第9話 もう首

昼飯を食べて、午後の行動を確認する。


「ナオコ先生は、午後どちらに行きます?」


「私は音楽科の生徒の立ち会いよ、今日はピアノかな、2・3人見るわね」


「そうですか、なら近くで見学しても良いですかね」


「良いけど絶対に生徒と2人にはならない様に、首になりたいなら別だけどね」


「大丈夫ですよ、先生と一緒にいますから」


「えっ私と一生いてくれるの!」


「一生違います一緒ですよ、音楽の先生なら耳大丈夫ですか」


「失礼ね昨日から、大体貴方が昨日居なかった事が悪いのよ、今日はちゃんと門で待っててね」


「今日も夕飯一緒ですか?」


「当たり前よ昨日の事の責任を取って貰うんだから!」


「責任ですか、なら事務局長さんも誘わないと駄目ですね」


「なんで彼女を誘うのよ、私1人で充分でしょう!」


「昨日の責任を取らないと思いまして2人いないと」 


「そうね、仕方ない私の方で連絡しときます」

(言わないで2人きりよ)


「どうかしましたか、連絡はお願いします」


「はい大丈夫、それでは教室に行きましょう」


長い廊下に大小各部屋が並んでる、ピアノの部屋は大きい。


「まあグランドピアノを置くとこうなるわね、でも三重奏とか出来るし丁度いいわよ」


(懐かしいけど、今の俺には関係ない)


更に奥、各部屋の受付が有る、椅子に座った生徒が何人かいる。


「先生こんにちは、今日も頑張ります」


「先生指導よろしくお願いします」


「先生指導お願いします」


受け持ちの生徒が挨拶してくる、そして俺を見ている。


「この人は来年から貴女達の副担任になる人よ、今は研修中だからその辺の置物と思ってね」


(酷い言い方だ、置物って)


「顔変よ、笑ってみんな怯えてるわよ」


笑った、余計怯えている。


「ハイハイそれじゃ各部屋に行って、練習少ししたら部屋に行くから頑張ってね」


「「「はーい」」」


3人の女性とは各部屋に移動。


他の生徒も俺を見ている。


「そうね、みなさんこの人は春からこの学園の先生です。

私のクラスの副担任ですよろしくね、ほら挨拶して」


「今度春からこちらのナオコ先生の下で副担任をします。

高橋マサシです、よろしくお願いします」ぺこり。


「はいよく出来ました、後は静かに余計な事はしないでね」


「先生お母さん見たいね」


「それより名前で呼んでたわよ」


「もしかして恋人」


「ウソー彼氏と彼女」


「ハイハイ余計な事言ってないで、貴女達も部屋に行って準備しなさい」


部屋に残っていた女生徒も出て行く、後ろを向くナオコ先生。


「いいかしら、これからは河合先生と呼んでくれる変な誤解は要らないわよ!」


「すいません河合先生、気をつけます」


「よろしい2時間付き合ってね」


ドアの影の女生徒。


(ほらほら付き合ってるて)


(2時間一緒だって)


(ホテルで休息)


(わーエッチね先生達)


また俺の良からぬ噂が流れて行く、俺の知らない所で。


その頃の事務局長。


(どうしよう男の子と一晩きゃー、さっき来たけど目を見れなかった。話も適当だったし嫌われたかな? でもあの娘も狙っていたとは、どうにかして既成事を作らないと! とりあえずAはした?あの娘は唇私はホッペ同じAでも場所はうでも私は一瞬でも裸見せたしやだ〜恥ずかしい、あの娘は下着までしか見せて無い! よしそこは私のリードよねここからよ勝負はね)


「局長、この書類ですが」


私は副局長の声で我に帰る。


「どうかしたの?」


「声漏れてました、一晩とかAとか裸や下着などです、気おつけて下さい」


(心の声が漏れていた)

「忘れて忘れてお願い」


「無理です、みんな聞いていました!」


こうしてまた噂が広がって行く。


春まで首つながってるかな。



防音付きの部屋で、女生徒のピアノを聴いている。


「そうね大分良くなったわよ、もう一度引いてくれる」


(この水準でいいの、これでは世界にいけないだろー!)


曲が流れるそして終わる。


「いいわね、その調子で続けて練習して、コンテストはもう直ぐだからね」


(どこのコンテストだ、幼稚園の発表会かよ)


「ちょっと貴方外に出て」


俺は手を引かれて外に出される。


「さっきから聞こえてるのよ、何を言っているのか彼女は大事なとこなの、余計な雑音やめてくれない」


「でもコンテストて、出るのは出来ても通らなければ意味ないだろ〜」


「とりあえず出て雰囲気を覚えないと、緊張で先のコンテストに出れないのよ」


「通らなければ意味ないだろーよ!」


「国語教師が、音楽の事で音大出の私に意見しないで」


「意見じゃない正論だ、出るだけでは世界は見てくれない」


「何偉そうに、首よ首! 出て行って」


「分かりました、お世話になりました。背広のお代は他で仕事して返します、さようなら」


俺は事務局に向かった。


(あれ私何を言ったの、さようならて何)


事務局に入って行く俺。


「事務局長さんいますか」


「待っててね呼んでくるわよ」


何故か顔を見られながら笑われてる、奥から事務局長が現れる。


「マサシ先生どうしました?」


「河合ナオコ先生から首を言われました。短い間でしたが、お世話になりました。この背広のお代は他で稼いでお返しします」


「えぇ何、聞いてないわよ、ここにいてね、聞いてくるから」


「いえはっきりと言われましたので失礼します」


俺は出てゆく。


「どうしました?」


「副局長彼を追って、私は河合先生に事情聴取してくる」


局長は河合先生を探しに校内に、副局長は俺の事を追いかけてくる!
















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