尿意 再び

 ある時。


「ちょっと、お散歩に行って来るね」

「ほほう、ならばこのオズ様が同行してやろう」


 またある時。


「じゃあ、魔族の人に呼ばれているから、行ってきまーす」

「ふん、仕方がない。儂がついて行ってやる」

「……」


 そして、またまたある時。


「お手洗いへ」

「まったく。せわしない奴め」

「……ねえ、オズ?」


 どこへ行くにも必ずついて来ようとするオズに、僕は苦笑する。


「僕は逃げたりしないから、みんなと部屋にいても良いんだよ?」

「ふふん、矮小わいしょう心遣こころづかいなど、儂と貴様の関係では無用だ。儂が直々じきじきに付きってやっているわけだが、有り難く思えど恐縮する必要はない」


 いや、迷惑なんですけどね?


 オズが受けたというお告げの正体は、シャルロットの陰謀いんぼうだった。

 オズも一応は魔獣らしく、寝ていても音には敏感らしい。その寝耳にひっそりとささやくことで、お告げと思い込ませているんだね。

 そして、耳元への囁きに飛び起きたオズは、寝ぼけまなこでシャルロットの姿を見たことがあるのかも。


 そりゃあ、ぼんやりとした視界で見たら、金色の大魔族に見えちゃうよね。


 そんなわけで、オズは新たなお告げ以降、こうして僕にべったりとくっついて離れようとしない。


 ほんと、迷惑だよね?


 お告げの正体を知っているミストラルたちは、笑いをみ殺しながら、僕を送り出す。

 オズは意気揚々いきようようと、僕のあとをついて来る。

 僕は困り果てながらも、尿意に従うようにお手洗いへと向かう。


 ちなみに、お部屋で寛いでいたのはミストラルとルイセイネとライラだけ。あとのみんなは、朝から外出していた。

 どこに行ったんだろうね?


 まあ、それはともかくとして。


「ねえねえ、オズ。なんで僕から離れようとしないのさ?」


 本当は理由を知っているんだけど、あえて聞いてみる。

 すると、オズはそこだけ白い毛並みの胸を張って、威張いばったように言うのだった。


「それを貴様に告げる必要性はない!」


 やれやれ、だよ……


 僕はオズにではなく、迷惑なお告げを下したシャルロットに対してため息を吐く。


「あらまあ、エルネア君。ため息などをお吐きになって、どうしたのでしょう?」

「それは、貴女のせいですよ!」


 覚えた道順で魔王城の回廊を進んでいると、かどからシャルロットが現れた。

 僕はたまらず、糸目で微笑むシャルロットの服の裾を掴む。


「あのね、シャルロット。すごく迷惑しているんだけど?」


 なにが、とは言わないよ?

 でも、状況で察するよね!


 ちらり、とシャルロットはオズを見た。

 オズは、おびえたように僕の背後に隠れて硬直している。二股の尻尾を股間に挟んでいるところを見ると、本当に怖いんだね。

 無下むげに蹴られた記憶と、相手が本物の大魔族だからだろうね。


 ああ、この場で暴露ばくろしてあげたい。


 このシャルロットこそが、オズがした金色こんじききみなんだよ。お告げなんて、偽物にせものなんだよ、騙されて弄ばれているだけだよ、と!


 だけど、シャルロットは僕のくちびるに人差し指を当てて、ふふふ、と意図を含ませて微笑んだ。


 こわい!


 身の危険とか、命の危機とかではなくて。


 シャルロットの意に従わなかったら、こちらが大迷惑する陰謀を企てるに違いありません。

 なんて邪悪な魔族なんでしょう!

 さすがは最古の魔王の最側近です……


「エルネア君。そろそろ遠征軍が竜王の都に迫るそうでございます」

「教えてくれて、ありがとう。それじゃあ、父さんたちを迎えに行かなきゃね」


 上手く話題をらしたシャルロットは、部下や荷物持ちの人たちを引き連れて、歩いて行ってしまう。

 奴隷の人たちが、僕だけじゃなくオズに対しても深く頭を下げながら通り過ぎて行く。

 シャルロットの視線がなくなり、奴隷の人たちがうやうやしい態度を取ってくれるので、オズは僕の背後で威張っていた。


 やれやれ、困った狐さんです。


 僕は仕方なく、オズをともなってお手洗いへ。


 だけど、シャルロット一行が過ぎ去ったあとの回廊から、新たに僕たちの進行を阻止する者が現れた。


「あら、エルネア君じゃない」

「あら、オズじゃない」

「また、ふたりしてお出かけでしょうか」

「やあ、ユフィ、ニーナ。それと、マドリーヌ様。僕としては単独行動がしたいんだけどね……」


 シャルロット一行を密かに追跡するように現れたのは、元大迷惑冒険者三人組だった。


「で、三人はなにをしているの?」


 つい好奇心で質問したのが、間違いでした。

 きらーんっ、と瞳を輝かせたのは、巫女頭みこがしらのマドリーヌ様。


「さすがはエルネア君です。信心深いですね。それでは、行きましょう」

「えっ!? ちょっ、ちょっと、どこに!?」


 有無を言わさず僕の服を引っ張るマドリーヌ様。


「エルネア君が仲間になったわ」

「オズのおまけ付きだわ」

「ええい、儂はおまけではない!」


 オズは、絨毯が敷き詰められた床にばしばしっと二股の尻尾を叩きつけて抗議するけど、おまけ以外の何者でもないよね。

 なんて感想を浮かべている場合じゃありません。


 ぐいぐいと、マドリーヌ様は僕を引っ張って回廊を進んで行く。

 お手洗いとは別の方角へ!


「ねえねえ、どこへ行くの? それだけでも教えてほしいな」


 嫌な予感しかしません。


 だいたいさ。魔王城のなかで魔王に次いで権力を持つ宰相のシャルロットを尾行している時点で、絶対に怪しいよね。


 シャルロット一行が進んでいった回廊を、僕とオズを加えた元大迷惑冒険者たちは進む。

 すると、途中で新たな人影が!


「セフィーナが、仲間になりたそうな目でこちらを見ているわ」

「セフィーナが、仲間に加わりたそうな視線を向けているわ」

「嫌よっ。絶・対・に、嫌っ!! お姉さまたちに関わるなんて、まっぴら御免ごめんだわ!」


 運悪く僕たちと出くわしたのは、魔族相手に鍛練をして、戻って来る途中のセフィーナさん。

 セフィーナさんは二人の姉を見るや否や、きりっときびすを返して逃げようとした。


 だけど、結果は見えているよね……


「セフィーナが仲間に加わりました」


 ユフィーリアとニーナに捕まったセフィーナさんを見て、マドリーヌ様が満面の笑みを浮かべていた。


 ああ、僕たちはこのあと、どうなってしまうんだろう。

 魔王城内で編成された冒険者たちは、いざ目的へ向かって進む!


「……で、目的ってなに?」


 出発直後から、どんよりと疲れ果てた様子のセフィーナさんと僕は、改めて三人に問いかける。

 すると、マドリーヌ様はなにを言っているのでしょう、と逆に僕たちをとがめる。


「エルネア君、私の目的をお忘れでしょうか?」

「あっ!」


 そうでした。

 バルトノワールの野望を打ち砕いたことで問題は解決したと安堵あんどしていたけど。マドリーヌ様が個人的に抱えている問題は、なにひとつ進展していなかったよね。


「魔王に奪われた錫杖しゃくじょうを取り返さなくてはいけないのです。さあ、これから魔王退治ですよ!」

「いやいやいや、それは絶対に無理だからね? 側近のシャルロットにさえ、僕たちは勝てませんから!」


 なるほど。シャルロットを尾行していた理由がわかったよ。

 仕事はシャルロットに任せて、ふらふらと出歩く巨人の魔王。その所在を知るために、シャルロットをひっそりと尾行していたんだね。


 でも、魔王を見つけても、退治なんて無理ですからね?

 逆に、僕たちの方が退治されちゃう。


「魔王は、シャルロットを倒したら錫杖を返すと言っていたわ」

「魔王は、シャルロットを討伐したら錫杖を返却すると言っていたわ」

「でも、そのシャルロットにさえ僕たちは敵わないよね?」

「むきぃっ、エルネア君がそんな弱気でどうするのです。女神様への信仰心があれば、きっと目的は達せられるのですよっ」

「信仰心だけじゃ、どうにもならないと思うのだけれど?」


 面倒事に巻き込まれてしまった、と落胆するセフィーナさん。だけど、逃げようにも逃げられない。両脇を、ユフィーリアとニーナに掴まれているからね。


 とはいえ、魔王退治とかシャルロット討伐はさておき、僕としてはマドリーヌ様の手助けをしたい。

 でも、どうすれば良いんだろう?


 マドリーヌ様に引っ張られて回廊を進みながら、僕は思案する。だけど、妙案みょうあんなんて急には思いつかない。

 だって、本能が尿意を伝えてくるんだもん!


「ちょっと待って。逃げたりしないから……。お手洗いに行かせて!」


 さっきから腰を引いて、下腹部を押さえてもじもじしている僕。それを見たマドリーヌ様は、掴んでいた僕の腕をより強く身体に引き寄せてきた。

 柔らかい女性の感触と温もりが、巫女装束みこしょうぞくしに伝わってくる。


「あら。私はてっきり、巫女の肢体したいに欲情なさっているのかと思っていました。もう、エルネア君たら。聖職者に興奮するだなんて」

「いやいや、欲情なんてしていないからね?」

「あっ。マドリーヌ、ずるいわ。エルネア君を寄越よこしなさい」

「あっ。マドリーヌ、卑怯ひきょうだわ。エルネア君を返しなさい」

「お姉さま方、それにマドリーヌ様、こんなところでなにをしているんです!」


 さすがは暴走双子とその相棒です。

 魔王から錫杖を取り返す、という目的を忘れて、僕の争奪戦が始まった。


 回廊の真ん中で、僕の顔をお胸様に収納しようとするユフィーリアとニーナ。対抗するように、僕にしっかりと抱きついてくるマドリーヌ様。そして、暴走する三人を止めようとする、真面目なセフィーナさん。

 廊下で繰り広げられる騒動に、行き交う魔族や奴隷の人たちが笑う。


「こらこらっ。みんな、大人しくしてっ」


 僕の制止の声は、ニーナの柔らかいお胸様に吸収されて誰の耳にも届かない。

 それどころか、僕の発した声で震えたお胸様に反応したニーナが、はあんっ、と色っぽい声を出したものだから、余計に騒がしくなる。


 くっ。このままでは、破廉恥はれんちな家族と思われちゃう!


「やれやれ、私の居城でよくもまあ。破廉恥な家族だな」

「いきなり言われちゃった!」


 突然始まった騒動は、唐突とうとつ終焉しゅうえんを迎える。

 原因は、回廊の終着点である部屋の扉を開いて、じっとこちらを見る人物のせいだった。


「魔王だわ」

「宰相だわ」

「魔族です」


 魔王が開け放った、扉の奥。つまり部屋のなかには、尾行していたシャルロット一行の姿もあった。

 全員がこちらに視線を向けて、笑っていた。


 見られていました!

 は、恥ずかしい……


 さすがのみんなも、魔族たちの視線を受けて動きを止めていた。

 魔王はそんな僕たちを一瞥いちべつすると、開放された扉をそのままに部屋の奥へと戻る。


「……あれってつまり、入って来いってことだよね?」


 魔王の意図を読み間違えないように、慎重にみんなと確認し合う。そして、お互いの身嗜みだしなみを整えると、僕たちは開け放たれた扉を潜って部屋へと入った。


 僕たちと入れ替わりに、魔王とシャルロットを除いた魔族たちが退室していく。


「ごめんなさい。迷惑をかけちゃいました?」


 廊下で騒いでいたら、会議なんてできないよね。僕が謝罪すると、魔王は笑みを浮かべて否定する。


「気にする必要はない。この程度の騒ぎは、魔族の社会では日常茶飯事だ」

「むしろ、物的人的被害の出ない騒動など、ものの数には入りませんよ」


 たぶん、遠征軍の報告か何かだったのかな。

 大きな机には地図が広げられ、資料が山積みになっていた。

 魔王は雑渡ざっとな場所を避け、応接家具が並ぶ方へと僕たちをいざなう。


「そういえば、報酬を渡すのを忘れていたな」

「報酬?」


 魔王にうながされるまま、長椅子ながいすへ着席する僕たち。

 魔王も対面の椅子に腰を下ろす。

 シャルロットは魔王の傍に控え、いつものように糸目で僕たちの様子を見ていた。


「今回は、随分と楽しませてもらった。特に、特別な力など持たない其方らの奮戦は素晴らしいものだった、と言わせてもらう」


 魔王が示したのは、マドリーヌ様とセフィーナさんだった。


「エルネアと元々の家族は、既に力ある武具を所持し、これまでにも難題に立ち向かった経験がある。だが、其方らは違う。ただの人族でありながら、胸に秘めた想いと練磨れんまされた技を駆使くしして、よくもこの騒がしい者たちについてきた、と感心するばかりだ」


 騒がしい者って、僕たちのことだよね。

 そりゃあ、いつも騒がしいけどさ……。でも、僕たちが騒がしい原因の大半って、いつも魔族の陰謀が関係しているような?


 でもまあ、たしかにマドリーヌ様とセフィーナさんは頑張ったと思うんだ。

 騒動なんて、それこそ日常茶飯事な僕たち。だけど二人にとって、西へ東へ奔走ほんそうしたり、上級魔族や古代種の竜族、はたまた選ばれし者を相手に大立ち回りを繰り広げただなんて、冒険者経験があるとはいえ初めての経験だったはずだよね。


 僕は魔王の指摘で、最も苦労したはずの二人をきちんとねぎらえていないことに気づく。

 反省ものだ。


 でも、当の二人はなにを今更、という気配で気にした様子はない。


「エルネア君について行くと決めたのだもの。これくらい、なんてことないわ」

「女神様のお導きがありますから、こんなの大したことないです」


 頼もしい二人だね。

 僕と同じ感想を持ったのか、魔王とシャルロットも満足そうに笑う。

 すると、魔王がおもむろに、二つのある物を手もとに召喚した。


「それは……?」


 二つとも、見覚えのあるものだった。


 ひとつは、金色に輝く美しい羽織物はおりもの

 そう。魔王城の地下深く、宝物庫の最深部に封印されていた九魔将の武具のひとつ。シャルロットの身体の一部、正確には九本の尻尾を使って、巨人の魔王自らが織り上げた天雷てんらい羽衣はごろも


「これを、其方に」

「えっ!?」


 巨人の魔王は、天雷の羽衣をセフィーナさんへ差し出す。

 困惑したのはセフィーナさん。

 どうすれば? と不安そうに僕を見つめ返す。


「こんな物を貰っちゃって良いんですか?」

「構わん。宝物庫が吹き飛んだ現状では、どこに置いていても同じだ」


 それなら、シャルロットに持たせておくか、魔王が羽織れば良いと思うんだけど?


「不必要な派手さは好まん」

「左様ですか……」


 青を基調きちょうとした衣装を好む巨人の魔王が黄金色の羽衣なんて羽織ったら、すごく目立つもんね!


「私も、派手なのはちょっと……」


 おおっと、思ったことが口から漏れていたのか、セフィーナさんが僕に向かって苦笑していた。


「でも、魔族のなかに伝説として残っている九魔将の装備だし、性能は良いと思うよ? はっ、でも、呪いが!」

「心配には及ばん。そんなものはない」

「本当かなぁ……?」


 白剣のつばに埋め込まれている宝玉だって、呪いはないと言いつつ、本当は呪われていたからね。

 半信半疑の僕の反応を笑いながら、魔王は強引にセフィーナさんへと天雷の羽衣を手渡した。


 そして、次に。


「忘れるところであった。これを返却しておこう」


 そう言って、次に魔王がマドリーヌ様へ差し出した物。それは、奪われた錫杖だった。

 でも、それだけじゃない。

 魔王が砕いたはずの宝玉が、しっかりと埋め込まれている。

 しかも、この宝玉って……!


「はい。わたくしの魔力が封印されている宝玉ですよ」

「やっぱりか!」


 魔王が厳重に封印していた宝物庫の最奥には、天雷の羽衣とは別にもうひとつ、黄金色の宝玉が安置されていた。

 こちらは、シャルロットの魔力の欠片かけら

 天雷の羽衣と黄金色の宝玉を奪うことによって、シャルロットは封じられていた力を取り戻し、金色の君として絶大な魔力を振るったんだ。


 まあ、全ては茶番だったんだけどね。


「でも、本当に良いの?」


 せっかく、封印を解いて取り戻した力なはずなのに、こんなに簡単に手放すなんて。

 僕の疑問には、魔王ではなくシャルロットが微笑みながら答えてくれた。


「構いませんよ。ほら、また謀略を張り巡らせて奪う楽しみができますので」

「うわっ、最悪だ!」


 たぶん、巨人の魔王に忠誠を誓うシャルロットには、本当の力は過分なのかもしれない。だから、不要なうちは切り離しておいても問題ないのかもね。


 でも、それよりも!


 魔族の本性として、人を騙し、弄んで、いつの日かまた力を取り戻す、という大騒動を画策することの方が楽しいんだ!


 この魔王と側近、やはりただの大魔族ではありませんよ……


 さすがのマドリーヌ様も、錫杖とそこに新たにめ込まれた宝玉とシャルロットを交互に見て、顔を引きつらせていた。


「このまま錫杖を持ち帰れば、ヨルテニトス王国に大きなわざわいを呼び込むのではないでしょうか……?」


 うむ、間違いありませんね!

 数年、数十年という間隔では回収されないだろうけど、きっといつか、ヨルテニトス王国はシャルロットの陰謀、という娯楽に巻き込まれるのは確実です。


 すると、僕たちの不安を読んだシャルロットが、自ら変な提案をする。


「ご安心を。ほら、わたくしは神聖なものには触れられませんので。大切に保管していただけるのでしたら、逆にわたくしの加護がありますよ? 変なやからに奪われても困りますので、わたくし以外の者が手を伸ばすときは、きっちりと排除して差し上げます」

「でも、その際には、それ以上の騒動が発生しそうだけどね!」


 とはいえ、考え方を変えれば、これはヨルテニトス王国、というかそこの神殿宗教をとても強力に保護してくれるんじゃないかな?

 シャルロットは、錫杖には直接触ることができない。だからこそ、錫杖を保有する聖職者たちを悪者から守ってあげないと、悪い奴に奪われちゃうもんね。


「エルネア君が、そう言うのでしたら……。大切に扱わせていただきます。ああ、ですが、陰謀に巻き込むのだけは止めてくださいね!」

「その心配は、エルネアに向けることだ。どうせ、またシャルロットが動くときに弄ばれるのは、こ奴なのだからな」

「いやいやんっ! 未来の騒動予約なんて、受け付けてないんだからねっ」


 僕は将来に不安を抱えながら、部屋から逃げ出した。

 だって、もう尿意が我慢できなかったんだもんっ。


 僕の背後を、オズが必死に追いかけてきたのは言うまでもない。

 というか、オズは部屋の外で健気けなげに待っていました。

 魔王とシャルロットが怖かったんだね!

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