!ダメかぁ。あ、寿司は種類があるからもしかしてダメなのか?
じゃあ、トロ!いや、大トロだ!」
ブッコローは『大トロ寿司100個』と『00106441005』と書く。
「これでどうだ!」
ブッコローは紙がシュルシュルと変化するのをワクワクして待った。
今度は大トロ100貫に見える物が出現する。
ブッコローはゴクッと生唾を飲んで掴んでみる。
「おっしゃー!今度は掴める!本物だー!」
が、はたと気付く。
しょうゆが無い。
「うわー。しょうゆの無い寿司って、結構キツイよ。しかも100個。
そうだ!塩だ!」
『塩』、『40』。
ブッコローは出てきた塩を寿司にかけ、100貫を平げる。
それから『
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