西と東の交わり

「知ってる人かにゃん?」

「うん。ニーミア、あの人の近くに降りて。怖がらせないようにね」

「にゃあ」


 茜色あかねいろに染まる空を反射する、美しい水面みなも。随分と浅いのか、水辺に佇む女性のくるぶし位までしか深さはないようだ。

 細くて長い、美しい黒髪を夕風になびかせる女性は、上空から接近するこちらに気づくと、静かに見つめ返していた。


 初めて見るはずの巨大な竜に、気後れしないんだね。

 そういえば、テルルちゃんの巣に侵入したときも、注意は払っていても怯えたような気配は見せなかったっけ。


「アーダさーん!」


 僕は着地したニーミアから降りながら、オズを抱いていない方の手を思いっきり振る。

 そのとき。

 なぜか僕の全身に、懐かしい感情を呼び起こすような気配がすり抜けた。

 右腰に帯びた霊樹の木刀。そのつばの役目を負った枝と、可愛く付いた三枚の葉っぱが、嬉しそうにさわさわと震えている。

 でも、それはすぐに収まっていく。

 こんな現象は、今まで体験したことがない。不思議な感じだ。

 もしかすると、ここは霊樹にとって大切な場所なのかもね。なぜか、直感でそう思えた。


 霊樹の木刀の反応に一瞬足が緩んだ僕だけど、改めてアーダさんに駆け寄る。

 僕を確認して、アーダさんが破顔したような気がした。


「ど、どうしてこんな場所に!? はっ、まさか!」

魔女まじょならいない。わたしをここへ放り出して、どこかへ行ってしまった」

「な、なるほど!」


 薄い水膜すいまくを張った窪地の湖は広大で、ここがまさか霊山の山頂だとは感じられない。そんな窪地の湖を、ばしゃばしゃと水飛沫みずしぶきを上げながら、アーダさんの傍へとたどり着く。

 アーダさんはじっと佇んで、こちらを迎えていた。


「うわっ、冷たいっ」


 僕とオズを下ろしたニーミアが小さくなって頭の上に移動してきたものだから、濡れた四肢ししで冷んやりしちゃった。

 でも、ちょっぴり興奮気味だった頭が冷えて、丁度いい。

 まさか、アーダさんとこんな場所で再会できるとは思っていなかったからね。


「竜族、か。大きさを変えられるとは、珍しい竜と知り合いなのね」

「この子は、ニーミアって言うんだ。僕の家族の一員なんだよ。それと、こっちがオズ」

「ふふんっ、何者かは知らぬが儂への挨拶を許そう」

「アーダさん。オズはこんな感じで不遜ふそんな奴だけど、許してね」

「ニーミアとオズか。こんにちは」

「こんにちはにゃん」


 アーダさんは、目の前で巨竜が小さくなったり、しゃべる動物を前にしても動じない。むしろ、臆することなく手を伸ばしてニーミアを撫でたり、オズの手を取って握手をする。


 そのとき、オズが奇妙な行動をとった。

 自分の手を握ったアーダさんを、くんかくんかとぐ。


「こらこら、女性の匂いをおおっぴらに嗅ぐなんて失礼だよ」

「おお、それは淑女しゅくじょに失礼をした。なに、なんとも懐かしい匂いがしたような気がしたのでな」

「?」


 アーダさんから、懐かしい匂いが?

 でも、オズ自身が気のせいだと思ったのか、すぐに鼻を動かす行為を止める。


「それで、貴方たちはなぜここに?」


 アーダさんはオズの失礼な行動にも気を悪くした様子を見せずに、慈愛に満ちた笑みを浮かべながら問いかけてくる。


「うん。僕としてはアーダさんがなぜここに居るかが気になるんだけど?」


 言いながら、これまで抱えていたオズを離す。

 すると、オズは水飛沫を上げながら元気よく走り回り出した。


「ほうほう、ほほうっ! 素晴らしいぞっ。こここそが、儂の求めていた約束の地であるっ!」


 人の言葉を口にしながら跳ねるオズを、アーダさんが見つめる。


「オズは、魔獣なんだ」

「魔族であるっ」

「……と、言い張ってるんだけど。なんでも、鏡を作るために神聖な場所を探しているみたいなんだよね」

「鏡?」

「うん。九尾廟というやしろに奉納されていた鏡が割れちゃったので、作り直すんだって」


 変わった魔獣だ、とオズの耳に入らないように呟くアーダさん。


「それで、貴方たちはここを訪れたわけね」

「さっきまでは東の方の湖を見て回っていたんだけど」

「……そういえば、湖を二つ囲むようにして、大きなお屋敷が建っているのを見たけれど?」

「そ、それは僕たちの新居です……。ああ、そうだ。アーダさんもうちに来てほしいな。家族のみんなを紹介したいし、ここで夜を過ごすよりも絶対に寛げると思うんだ!」


 僕の提案に、だけどアーダさんは少し困ったような表情を見せる。


「貴方の家族に会ってみたい気もするけれど。だが、わたしは早く帰らなければならない」

「とは言っても、魔女さんが戻ってこないと帰れないんだよね?」


 僕の言葉に、アーダさんは肩をすくめて肯定こうていする。

 僕と同じで、アーダさんが普段暮らしている地域は、ずっと遠い場所にあるんだと思う。

 僕たちはニーミアやレヴァリア、リリィといった長距離をものともしない家族がいるので気楽に移動できるけど、アーダさんは魔女さんがいないと、来ることも帰ることもできないんだよね。


「なら、行きましょう! オズ、今日はもう帰るよ?」


 もうすぐ夜が訪れる。

 ミストラルたちが待っているだろうし、今日はここまで。適切な場所が見つかったのなら、また明日に訪れれば良い。そう思ったんだけど。


「貴様らはもう帰れ。儂はここに残るっ」

「残って、どうするのさ?」

「決まっておろうが、愚か者め。儂はこれから、御鏡おんかがみの作成にとりかかるのだっ」


 胸を張って宣言するオズ。瞳には、強い意欲が宿っていた。


 僕だって、強く決意したら譲れないときもある。きっとオズは、ようやく見つけた穢れのない場所で、少しでもはやく製作に取り掛かりたいんだろうね。


「わかった、僕はオズの意気込みを尊重するよ。でも、無茶はしないでね? また明日、ご飯を持って来るからね」


 言って僕は、やっと休憩できると思っていたはずのニーミアにお願いをして、またまた大きくなってもらう。そして、アーダさんの細い手を取って、ニーミアの背中へ導く。


「また明日にゃん」

「オズ、またねー」


 別れの手を振る僕とニーミア。

 オズは、そんな僕たちを見て偉そうに言った。


「待て待ていっ。飯は明日なのか!? 儂は腹を空かせておる。それに……て、手伝っても良いのだぞ?」

「お断りー。また明日ー」

「むぎゃーっ!」


 無情に翼を羽ばたかせ始めたニーミアへ、オズが慌てたようにすり寄って来る。

 やれやれ、と僕はせっかくアーダさんをニーミアの背中に乗せたというのに、また降りてオズと向かい合った。


「オズ?」


 腕を組んで、じっとオズを見る僕。

 オズは、最初こそ威張って見つめ返していたけど、次第に視線を逸らす。


「その……なんだ……。儂の手足となって……」

「さあ、帰ろうかな」

「にゃーん」

「待て待ていっ。わ、儂の……」


 水深の浅い湖にお座りをして、おがむように両手をもじもじとさせるオズ。


「ええい、はじしのんで頼む。儂に協力してくれっ」


 なんで協力を要請することが恥になるのか、僕には全くわかりません。

 自分ひとりで手に負えないことを誰かと達成するって、すごく楽しいことだと思うんだけどな。


 とはいえ、僕を拝むオズをこれ以上いじめるのは良くない。そして、協力するなら余裕を持って取りかかった方が良いよね。

 ということで、オズを抱き寄せてニーミアの背中に移った。


「オズのやる気もわかるけどさ、作業は明日から。まずはみがく石を探さなきゃいけないんだよね? なら、暗い夜よりも明るい日中の方が絶対に良いよ」


 問答無用の決断だったけど、オズは僕の意見に従ってくれた。

 ニーミアは、僕とオズとアーダさんを乗せて飛び立つと、お屋敷に帰った。






「「エルネア君!」」

「ぐええっ。ルイセイネ、マドリーヌ様、どうか許してっ」


 お屋敷に帰り着くと、探検隊も無事に帰還していて、夕食を前に僕たちの帰りを待っていた。

 それで、連れ帰ったアーダさんを見たルイセイネとマドリーヌ様が、いきなり襲いかかってきたんだ!


「このお方は、どなたですか!?」

「むきぃーっ。私というとうとい巫女が側にいながら、浮気だわっ」

「いやいや、マドリーヌ様は僕の妻じゃないんだから、浮気とか言える立場じゃないよっ。それと、みんな。この女性が前に話したアーダさんだよ!」


 ルイセイネとマドリーヌ様にがくがくと揺さぶられながら、アーダさんを紹介する。

 アーダさんは、二人の巫女の騒動に少し面食らいながらも、丁寧で美しい挨拶をする。


家族団欒かぞくだんらんを乱して申し訳ない。わたしは……アーダ。エルネア君とは前にこの禁領で顔を合わせたことがあります」


 前と同じで、名乗るときにちょっとだけ躊躇ためらいが見えた。偽名を口にしなきゃいけないことへの罪悪感からだろうね。やっぱり、この人はい人で間違いないね。


 深く頭を下げるアーダさん。するり、と長い髪が背中から流れると、先端が床に届きそうになる。立っていても膝裏くらいまであるアーダさんの髪は、黒絹くろぎぬのように美しい。

 丁寧に挨拶をするアーダさんに、ミストラルが歩み寄る。


「そのせつは、夫がお世話になりました。わたしは妻のミストラルです。さあ、どうぞ。アーダさんもどうか寛いで行ってください」


 握手を交わすミストラルとアーダさん。

 アーダさんと最初に出会ったときにも感じたんだけど、彼女は背が高い。こうして、長身のミストラルと向かい合うと、アーダさんの方がわずかに背が高いことがわかった。


 はい。もちろん、僕なんかよりもずっと背が高いよ!

 違うんだ。これは竜宝玉を受け継いだ影響か、十四歳くらいで成長が止まってしまったのが原因なんだ!


「にゃあ」


 ニーミアはプリシアちゃんの頭の上に移動すると、今度こそゆったりと寛いでいた。


 ミストラルに続き、ライラが挨拶をする。

 普段だと二番目を確保するルイセイネは、マドリーヌ様と一緒にまだ僕にしがみついています。

 続いて、どさくさに紛れてセフィーナさんが「エルネアの妻です」と言うと、挨拶もおろそかに姉のユフィーリアとニーナから引っ立てられて、空き室へと連れていかれてしまった。


 アーダさんは、僕の妻の数に驚いていた。……そりゃあ、そうだよね。普通は、こんなに大勢の女性となんて、王侯貴族でもない限り結婚しない。

 あっ、もしかして、このお屋敷と合わせて僕の立場を誤解されちゃっているかも!?


「あのね。プリシアはお兄ちゃんのお嫁さんじゃないよ?」

「ちがうちがう」


 元気よく挨拶をしたプリシアちゃんと、顕現してきたアレスちゃんに、優しい笑みを返すアーダさん。

 慈愛に満ちた、子供に安らぎと抱擁感を与える笑みだ。


「アレスはたしか、前にも?」

「はい、僕の精霊さんです」


 この場で僕を除けば、前回アーダさんと魔女さんに会ったのはアレスちゃんだけだね。

 そういえば、今まで顕現していなかったけど……。そうですか、プリシアちゃんたちと探検を満喫していたんですか。


 アレスちゃんは、プリシアちゃんと手を繋いでアーダさんに突撃する。

 アーダさんは、しゃがんで幼女を優しく受け止めると、二人にもしっかりと挨拶をする。

 きゃっきゃと嬉しそうなプリシアちゃんとアレスちゃん。

 ただし、ニーミアだけはプリシアちゃんの頭の上で、間近になったアーダさんをじっと見つめていた。


「さあ、貴女たちもきちんと挨拶をしなさい。マドリーヌ、お客さんに正しく挨拶ができないようなら、帰ってもらうわよ? それと、ルイセイネ。貴女が乱れるなんて珍しいわね?」


 ちびっこも挨拶を済ませたというのに、まだ僕にしがみついていたルイセイネとマドリーヌ様をたしなめるミストラル。

 ルイセイネはまだしも、見るからに高貴なマドリーヌ様を容赦なく叱るミストラルの様子に、アーダさんは珍しいものでも見たかのような表情だ。


 僕にしがみついていたルイセイネとマドリーヌ様が慌てて身を正す。

 そして突然、ひざをついてかしこまった挨拶をし始めた。


「わたくしは、アームアード王国の大神殿に所属します戦巫女いくさみこ、ルイセイネ・イースと申します」

「私は、ヨルテニトス王国大神殿で巫女頭みこがしらを務めております、マドリーヌ・ラファル・ヴァリティエと申します」

「ヴァリティエ……」

「えええっ、二人とも、どうしたの!?」


 突然のことに驚く僕たち。

 アーダさんも、ルイセイネとマドリーヌ様の畏まった様子に困った表情を見せた。


とうとき身分のお方とお見受けいたします」


 ルイセイネの言葉に、はっとする。

 二人は、ひと目見てアーダさんが何者であるか、感づいたのかもしれない。だからこそ僕に詰め寄ったんだね。


 でもね。

 僕はアーダさんの正体を知りません!

 きっと、すごい人なんだろうなぁ、とは理解しているよ。だって、魔女さんの弟子なんだし。

 ん? 待てよ。

 魔女さんの弟子なのに、ルイセイネやマドリーヌ様が膝を折るような尊い人なの?

 しかも、ニーミアとオズが奇妙な反応を示していたような?


 益々もって、アーダさんの正体が不明になってきちゃった。

 だけど、ルイセイネとマドリーヌ様には、なにかしらの確信があるみたいだね。だからこうして、王様の前でもひざまずかない聖職者の二人が、膝を折って丁寧に挨拶をしているんだ。


「どうか、立ってほしい。わたしは貴女がたの想像するような者ではないから」


 かしこまるルイセイネとマドリーヌ様を前に、アーダさんは困り果てていた。


「お客さんに気を使わせたら、居心地が悪くなるにゃん」


 すると、珍しくニーミアが助け舟を出す。


「そうだよ。僕が懇願こんがんして来てもらったんだ。アーダさんが何者かという詮索はなし! みんなで楽しく過ごそう」


 早くしないと、せっかく準備してくれている夕食も冷めちゃう。

 僕がルイセイネとマドリーヌ様をうながすと、二人も深い追求は禁物だと納得したのか、重い腰を上げてくれた。

 それで、みんなで食堂へと向かう。


 いつのまにか、別室で折檻せっかんされていたセフィーナさんも戻って来ていた。

 ちょっぴりおでこが赤い。ぺしぺしっ、と双子の姉に叩かれたのかな?


「さあ、今日はゆっくり休んで、明日からまたがんばろー!」

「「「おーっ」」」


 いただきますの挨拶のつもりだったんだけど、みんなから白い目で見られちゃった!

 反応してくれたのは、プリシアちゃんとアレスちゃんと、オズだけだよ……


「豪華ですね」


 席に案内されたアーダさんは、目の前に並ぶ何種類もの料理に驚いていた。


「僕たちの食事は竜人族の、ミストラルの村の様式なんだ。いっぱいおかずを並べて、好きなものを好きなだけ取って食べて良いんです!」

「んんっとね。余ったら明日のご飯になるんだよ」


 無駄な贅沢はしません。夕食で余った料理は、朝に温め直してもう一度食卓に並ぶ。僕たちも、あまった料理から手をつけるようにしていて、残飯ざんぱんが出ないように心がけている。

 まあ、若干名お野菜を嫌がる幼女とかがいますけどね。


 全員が席に座ると、僕の「いただきますの挨拶」は無かったものとされて、全員でお祈りを捧げる。


 これは、ルイセイネの影響だ。

 神殿宗教の信者ではない者もいるけど、みんなで女神様にお祈りを捧げてから食事になります。


 ちらり、と不徳にも薄眼を開けてアーダさんを見たら、ルイセイネやマドリーヌ様と同じように深く祈りを捧げていた。


 お祈りが終わると、ここからは戦争です。

 プリシアちゃんが、一番大きなお肉を真っ先に奪取する。そして、アレスちゃんと仲良くかぶりつく。

 僕も、ミストラルやライラによそってもらった料理に手をつけながら、空腹のお腹を満たしていく。


 ユフィーリアとニーナは、最初からお酒が入ってます。最近の日常だと、ここでマドリーヌ様も加わるんだけど……。ルイセイネとマドリーヌ様は、食事の最中も畏まった様子だ。

 よほど、アーダさんの存在が大きいんだね。


 そのアーダさんは、賑やかな食卓に笑みを零しながら、美味しそうに料理を食べてくれていた。


「あのね。ユンユンとリンリンもいるんだよ?」

「ユンユンとリンリン?」


 金糸銀糸きんしぎんしい込まれた上物の衣類を着たアーダさんに、汚れた口や衣服で近づこうとするプリシアちゃんとアレスちゃん。それを慌てて確保するミストラル。

 アーダさんは、可愛い幼女たちに優しく聞き返す。


「そうだよね。この場にユンユンとリンリンを呼ばないのは可哀想だ」


 プリシアちゃんに言って、懐から霊樹の宝玉を取り出してもらう。これに力を蓄えていて、ユンユンとリンリンの臨時召喚を可能にしているんだ。


 プリシアちゃんの召喚に応え、賢者けんじゃのユンユンとリンリンが顕現する。

 宝玉がべとべとになったのは、見なかったことにしましょう……


「耳長族? いや、でもこれは精霊のような……?」


 顕現した二人の姿を、アーダさんは不思議そうに見る。


「あのね。アレスちゃんは霊樹の精霊さんなの! プリシアはね、光の精霊さんと風の精霊さんと、土の精霊さんともお友達だよ」


 小さな子どもらしい、要領を得ない言葉足らずな話を、僕とミストラルが補足する。


「……すごいですね。エルネアや家族の方々は、多くの者たちと出会い、素晴らしい体験を送ってきたのですね」


 今更だけど、この場に集った種族の豊富さにアーダさんは感心しきっきりだ。

 見るからに耳長族のプリシアちゃんや、さっきも伝えたニーミアやオズ。さらには、竜人族のミストラルまで。


 予想はしていたけど、アーダさんは人族みたい。しかも、住んでいる地域には他の種族はほとんど住んでいないんだって。それで、種族混同の賑やかな夕食に驚きつつも、楽しんでくれていた。


「あのね。プリシアは、今夜はアーダと寝るの」


 そして夕食が終わり、お風呂に入ってさっぱりすると、眠る時間です。

 プリシアちゃんはアーダさんと手を繋いで、僕たちにお休みの挨拶をする。


「珍しい。プリシアちゃんが大人しく寝るだなんて!」


 どういう仕掛けかな? アーダさんはどうやってプリシアちゃんとアレスちゃんを手懐けたんだろう。


「申し訳ない。お言葉に甘えて、今夜はこちらで休ませてもらいます」


 僕たちの大いなる疑問をよそに、アーダさんは幼女たちを連れて客室へと入っていった。

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