第14話 判決

「先生、お母さんがどうにかするって、遅れて来てねって」


「普通遅くなればなる程、余計罪が重くなるんだが?」


「大丈夫よ、お母さんにお任せよ!」


「ならPTA会長を信じるよ」


「早々私ね、将来は留学したいのよね、もしかしたら移住かもね」


「何処か良い所を見つけたのかい」


「フランスの小さな村なの、ワインを作る村なのだけれど、そこのレストランで流れていた曲に感動してここに居たい住みたいと思ったのね」


「へー何が君を動かしたんだ、レストランのBGMだろー」


「パイプオルガンの演奏で、村長のお葬式の時に流れていた曲なんだって」


(俺も師匠の死んだ時に、教会で演奏してたっけ)


「なんて曲なんだ、レコードであるのかな」


「それがねカセットテープなの、何回も複製したからノイズが凄いのよ! でも耳が離れないの、ナイフやホークの音が止まって聞き終えた後料理が冷めるのよ」


「何料理が冷めるほど聞き入る曲なのか? 凄いな、もう一度聞くよなんて曲なんだ」


「無いの名前は、ただ村人が言っている題は[幻影]と言ってるわよ」


「確かに聴いた事無いな、そんな題の曲」


(小さい頃の記憶に無いな、やめた後にできた曲かな)


「国語の先生なら、音楽の事は知らないわよね」


「そうだな」


「それで村長が亡くなった時に、そのお弟子さんが一晩中弾いていたんだって! 10時間位だって言ってたは!」


「凄いよな10時間、演奏する体力は」


(俺は昼からよく昼まで24時間弾いていたな! 悲しくて)


「それで何人かがテープで録っていて、所々しか無いの」


「でも楽譜はあるんだろー」


「それも無いのよ、その一晩だけの演奏会、楽譜なし」


(俺のは一日中だったな)


「何も無い、継ぎ接ぎだらけのカセットテープだけか」


「その続きがあるのよ、演奏者は日本人! 演奏の終わった次の日に消えたらしいのよ」


(俺も終わったら帰りの飛行機で、爆睡だったな)


「日本人なのか、会ってみたいな」 


「国語の先生が、会いたいの?」


「まあその凄い日本人には、会いたいな〜て事」


「その続きがまだあるの」


「随分長いな」


「村人は村長の財産を保管していて、相続人の日本人を探しているのよ、男の人なの」


「へー男なんだ」


「その人に渡すために、レストランで曲を流しているのよ」


「何のために?」


「偽物を見破るためよ」


「見破る為?」


「レストランで流れているのは一部だけなのよ、本物なら残りも演奏出来るはずだから、弾かして間違ったら詐欺師として警察に差し出すみたい」


「楽譜も無いなら、確かに本人以外弾けないから詐欺か?」


「そうよ億単位みたい事言ってたわよ、それを取ろうとする詐欺師、大体捕まるわね」


「そうだな日本人じゃない時点でも捕まるな」


「今生きていれば30歳以上ね、先生お幾つなの」


「さっき言った通り、今年ストレートで東大出たよ」


「やっぱり凄いんだ」


(俺は12の時だった、その後は辞めたが)


電話が鳴るジリリリンジリリリン。


「その音古いぞ」


「放って置いて」ガチャリ。


「お母さん、はいはい・・・・・・分かった行ってもらう」


「何」


「話ついたって、学園長室に来てくれって言ってます、行きましょう」


「おばちゃんお金置いとくね、また来るよ」


「お昼もやってるからおいでよ」


俺たちは食堂を出て、本館に行く。


理事長室前、カスミちゃんに何故かみられる? 手がネクタイに。


「よし曲がって無い、頑張れ先生」


「ウホン」


後ろを向くとナオコ先生と、局長と副局長。


「あら随分と仲がよろしいのね」


「この娘を誑かして、PTA会長に助けてもらったの」


「マサシ先生、諦めてないから」


扉を叩くトントン。 


「入ってみんな」


ゾロゾロ連なって入っていく。


「貴女、生徒は外で待ってなさい」


「まあまあ副理事長、私の娘よ気にせずお話ししましょう」


「まずお前達3人は普段の行動を正せ、キチンとしろ! そしてマサシ先生は来季より正式採用する、手続きを事務局長キチンとしておけ」


「マサシ先生良かったわね、来季から私達の娘をよろしくね! その娘は明日卒業するから明日の朝返せば良いわよ」


「お母さん何言ってるのよ、やめて恥ずかしいわ」


「全くPTA会長は行動が早い、私達も娘を呼ばないとね」


「教室行って、捕まえて来ようかしら」


「まあ明日謝恩会で、先生に紹介ね」


「謝恩会違うわよ! お見合いパーティーよ」


「明日のドレス確認しないと、娘達に負けないわよ」


「マサシ先生明日、お見合い違った謝恩会に参加よろしくね」


「では帰りましょう、娘をよろしく」


PTAの人たちは退室。


俺は両手を掴まれ座らされる、説教みたいだ。


「ではマサシ先生、本日付けで正式採用いたします! 社会保健等の手続きをして下さい、それと明日の卒業式と謝恩会はぜひ出席して下さい、全学園に紹介するのでね。それと言いにくいですが、一年以内に嫁を取るか婚約者を作て下さいね、強制は出来ませんがよろしくお願いします。今月の給料は慰謝料として支給するしボーナスも正式採用だから支払います、強制的な首も有りません。以上後は事務局に行って貰ってね、娘達を連れてなね」


俺たちは学園長室を後にする。


「全く何故ナオコは、あんな暴走をしたのかね?」


「あの娘達も、考え無く行動しないはずなのに?」


「とにかく、何かあったらPTAの責任に出来るわよね?」


「女生徒全員お腹がデカくなったらどうするのよ!」


「それは神のみぞ知る事だ、あやつらがうまくいく事を祈るのよ」


「分かったは、今日帰って来たら2人に行っておく」


「ではまた明日、卒業式で会いましょう」


明日の式無事に終わるかは、神のみぞ知てるのかな。


事務局で。


「ハイ手続き終わり、後は給料を振り込んどくわね! 明日確認して大卒の新人で上の方よ」


「なーあ局長、後ろの2人何で睨んでるんだ」


「それは私と話しているから監視でしょう」


「何故、女生徒はいるのかな」


「PTA会長からの預かり者でしょう、明日返せってね早く返さないと、着替えが間に合わないから程々で返すのよ」


「程々て、すぐ送っ来るよ」


「送って誰の元に帰るのかな、その言い方だと


「それは違うかな」


「仕方ないわね、私達も自重しないとね! もうすぐお昼ねどこにいくの」


「奥の食堂で食べる、また後で」


振り返るとカスミがいた。






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