第6話 ジョブ選択つづき

ジョブ

戦士

まどうし

僧侶

騎士

勇者

盗賊

テイマー

アーチャー

剣士

遊び人


 ルデスは割とスタンダードなジョブが並んだと思った。

 ジョブ名からある程度想像できるが、各種ジョブが得意な武器とか覚えるスキル、ステータスなどは知りたいところだ。


「なぁ、各種ジョブの特徴とか教えてくれよ」


 ポートがアネモネに問う。

 だが、アネモネは首を横に振った。


「名前から推測してなりたいジョブを選んでください」


「そんな! どんなジョブか分からないと、俺は選べないぜ! 例えば戦士は魔法は使えるのか? 遊び人って役に立つのかよ?」


「言えない決まりです」


「このジョブ選択は、俺達の命がかかってると言っていい! 教えてくれ!」


 ポートはしつこく問い掛ける。

 だが、アネモネは首を縦に振らない。

 他のメンバーも彼を止める気は無い様だ。

 そりゃそうだ。

 ジョブ選択は命に係わる。

 名前だけで決めてそれが弱いジョブだったら……

 ルデスもそう思っていた。

 だが、こうも思っていた。


(仮にアネモネがジョブの詳細を教えたとして、例えば勇者が有利だと分かった時、皆勇者になりたがったとしたら……)


 そんな偏りのあるパーティで戦っていけるのだろうか。

 ルデスがそう思っていると、アネモネと目が合った。

 アネモネは口を開いた。


「仕方ありません。教えられる範囲の情報をお伝えします」


 皆、アネモネを見る。


「どの職業も必要不可欠な戦う上で全て必要な職業です。よく考えてください」


 ルデスはその言葉で、自分の考えがまとまった。


「皆、思ったんだけど、皆が同じ職業になると、あとあと、大変なことになると思うんだよ」


 皆が一斉にルデスの方を向く。


「どういうことだ?」

「ポート。これは多分パーティで戦うゲームなんだ。皆が勇者になったとして、治癒魔法使いは誰がなる? 怪我したメンバーを治すのは誰が対処する? 魔法しか通じないモンスターが現れたらどう対処する?」


 その言葉に、ポートは反応した。


「……確かにそうだな。じゃ、俺が勇者になる。皆、ついて来い!」


 ポートは自信家だった。

 ルデスはポートに呆れた。


「俺の話を聞け。バランスが重要だって言ってるんだ!」

「だから、俺が勇者になって皆を引っ張る。他のジョブはそうだな、俺が皆の適性を見て決めてやるよ。まず、フィリアこと紗由香、お前は気付いてないだろうが魔性の要素がある。だから魔導士だ」


 ポートは皆を見渡した。


「まったく、陶兵はいつも目立とうとするんだから」


 と、ポートのことを現世の名で呼ぶのはフィリアだった。

 二人は現世で知り合いなのか?

 ルデスは思った。

 ため息をつきながらも、フィリアはポートにジョブを決めてもらって嬉しそうだ。


「お、おい!」


 ルデスはポートを止めようとするが、ポートは止まらない。


「マイは大人しそうだから僧侶だな」


 大人しそうだから僧侶という理論が分からない。

 だが、


「分かったわ」


 満更でも無い顔だった。


「僕は自分で決めるぜ」


 一人、意思表明したのはマンジーニだった。


「何の職業だ?」

「盗賊だ」

「盗賊? 他に強そうな職業があるだろ?」

「いや、俺は盗賊になると決めた。多分、ゲームでは扉を開けたり、金が必要だったりするだろ? 俺が何とかする役になる」


 そう言われてはポートも納得した。


「じゃ、最後にルデスは……」

「俺も自分で決める!」

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