ブッコローは元の世界へ戻れるか

ニ光 美徳

第1話

 ボクはあの日…


 …飲み過ぎてしまった。


 エスニックレモンサワー

 エルダーフラワーモヒート

 マスターズドリーム

 ドメーヌ・シャウ・エ・プロティージュ

 ドメーヌ・シャウ・エ・プロティージュ


 2回言ったんじゃないですよ。


 

▲▽▲▽▲

 


 気付いたら、なんか変な場所にいる…?


 シャボン玉のような風船みたいな、透明な薄い膜で囲まれた、狭い空間の中にいる。


 出口を探してぐるっと周りを見渡すけど、それらしきものはない。シャボン玉の膜を押したりしてみるけど、少し伸びるだけで穴も開かない。口ばしでつついたりぐーっと刺そうとしてみるけど、かなり強くて破れない。


 ここはさっき収録してたレストランか?


 有隣堂のスタッフは…皆いない。


 あー、もしかしてボクだけ置いてかれちゃったのか?

 ここの収録で一緒に出演したレストランのアルバイトの子、“トゥインクルさん”を探すけど、彼女もいない。


 あれー?皆いったいどうしちゃったのかなー?

 

 狭い空間の中で、バタバタと騒いでみるけど、数少ないレストランのスタッフの人達も、店にいるお客さんも、誰もブッコローに気付かない。


 続けてバタバタしてたら、ブッコロー入りのシャボン玉がフワッと浮いて、レストランの入り口から外に出て、そのまま風に乗ってフワフワと動きだした。


「うわーボク、小さくなってないのに飛んじゃってるー。」


 まだ少し酔いが残ってるから、気持ち良いというより頭がクラクラする。


 なんか、お酒のせいか乗り物酔いか分かんねーな。


 随分フワフワと漂ってから、馴染みの場所へ辿り着く。

 ここは…、

“ストーリーストーリーヨコハマ”だ。


 そのまま中へ入って行くと、ありました“岡崎百貨店”。


 あーやっぱりいたいた、

「岡崎さーん!!」

ブッコローは岡崎さんなら気付いてくれるだろうと、大きな声で岡崎さんを呼び、羽を振った。


 でも、岡崎さんも知らんぷりだ。


 …っんだよっ岡崎さんも気付いてくれねーじゃん!


 あれ?文具プランナーのFさんだ。

 あれー?今日また対決する日だっけ?


…ってさー、なんかボクの偽物いるんすけど。見たことあるけど誰だっけ?


 あー!そうだ、そうだ、カクヨムの『トリ』だ!思い出した。

 でも何でー?勝手にそんなことしちゃ困るよなー。あ、もしかしてサプライズとか?っつーかさー、アイツしゃべれねーじゃん?誰か喋る奴いるの?



⌘⌘⌘⌘⌘


トリ:「さー始まりましたコケ。今回はまたお二人の文具対決ということで。先方、中堅、大将で勝負していただきますコケ。ザキさん、今回の意気込みはどうですか?」


 あっれー?アイツ喋ってる。キャラ変えやがったな。なにしれーっと前からいましたみたいな雰囲気出してんの?“ザキさん”とか馴れ馴れしい。

 で、アイツってニワトリだったのか?


岡崎:「今回は、自信あります。」


トリ「おー、それは楽しみですねコケ。Fさんはどうですか?」


F:「私も、今回は勝てそうな気がします。」


トリ:「なかなかの自信ですねーコケ。でもまあFさん結構勝ってますからねー、期待してますコケ。」


 オイオイ2人共なに普通に馴染んじゃってんの?誰か“それブッコローじゃない”って突っ込まないの?『トリ』もさ、スッゲーつまんないコメントしてんじゃねーよ。2人のいいとこ全然活かせてねー。

 「コケ」気になるー。


 ブッコローは3人の収録を見ながらかなり大きな声で文句を言いまくっているけど、誰もそれに気付かない。いや、気付いてるけど気付かないフリをしてるのか…?分からない。

 ドッキリか?


「こんにちはー!」

 バッと両手をシャボン玉に抱きつくように当て、突然ブッコロー入りのシャボン玉の前に1人の怪しい人物が出現する。


 この子…!


「あなたは確かカクヨムの“ホットさん”ですよね?ボクに気付いてくれたんですか?良かったー。さっきからめっちゃ大声でアピールしてるのに、だーれも気付いてくれなかったからマジで寂しかった。

 あの、ボクこれどうなっちゃってるんスかねー?

 なんかドッキリとかされちゃってるんですか?」

 

「んふふふふ。」


 カクヨムのホットさんは、不敵な笑みを浮かべる。

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