第7話 三つ子とお酒

俺は何故車に乗っている。


門の所で2人を待っていただけなのに。


お母さんと思しき人が降りて来たと思ったら、前からガタイのいい人が2人。


「ささどうぞ、乗ってください」


両方から持たれて車の椅子に、またお母さんが乗ってドアが閉められた。


「先生は何を教えるの」三つ子A。


「えーと国語と社会だな」


「どこの大学出たの」三つ子B。


「東京大学です」


「違うの東京の何処の大学」三つ子C。


「だから東京大学だよ」


「?」


「?」


「?」


「貴女達東大の事よ、1番の大学よ! 女子校なら殿方を狙ういちばんの所よ」


何故か3人の目がキラキラ、手を胸の所で結んでる。


「どうしたお前達、何拝んでる」


「すいませんね、旦那様を貰うなら東大で次は早稲田慶応と言ってましたので、

その東大卒の方を見て憧れてますのよ」


(東大出た男を婿に取る気か、気おつけないと)


「どうかしましたか、それよりこれから行く店は、フランス料理の店でしてお口に合いますかね」


「大丈夫です、なんならラーメンでも」


「あら中華料理の方がよかったかしら、なら旦那さんに連絡しないと」


「いえフランス料理好きです食べます」


車は高級レストランに。


「荷物は置いておいて、また家まで送りますから」


俺は手ぶらで店の中に。 


「お待ちしてました奥様、ただ旦那様は予定がつかないようで欠席ですと連絡が

ありました」


「そうまあ良いわ、彼がいるから人数は同じね」


5人で個室の中に案内された。


「私先生の右」三つ子A。


「私は左」三つ子B。


「えーずるい、なら正面」三つ子C。


「まあまあ仕方ないわね、なら私は先生の足の上ね」


「お母さんずるい」三つ子A。


「そこは考えなかったは」三つ子B。


「そこでアーンされたかった」三つ子C。


「待ってください降りてください」


「冗談ですよ、これでも旦那様一筋なんでね貴女達も、そんな事ではよその子に取られてしまいますよ」


「はいこれからは積極的に」三つ子A。 


「お母さん参考にします」三つ子B。


「今度こそその場所に」三つ子C。


「いやいや、普通に食事しましょうよ」


やっと最初の食事が来るみたいだ。


「奥様ワインはどうしますか?」


「先生の前で子供には無理ね、お水とフレッシュジュースでね、先生と私は」


ワインのリストを見て指を刺す。 


「ならこれとこれ、白はこれね先生、私の方で選んで宜しくて」


「お願いします」


(値段は見たくない、味だけだ)


そして出てくるワイン。


給仕が奥さんに説明している。


「それでは乾杯」


俺は飲んで「?」


「どうしました」


「これ抜けてますね、味落ちてます」


「そんな事はありませんよ」給仕。


「まあまあ飲んで見てよ」


給仕は呑んでそして「失礼しました取り替えます」


「今度はここでコルク抜いてくれないかな」


「はいすぐ用意します」


「すいませんね先生、不愉快な思いさせて」


「いやー食事は楽しく美味しくです、美味しくなければ楽しくもないので」


給仕とソムリエがまたくる。


「それでは、このワインで、よろしいでしょうか?」


俺は見て首を捻る。


「どうかしましたか?」


「ここ解ります、シールの一部がおかしいよね」


「何処ですか」


「この所の刻印がずれているんです」


よく見ないと分からない僅かな歪み。


「箱で買ったなら、全て調べてください」


慌ててソムリエは出て行く。


「お客さま大変失礼しました、これはお詫びです」


年代物のワインが出てきた。


「それでは改めて乾杯」


「乾杯」


その後は美味しくいただいた。


旦那さんも駆けつけて楽しい時間だった。


最後にあの悪夢。


シェフが挨拶に来た。


「皆さま食事の方はどうでした・・・また貴様居たのか、ワインはお前が発見したんだな!」


「まあ発見した、そうだなソムリエが気がつかないと」


「何故あれが偽物とわかった」


「飲めばわかるだろー、まさか1本も試飲しなかったのか?」


「高いし信頼のある業者だったんでな、申し訳無かった」


「まあ仕方ないな、年代物は高いから試飲したくないよな! でも偽物は流石に許せないな」


「今業者を呼んでいる、どうなるかはソムリエとオーナーの判断だ」


「シェフがオーナーでは無いのか?」


「オタクの学園長がここのオーナーだ! 後で言っておく」シェフは退室。


「またやってしまった、忘れてたあの二人の事を明日謝らないと」


「それでは帰るか、先生お土産にこれ持っていってくれ、楽しい食事だったよ」


旦那さんからワイン5本貰った。


「先生送って行くは、車に乗ってくださいね」


6人で車に乗る。


「行き先は先生」


「○○駅までお願いします」


ほろ酔い気分で駅から歩く俺、しかし1日はまだ終わらない。


階段登って部屋の前、何か大きな影。


「貴様ー何処に行っていた、何故アルコールの息が、女と飲んで居たんか!」


「オネーサンは信じて待っていたのよ門に居ない事なんて気にしないは、ただ寒いので中に入れてね」


あゝすぐ鍵を開けてエアコンを入れる。


「すいませんね、三つ子のお母さんに食事誘われて拉致されました」


(本当の事だよな)


「三つ子てなんです」


「あの時園長室の前で、口論になった三つ子です」


「あの子達なの、その親なら攫って行くかも」


「そうだお詫びにこのワイン1本づつ持って帰って下さい」


「詫びなら全部よこせ呑んでやる」


「事務局長、彼女飲んでますか?」


「そうね、大瓶2・3本ね」


「ビール2、3本お酒弱いんですね」


「違うわよ、日本酒の一升瓶よ! 急ピッチで飲んでた」


「えー大丈夫なんですか」


「酔った勢いで泊まるみたいね、寝てしまったら何も出来ないのに」


「泊まるって、あっ寝てる」


ワイン瓶を両手に持ち大の字で寝ている。


「さー私たちはそこのベットの上で飲みましょう、いつ寝てもいいように」


待ってください、事務局長!

















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