2023.3.9 クサいセリフを音読したら

 三月から四月にかけて、仕事がとても忙しい。

 同僚がこの前の飲み会のときに、意地のわるいことを言ってきたので、「忙しいとこの人いっつもこうだよ! 去年もそうだった。心を亡くすと書いて忙しい、そのまんまだよっ!」なんて内心ぷりぷりしていたが、二日後に本人も「忙しい。心を亡くすと書いて忙しいのっ……!」と呟いていた。実際に追い込まれているんだろう。気にしないことにした。

 私の未着手の書類の束もだいぶ分厚い。現在一番残業しているのは私だ。人の事を手伝うという前に自分の仕事をちゃんとやれ、というツッコミが入りそうなので、なるべく電話をとるようにして、黙々と仕事している。


 ところで。

 

 クサいセリフを本気で、心を込めて音読してみたら新しい世界が開いて面白いかと思い、ネットで検索したところ「女性がドン引きしてしまう“クサ〜い”セリフランキング 」なるものを見つけた。

 最初「うへぇああ」なんて悶えながら楽しく読んでいたんだが、アレ? これ私小説に書いてね? と気づいてしまった。


7位「どんな魔法を使って僕を惹きつけているの?」

「どうして、あおい相手だとこうなるんだろう。それこそ本当に魔法をかけられてんじゃないのか? シチューで。シチューで魔法をかけられているか、シチューに媚薬が入っているか、あおいの体から無意識に媚薬が発散されているか、どれかなんじゃなかろうか!?」

(「小説書きさんと、ふたり」114話)


14位「僕は君と逢うために生まれてきたんだ」

色々混ぜて変形

「この唇はものを食べるためのものじゃない。だって、食べられないもの、喉がつまるみたいで、苦しくて飲み込めない。食べ物を口に含むときに、その食べ物はとつぜん児嶋さんの唇の感触はどうだろうと思わせる。自分の唇が、会う前とは違ってしまっている。好きだ、とそう伝えるための、手の届かない相手に口づけるための、もともとそんなものとして生まれてきたかのように。」

(虫 派遣先に入って来た後輩が怖い  果実 第7話)


 自分で抜き出して、「うぇへぇぇあぁぁぁ!」ってなっている。


 クサいのは私であった。


 小説書く人が「今日はなにかで悶絶したい!」と思ったら、「自分の書いた」クサいセリフや文章を音読するのが、いちばん効くんじゃないか? 

 恥ずかしさが癖になったら、もう戻れないよね。


 よかったらみんなも、書く人は特に、自分で本気で書いたクサい文章を音読してみて。この「うえぇぇへぇあぁああ!」って感じ、エムっ気ある人にはたまらないんじゃないかと、思います!

(よかったら私にこっそり聞かせて)

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