俺は高校教師(天才高校教師は秘密がいっぱい)

川向こうのジェロ吉さん

第1話 新卒の高校教師

☆☆☆☆☆☆

ここに一枚の写真がある。


1人の男の周りに笑顔の女性達。


男は白いモーニングを着て真ん中に座っている。


周りの女性はウェディングドレスを着ている。


さらに後ろの方からウェディングドレスを着た集団が、駆けてきて来る様に見える。


小高い丘のブドウ園の隅で撮られた写真。


男の顔は引き攣っているようだ。


女性達は満面の微笑み。


そんな写真に込められた男の物語! 

☆☆☆☆☆☆



やったー大学卒業。


これで来月から安定した収入を貰える。


親の会社が倒産して父親が自殺、母親は心労より5年前に他界。


俺は5年間どうにかアルバイトで食い繋ぎ、無事卒業出来た。


卒業する者達で宴会して、自宅アパートに戻ってきた。


手紙が一通入っていた(なんだろー)。


部屋に入り手紙を見る。


何だ就職先の出版社か、封を開き中を見る。


俺は固まったまま朝を迎える。


目が覚めた俺はもう一度手紙を見る。


[当社は倒産しました、貴殿には残念だと思いますが

頑張って下さい]


この2行だけかよ。


俺は電車に乗り出版社に向かう。


バスを乗り継ぎ出版社の前に。


債権者と思しき人物が、ウロウロしている。


「これは近寄ってはダメだ」


引き返してバスを待つ。


(どうしたら良いか、取り敢えず大学の就職課か)


「よし大学に行くぞ!」


俺は来たバスに乗り、大学に向かう。


駅に着き電車で、大学に向かう。


(大学行っても新しい就職口は、あるのだろーか)


駅に着き大学まで歩いて行く。


昨日までいた学舎だ。


(さて就職課に行こう)


就職課の事務員を見つけた。


「すいませんこの手紙見てください、卒業したのに

倒産なんだって手紙来ました」


事務員さんは呆気に取られた顔から、冷静に手紙を読んでくれた。


「えーとこの言う件は一年に何回かありますが、卒業後は初めてで

奥で聞いて来ます」


少しして奥から男性を伴い、さっきの事務員がやって来た。


「当方も初めてでね、解決方法がわからないんだよ。

良ければ少し時間をくれないかね」


「そんな〜今月就職出来ないと、アパートの家賃が払えません

家財道具持って公園で寝ろと」


「そうだ、少しお待ちくださいね」


男性事務員との少しの沈黙の時間。


女性事務員が奥からやってきた。


「この募集ですが、私立高校の教師の募集です

貴方は教師の免状お持ちですか?」


「え〜と国語と社会、小中高有ります」


「ではこの紙を持ってこの住所に行って下さい

まだ春休みで無ければ受けられます!」


「ありがとうございます、これから先方に行ってみます」


俺は急いで入り口に向かった。


「良いのか、あの物件」


「本採用は3年後それまで仮採用、誰もその条件見たら申し込みは

無い案内。

何時も何時も毎年来る募集を、ここいらで案内して今度来たならば

断ろーとしていた案内、消化出来て良かった」


「お前事務職の鬼だな」


「大体卒業したら、ここは利用できないのよ

ここは在学中の人様よ!」


「やっぱり鬼だな」


俺は案内も読まず駅から電車に乗る。


案内通り高校の正門に着く。


[光の星女学園]


(女子校かよ、良く案内書見れば良かった)


そう今だに内容を読んでいないのだ。


「とりあえず職員室か、事務局に行けば良いかな」


門を入り案内板を、見ていると声がかかる。


「ねえ君勝手に校内に入らないでくれる。

私の仕事が増えるから」


と防犯カメラの方を指を指す。


「すいません、この募集に応募しに来ました!」


「えー何その紙見せてみて」


俺は彼女に案内書を渡す。


「どれどれ、ふむふむ、そして裏ほおー」


案内書が返される。


「まず教師の募集は本当よ、正し女の教師を募集ね。

小さく男の教師の場合は、3年間仮採用と書いてあるわよ」


俺は案内書の中を確認する。


確かに裏の下の方に小さな米印が書いてある。


目の前の彼女の言う通りだ。


「そこを読んでもまだ本校に来たいの?大体男性教師なりたてで女子校なら楽しくて応募したくなるわよね!」


蔑む彼女の目。


「違います話を聞いてください」


「聞く訳ないわ、大体女生徒に囲まれてハーレムとか思っているんでしょう」


「もう一度言います、話を聞いて下さい

お願いします」


「ハーァ、良いはその作り話少しだけ、聞く事にするわよ」


俺は身振り手振りで、これまでの経緯を話す。


「そんなに簡単に就職先は倒産しないわよ。

アポ無しに紹介状も無い人物、雇うわけ無いわよ!」


そこに後ろから鋭い眼鏡をかけた女性が現れる。


「先生どなた、先程からカメラに写ってるのだけど」


「先生希望の男性です、アポ無しなんでお帰り頂こうと!」


「貴方出身大学と教科は?」


「はい、東大で教育学部を、このえーと昨日卒業しまして。

あのー、国語と社会の教員免許を小中高と持っています。

これがカードです」


免許証みたいな身分証明書を渡す


「まあアポ無しは仕方ないわね、今度からは連絡してから来て下さいね」


「ならいつなら面接してくれますか?」


「うーんちょっと待ってて」


女性は携帯で、何処かと話してる。


目の前の女性にはずっと睨まれている。


「はい分かりました、すぐ伺わせます」


電話は終わった様だ。


「先生この人を園長室まで案内をお願い。

まあ普段着だけど仕方ないわね」


「良いんですか案内して、何処の馬の骨とも分からずに」


「丁度園長と理事長が、卒業式の打ち合わせで居るみたいなの。

ついでに面接するみたいよ!」


「はぁーならこっちよ、付いてきて」


「ほら付いていってよ、遅れない」


俺は先生と言われる女性の後を、ついて行く。










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