第2話

前世平凡な人生を送り、現世も平凡な人生を歩むであろう私にとって、前世で読んだ小説のように知識を使って成り上がろう、という意欲は全く無かった。


ただ、安定した職に就きたい。

適度な収入、美味しいご飯。

そして本。


前世を思い出した6歳児の将来はこの瞬間確定する。



それからというもの、やや現実主義な6歳は真面目に成長し、学校で規格外の成績を取ったり、魔法で突出した才能を発揮したり、超絶美形とその取り巻きに遭遇したり・・することもなく、普通よりちょっと良い成績で順調に大学まで卒業した。



現世は前世の地球の様で、地球では無い。

平行世界の地球なのだろうか。

魔法と科学技術が混在している中々混沌とした世界だが、程良く棲み分けが出来ている。

この前ニュースで「生物学者と魔法使いの混合チームが、火星に到着!」という特集を組んでいた。


そんな世界で私が望んだ職業は、国立図書館の職員だ。


国で出版されたありとあらゆる本が納本され、人類の叡智が結集された素晴らしい場所。

そして何より、国立図書館職員は国家公務員。


ザ・安定。


本が読める上に安定した給料。私の理想は此処に具現化していた。


理想を求めて必死に勉強して国家公務員試験を突破した甲斐があった、と出勤1日目にしみじみと感慨に耽ったのだ。









配属先で上司を見るまでは。










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