第2話 面接そして採用(仮)

「全く園長もこんな非常識な人を面接なんて」


「やはり常識無いと思われますかね」


「当たり前よ、アポも取らない普段着で面接。

何足元健康サンダルて、その時点で落ちるわよ」


「先生も就活してたんですか?」


「去年ね、今年は社会人一年目の終わる所よ」


「なら一年先輩ですね」


「貴方が受かったらね」

(そうだ今年は新規採用はまだ無いこいつが受かれば私の雑用が減る)


長い廊下を歩き奥の立派な扉の前に来た。


先生は俺を上から下に見てため息を付いている。

(無理よコイツに期待したって、社会人以下よね)


「良い挨拶ぐらい出来るわよね、服装はもうどうにも出来ないから。

笑顔だけは忘れないでね」


扉を叩くトントン。


「入ります教師志望の男性を連れて来ました」


ガチャ扉を開けて先生が先に入る。


奥から声が。


「どうぞ入って下さいね」


「失礼します」


俺は中に入り頭を下げる。


「本日はお忙しい所私の為に貴重な時間を割いて頂きまして。

ありがとうございます」ぺこり。


「まあまあ、座って下さい、パンパンお茶をお持ちして」


「それでは失礼します」


先生が退場しようとすると。


「先生も面接官に加わってね、おばさん2人だと

同じ質問しかしないから、若い人の意見も聞きたいは」


「はあしかし」


「良いから先生も座って質問してよお願い」


(不味いよ、マイナスからの採点かよ)


「顔が曇っているけど、面接は面接よ、ここから採点してあげます」


先生よりありがたい言葉。


(コイツを採用させて、雑用よりおさらばよ)


(よしがんばろー)気合いを入れる。


「それでは始めます、まずお名前は」


「さだまさしですよろしくお願いします」


「それで出身大学はどこですか」


「はい東京大学教育学部です」


「免状はこれね」


「先生これは本物?」


「はい私と同じ物です」


「なら本物と、次卒業証書はお持ちかしら」


リュックリュックと。


「エヘン」先生から咳払い。


(不味い)「リュックを開けさせてもらいます、よろしいでしょうか」


「どうぞ」


「良いわよ、まあ一旦保留ね」


俺はリュックの中から卒業証書を出す。


「これを確認して下さい」


卒業証書広げる。


「はい確認しました」


「私も確認しました」


女の先生は。


(これが東京大学の卒業証書羨ましい)「確認しました」


「それと大学の紹介状は」


リュックからまた出す。


「他の会社を訪問した時の物です、慌てて来たのでご了承下さい」


「はい見ましょう」


「ほー凄い成績ね」


「ホホホ凄い成績ですね」


(コイツオールAかよ、不味い私の雑用からの脱出が)


「はいこれも大丈夫ね」


「それでこの学園に応募した理由は?」


「それがですね」


俺は洗いざらいこの日のことを答えた。


「卒業した翌日に倒産」


「就職難民ね」


「そのニュアンスはどうかと」


「なら浮浪者」


「もっと違いますね」


「だって失業じゃ無いわよね、就職辞退でも無いしね」


「まあまあとりあえず続きね」 


それから30分間質問が続いた。


「これで聞くことは無いかな?」


「私は良いわよ」


「私もです」


「それでは検討するので外の扉の前にいてね」


「なんか立たされて坊主みたいな言い方」


「私も出ます」


「貴女は採点するのよ!」


「ええ面接官だけでは?」


「採点までが面接官の仕事よ!」


「それでは失礼します」


俺は外に出た、扉の横の窓から天を拝んで祈っている。


すると背後から声が。


「アレなんで男性がいるの」


「不審者、先生に言わないと」


「なら職員室に通報よ」


「イヤ待ってくれ、俺は不審者じゃない面接を受けに来た者だ」


「大体の不審者はそう言うのよ」


「早々外見てたでしょう、みんな外にいるから物色よ」


「やっぱり変態、先生に報告しないと」


(何だ同じ顔で言われても、可笑しいよな)


「コイツ笑ってるわよ」


「やっぱり変態ね」


「お巡りさん、変態います、捕まえて!」


この3つ子との出会いが最初の不幸、この後に来る不幸を俺は知らない。


ガチャ扉が開く。


「何どうしたの、貴女達?」


「先生、そいつ変態の不審者よ」


「逃げて先生、やられちゃうよ」


「変態は外に行け」


「どうすれば扉の外にいるだけで、この騒ぎになるの?

やはり採用は無しね! 残念」


「えっえ採用無し」


膝から落ちる俺そのまま3つ子を睨む。


(お前達が騒がねば採用だったのに)


「こわ〜い睨まれた、逃げろ」


「先生も逃げてね」


「変態は追いかけてこないでね」


「くそ〜アイツら」


追いかけようとする俺、その時。


「追いかけたら本当に不採用よ、とりあえず中に入って」


女の先生の言葉で我に帰り、膝辺りを払う。


「面接の結果を言うから中に入って下さい」


女の先生の後に中に入る。


「面接の結果をお伝えするは、一応案内書の通りの3年間は仮採用。

3年無事過ごせば本採用よ!」


「まあ男性教師はすぐ居なくなるからな、妥当な採用方法だろーね」


「給料と休み等は本採用と同じ違いは、いつでも首に出来る所かね」


「園長先程廊下で、女生徒と口論してましたよ」


(待ってくれ俺が悪いわけでは)


「そこで仮の仮()付きで採用してはどうでしょう。

1年間は(仮)で1年後は()を外して仮採用様でどうですか?」


「その意味は?」


「1年以内なら、雇った事も無くしましょうと言う事です」


「就職した事態を無くすのか」


「担保にボーナスを抑えといて1年間無事勤めたら、功労金で上げたらどうですか?」


「君はそれで良いのか」


「それでも雇っていただけるのでしたら、構いません」


「では採用しましょう明日昼前に来てくれる。

説明しながら昼食を食べましょう。

お昼前に来て下さい」


俺は立ち上がり挨拶をして、扉を閉めて出口に向かう。



















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