第2話
ホットさんは手をチョップの形にしてシャボン玉を割るような感じで中に入ってきた。
「あ、ホットさんこの中に入れるんだ。良かった普通に出入り出来るんですね。でも何ですか、その含み笑いは?何か知ってるなら教えてくださいよ。ていうか、ホットさんてそんなテンション高い人じゃないですよね?」
「はい。ちょっとキャラ変しました。あの『トリ』も。
まあこの前の収録の時は緊張してたので、本性を隠してただけですけど。
そうそうそれより実は、ブッコローは昨日、レストランの収録の時の、お酒の一気飲みのし過ぎで急性アルコール中毒になって死んだんですよ。」
「は⁈ボク、あれで死んじゃったんですか?しかも昨日?えー…全然そんな感じしなかったなー。
本当に⁈」
「で、ここで異世界転移となるところですが、今回は現実の中の異世界に転移したんです。厳密に言うと“異空間”ですが。
…という設定です。嬉しい?」
「何?その設定。え?何で?しかも嬉しいワケない。」
「この前の収録でも言いましたが、カクヨムの人気分野は異世界ファンタジーなので。」
「ちょっと待ってー。ボクが読みたいのは“ラブコメ”なんですけど。しかも小説を読むんでしょ?実体験とか要らないですよ。」
「あーでも、死んじゃったので。」
「いや、ラブコメでお願いします!」
「じゃあ自分でラブコメにしてください。ここはあくまでも異世界です。」
「じゃあさー、何か能力がもらえるわけ?それから女神様は?魔王を倒せばいいの?」
「はい。女神様は私です。魔王…ではないですが、倒すのは“ラスボス”で、それは探してください。あーそうだ、ちょっと今スルーされましたけどラブコメしたいなら私としますか?どうぞ、口説いてみてもいいですよ。」
「い、いいんスか?」
「相手にはしませんけど。オールスルーでいいなら。」
「イヤイヤ…あ、ツンデレってやつですか?最初はダメとか言いながら、いざ付き合うとデレってするパターンの?」
「違います。まんまコレです。100歩譲っても、鳥系に“デレ”は無いです。まあ、カクヨムの『トリ』は可愛いですけど。」
「じゃあ遠慮します。ボク、結婚してるので。」
「そうでしたね。じゃあ、“ラスボス”を倒してください。」
「“ラスボス”倒したらいい事あるんですか?」
「戻りたい場所に戻れます。」
「へえー生き返れるとか?じゃあ倒しますよ。それしか選択肢無いんでしょ?」
「頑張ってください。」
「で、ボクの特殊能力は何ですか?」
「それは…
その本。」
「本?」
「このガラスペンで欲しいもの書いたら、紙がそれになります。但し、語呂合わせに成功したら、です。あー、本が認めるものなら文字合わせでもいいです。
本が認めないと紙だけ消えます。
紙の枚数は50枚。1枚につき1品目。それが無くなるまでに“ラスボス”を倒してください。できなければ消えます。」
ホットさんはブッコローのイメージガラスペンと有隣堂オリジナルインクを渡し、簡単な説明でそれだけ言ったら、またシャボン玉をチョップして外に出て行った。
「あ、そうか。ボクもチョップしてみようか。出られるかも。」
ブッコローも羽を縦にしてシャボン玉に当ててみるけど、ちょっと伸びるだけで穴は開かない。
「やっぱりボクは出られないよね。
ボクのミッションは、“ラスボス”を探して倒すこと、かー。
…めんどくせー。」
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