護衛のお仕事です

「いいですか、皆さん。竜の森の注意事項は……」


 森の手前に集まった少年少女たち。

 はい。僕たちのことではありません。

 今年十四歳になり、来年は旅立ちの一年になるうら若き少年少女たちのことです。

 僕もまだ十六歳だけどね。


 これから屋外実習ということで、英気に満ち溢れた少年少女たちが教師から注意事項を受けている。

 冒険者や僕たちは、少し離れた場所で彼らを見守っていた。


「いいですか、エルネア君。本日の注意事項は……」

「ええっ。ルイセイネ、僕にも注意事項があるの!?」

「エルネア、貴方が一番心配なのよ」

「ミストラルさん、僕を信じていないんですか!」

「エルネア君、いったい君は普段なにをしているの?」

「くっくっくっ、エルネアよ。男として、女に信用されていないとは情けないぞ」

「クリーシオ、スラットン、言葉を鵜呑うのみにしちゃ駄目だ。というか、スラットンには言われたくないなー」

「エルネアごときが、俺を否定するのかっ」

「はっはっはっ、ドゥラネルが愚痴っていたよ、スラットン。また餌にしようとした牛に逃げられたんだって?」

「くっ、ドゥラネルめ、あれを話したのか」

「ドゥラネルがお腹減ったなーって言ってたよ。まだまだだねぇ。狩りは僕の方が上手いんじゃないのかな?」

「言うじゃねえか。それなら勝負だ!」

「望むところだ!」

「おい、お前ら……。いい加減にしろよ。お前らは生徒たちを守るのが仕事で、狩りの腕を競う場面じゃねえぞっ」

「エルネア?」

「エルネア君?」

「スラットン?」

「「ご、ごめんなさい……」」


 キジルムやみんなに怒られた僕とスラットンは、しょんぼりと反省した。


 はっ!

 少年少女たちが奇異きいの目で僕たちを見ている。

 なんて恥ずかしいんでしょう。

 スラットンはクリーシオの背中に、僕はミストラルとルイセイネの陰に隠れて顔を赤くする。


 スラットンは、勇者のリステアと並んで超有名人だ。誰もが彼の容姿を知っている。

 僕も噂が広まっていて、あれが竜の館の主人か、なんて指をさされているよ。


 でも、それ以上に。


 ミストラルとルイセイネの冷たい視線が、僕の心にぐさぐさと刺さります。


「ついてきて正解だったわね」

「ついてきて正解でしたね」

「なんだか、ユフィとニーナみたいに言葉が揃ってるね……」

「まったくもう。これだから貴方をひとりにはできないのよ」

「そうですよ、エルネア君。問題を起こさないでください」

「ごめんなさい」

「反省は正座でしなさい」

「百数えるまで正座ですよ」

「えええっ、ここで正座をするの!? みんなが見ているのに……」

「くくくっ、エルネアよ。恥ずかしいな」

「スラットン、貴方もよ」

「ま、待てっ、クリーシオ」


 こうして、僕とスラットンはみんなの前で正座をさせられた。


 とてもとても恥ずかしい。

 でも、自業自得なんだよね。

 これから先、こうなりたくなかったら、きちんと反省しなきゃいけない。


 僕とは違って正座に慣れていないスラットンは、反省後に足が痺れて、いっとき身動きが取れなかった。






 教師から注意事項や説明を聞き終えると、いよいよ生徒たちは竜の森へと足を踏み入れる。


 もう晩夏ばんかに近い時季ということで、春先から竜の森などで研修を重ねてきた生徒たちは慣れた足取りだ。

 そろそろ一緒に旅立ちの一年を送る仲間も確定してきたのか、幾つかのはんに分かれて、それぞれが違う道順で森を進む。


 とはいっても、本当にばらばらで行動されたら保護監督をする冒険者も大変なので、広まるのはある程度の範囲なんだけど。

 冒険者の人たちは、意気揚々と竜の森を散策する生徒たちの後ろをついて行き、周囲に気を配る。

 そして僕やスラットンたちは、そんな冒険者のさらに後ろから竜の森へと入っていった。


「よし、人族の子らよ。我らが本物の狩りというものを教えてやろう」

「……なんで獣人族のみんなが!?」


 森を少し進んだところで颯爽さっそうと生徒たちの前に現れたのは、留学中の獣人族たちだった。

 犬種のジェガシンや猫種のリェンジ、豚種のクウァウラや他にも僕の実家に宿泊している獣人族の面々が茂みから現れて、生徒たちが驚く。

 獣人族を間近で見るのが初めてなのか、獣じみた容姿に女の子も男の子も少し及び腰だ。

 そんな生徒たちの気配なんて気にした様子もなく、獣人族のみんなは狩りについて授業を始めた。


「ねえ、ミストラル。彼らが参加するって聞いていた?」

「エルネア、朝の教師の話を聞いていなかったの? 今日は野生の動物を狩る研修で、獣人族に指導してもらうから礼儀正しくしなさい、と言っていたじゃないの」

「僕たちが騒いでいたときの話だね」


 ううむ、まったく聞いていませんでした。


 それぞれの班に獣人族が二人ずつついて、狩りの授業が始まった。

 ひとりは肉食系の戦士、もうひとりが草食系の獣人族、という組み合わせみたい。

 戦士が狩りを教えて、草食系の人が山菜などの集め方を指導するのかな。


 一年の旅立ちの期間で狩りの技術が必要になる人は限られているだろうけど、不要なら知らなくてもいい、というものでもない。

 これからの人生で、いつ、どんな知識が必要になるかは誰にもわからないんだ。だから、十四歳になった少年少女たちはあらゆる生活の知識を学び、多くのことを体験する。


 僕も二年前はああしていろんなことを勉強したっけ、と感慨深く生徒たちを見守る。

 僕の運命は、十四歳のときに決まったと思う。

 彼らも、今この瞬間にこれからの人生が決まるような経験をしているかもしれないよね。

 獣人族の戦士たちに狩りとはなんぞや的な授業を受けている少年少女を遠巻きに見守っていると、隣でルイセイネが優しく微笑ほほえみながら僕を見ていた。


「なんだか、エルネア君が少し大人な表情になっています」

「ええっ、僕は大人だよ?」

「ううーん。エルネア君はあまり変わっていないわよ?」

「クリーシオ、なんてことを言うんだ」

「エルネアよ、お前はあっちにいても違和感がねえぜ」

「スラットンはおっさんだよね!」

「なんだとっ」


 スラットンはあろうことか、生徒たちを指差していた。

 僕は抗議の声をあげる。

 だけど、ミストラルまでもが「相変わらず可愛い顔よ」なんて笑みを浮かべて言うものだから、僕は自分の童顔に悲しくなってしまう。

 ひげでも生えたら、もっと大人っぽい顔つきになるのかな?


 竜の森をゆっくりと進みながら、獣人族の授業は続く。

 最初は獣人族の容姿に腰が引けていた生徒たちだったけど、授業を受けているうちに慣れてきたのかな。それぞれの班に分かれた生徒たちは、獣人族を中心に集まって森を歩きながら、よく話を聞いていた。


 生徒たちは、弓矢の扱い方や罠の張り方、どういった場所に動物が潜んでいるかや、どう行動するか、なにが危険かなどを獣人族の戦士たちに教わっている。

 これまでにもそうした授業は受けてきただろうけど、人族と獣人族では経験が違えば思考も違う。違う視点、思いもしなかった知識やうんちくなどに、特に冒険者を夢見ていそうな少年たちは目を輝かせて聞き入っていた。


 どうやら、初日の研修は獣人族の指導を受けながらの狩りらしい。

 獲物を見つけ、狩ってさばく。

 もしも獲物を仕留められなかったら、本日のご飯は無しらしい。収穫したお肉や山菜で研修期間を乗り切るという、少し難易度の高い研修みたいだね。


「いいか、狩りの基本は風下かざしもからだ。獲物の臭いを追え。こちらの臭いを気付かせるな」

「獲物を探す場合でも、野草や果実などを探す技術は役に立つわよ。だって、動物もそうした美味しい植物を食べるし、それを狙う肉食獣が寄ってくるしね」


 先生、人族に臭いうんぬんと言っても、無理だと思うんです。人族は獣人族のように鼻は効きません。

 だけど、風下から攻めるのは基本だね。

 こちらが臭いに気づけなくても、動物たちは敏感に嗅ぎとっちゃうから。


 指導を受けた生徒たちは、さっそく実践に移る。

 草食系の獣人族の助言をもらいながら、食べられる野草や果実を探す。そうしながら、動物がいないか周囲を探る。


 研修初日ということもあって、生徒たちは元気いっぱいに動き回る。

 なかには騒いで教師や冒険者に怒られる男子もいたけど、おおむねみんなは真面目に活動していた。

 これなら、余計な心配はなさそうだね。

 順調な滑り出しに、後方で見守りながら少し肩の力を抜く。


 そうして昼過ぎくらいになると、ちらほらと獲物を仕留めることができた班が出てきだした。

 小動物を狩った少女や、数人で鹿や猪を仕留めた少年たちは、収穫に喜びあう。

 狩った動物は、これまた獣人族の指導で血抜きや皮剥ぎをして、処理をしていく。

 火だけは竜の森のなかでは扱えないので、夕方になって外に出てからだね。

 大物を狩ることができた班は、今夜は宴会かな。


「そういえば、迷わないね?」

「そうですね。エルネア君がいるので、絶対に迷うと思ったのですが」

「ルイセイネ、それは違うよ。僕が迷うのは、プリシアちゃんのせいだと思うんだ」

「なんだ、お前は方向音痴か?」

「スラットン、ウランガランの森で迷子になって、獣人族の人たちに迷惑をかけたらしいね」

「ちっ……」


 今更だけど、ちょっとした疑問だよね。

 僕たちは、竜の森に入ると大きく迷う。なぜなら、森全体にスレイグスタ老の迷いの術がかかっているから。

 でも、竜の森の浅い場所とはいえ、生徒や冒険者たちが森を進んでも迷っている様子はない。

 森の奥に進もうと思えば進めるし、森から出ようと思えば出られる。

 僕たちと他の人たちとは、なにが違うのかな?

 こういう疑問は、素直にミストラル先生に聞くのが早いよね、ということで質問してみた。


「単純に、深さの問題だと思うわよ?」

「深さ?」

「そう。森の奥に入れば、きっと彼らも迷うわ。それと、関わりの深さかしら。わたしたちはおきなと深く関わっているからこそ、余計に術中にはまってしまうのよ」

「……つまり、おじいちゃんのいたずらに巻き込まれているってことだね」

「そういうことね」


 なんのことはない。迷う頻度や深刻さは、スレイグスタ老のさじ加減でした。

 今度、苔の広場に行ったら抗議しよう。


 僕たちが見守っていた班がようやく獲物を狩ることができて、森の少し開けた場所で下処理を始めた。

 血や内臓に、おえっ、と顔をしかめる少年。不要な頭を落とす作業から顔を背ける子もいる。

 こういう場合って、なぜか女の子の方がきもが座っているんだよね。

 獲物を仕留めたのは男子たちだったけど、下処理は女子が率先して動いていた。


 少し離れた場所では、二頭目を仕留めた班が休憩している様子が見える。

 獲物を追いつつも生徒たちが散らばっていないのは、獣人族の人たちの技術だね。

 生徒を指導しながらも、周囲の仲間と意思を通じあわせて、班ごとに孤立しないように連携している。

 護衛役の冒険者たちも、問題が起きそうにない気配に「楽な仕事だ」なんて漏らしています。


 狩った動物の処理のために生徒たちの移動が止まったことで、僕たちも少し休憩に入った。

 手頃な場所に腰を下ろす。


「エルネア君、どうぞ」

「ありがとう」


 ルイセイネからお水をもらって、喉をうるおす。

 ふう、と一服しながらも、一応周囲の気配を探る。

 ここからでは見えない場所でも、生徒たちが頑張っている気配が読み取れる。冒険者の気の抜けた様子や、どんな場面でも野生の警戒心をおこたらない獣人族。そして、逃げたり身を潜めたり、狩人かりうどの気配に気づいていない動物たちを感知する。


 そうだ、ちょっと試してみよう。


 竜の森で活動している僕たち。

 教師や冒険者は生徒の護衛役で、僕たちはそんなみんなの監視役だけど。

 他にも、僕たちの様子を伺っている者がいる。

 そう、耳長族の戦士たちだ。


 普通に探ると、今でも耳長族の気配を読み取ることはできない。

 だけど、僕は新たな能力を会得えとくしたんだ。


 瞑想のときのように気をしずめて、大地の下の竜脈に精神を同調させる。そこから意識を広げていき、世界を感じ取る。


 少し離れた大木の枝、窪地くぼち、茂みの奥。

 不自然な風の流れ、踏まれた草や大地、外圧によって曲げられた枝や葉っぱ。そうした世界の違和感から、気配を殺した耳長族の存在を読み解く。


 すごいなぁ。

 こうして集中しないと、耳長族の存在を認識できない。

 耳長族の戦士たちはこうやって、密かに竜の森を守り続けているんだね。


「おい、もう疲れたのか?」

「なんのことかな、スラットン」

「いや、急に静かになりやがったからな」

「ああ、違うんだよ」


 スラットンは、耳長族の存在に気づいているのかな?

 獣人族の戦士は、もしかすると臭いなどで気づいているかもしれないね。


「おおい、そっちの様子はどうだ?」


 休憩していると、別の班の護衛をしていたキジルムがこちらへとやって来た。どうやら、キジルムの担当している生徒たちも獲物を無事に仕留められたようで、時間に余裕ができたみたい。


「こっちは順調だぜ。暇すぎて、獣人族の狩り講習を見ていたら狩りがしたくなってきて、うずうずしていたところだ」

「おお、そいつは良かった。どうだ、これからひと勝負しないか?」


 どうやら、キジルムも冒険者の血が騒いでいたらしい。スラットンと二人で、にやにやと笑いあう。


「ちょっと、二人とも。わたしたちは生徒の護衛が仕事なのよ?」

「おおう、クリーシオ。そうは言うがな。俺たちも今晩のために獲物を仕留めないと、干し肉を食う羽目になるか、お子様たちから肉を分けてもらうことになるんだぜ?」

「お子様は貴方よっ」


 スラットンのすねに蹴りを入れるクリーシオ。

 だけど、スラットンの言う通りかも。僕たちは念のために携帯食料を持ってきてはいるけど、なるべくなら新鮮なお肉や野菜が食べたいよね。


「エルネアがにやにやしているわ」

「エルネア君、気持ち悪いですよ」


 どうやら、にやにやしていたのはスラットンとキジルムだけではなかったらしい。

 男どもの様子に、女性陣が肩を落としてため息を吐く。


「なんだ、お前たちもこれから狩りか?」


 耳の良い犬種のジェガシンが僕たちの会話を聞きつけて、こちらへとやって来る。

 そして、生徒たちもこちらの動きを察知して、なんだなんだと集まり出した。


「俺、スラットンさんに憧れているんです。俺もいつか、歴史に名を残せるような冒険者になりたい」

「俺は竜騎士になりたいんだ。どうやって騎竜きりゅうを手に入れたんですか?」

「竜峰に行ってみたいです!」


 処理を女子に任せて手持ち無沙汰になっていた少年たちが駆け寄ってきた。

 あまりの迫力に、つい後退あとじさりしてしまう。


「ふはははっ。いいぞ、お前たち。それなら、俺の実力を見せてやろうじゃないか!」


 きらきらとした瞳を向けられて、スラットンは気分が良くなったらしい。

 胸を叩き、一流の冒険者の狩りを見せてやる、なんて言い出す。


「ほう、それでは勝負をするか? 我ら獣人族、人族には負けんぞ」


 そして、話に乗っかってくるジェガシンたち。

 君たち、立場をわきまえなさい。

 僕が言うのもなんですが、自重しましょうね?


 だけど、僕の憂慮ゆうりょなんて意味はなく、獣人族と冒険者の狩り合戦の話は大きく膨れ上がり出した。

 違う班の人たちにまで広まり、わらわらと生徒や冒険者たちが集まりだす。


「いい機会ですね。獣人族の方々や冒険者の皆さんの腕前を見せてもらいましょう」


 なんて、教師までもが火に油を注ぐ発言をするものだから、夕方前になって屋外実習はとんでもない方向へと進みだした。


「エルネアよ、スタイラー一家の者として、俺の方が冒険者として優れていることを見せてやるぜ」

「このような場でエルネアと狩りの勝負ができるとは、獣人族として喜ばしいな」

「くっくっくっ。竜王のお前を倒すときがとうとう訪れたか」


 そして、僕へと対抗心を燃やすキジルムや獣人族やスラットン。

 なぜこうなってしまったんだ、と僕は肩を落とす。


「エルネア」

「うっ」


 ミストラルに見つめられて、また僕が怒られちゃうの? と顔をひきつらせる。

 だけど、ミストラルの瞳は「やってしまえ」と言っていた。

 珍しいね、ミストラルがこういう騒ぎに便乗するなんて。

 きっと、スラットンの言葉がいけなかったんだ。

 僕は竜王だからね。

 竜人族で竜姫でもあるミストラルは、竜王の力を見せなさい、と僕に無言で訴えていた。


「……仕方がないね。こうなったら、僕も竜王としてみんなに実力を見せようじゃないか」


 ということで、急遽きゅうきょ、狩りの頂上対決が行われることになった。

 広場に集まった冒険者や獣人族の戦士たち。スラットンとキジルムと僕。


 誰がいち早く大物を狩ってくるか、もしくは多くの獲物を仕留められるか。

 審判は教師と生徒たち。それと、草食系の獣人族だ。

 開始の合図を待ち、血の気の多い狩人たちが身構える。

 そして、合図の号令が竜の森に鳴り響いた。


「どうなっても知らないんだからねっ!」


 僕は叫ぶ。

 生意気なことを、なんて言い返すスラットンたちを尻目に、空間跳躍を使い、瞬く間に森の奥へ。

 僕が一瞬で目の前から消えて、驚くみんな。

 驚く人たちが我に帰る前に、僕は森の奥からもう一度空間跳躍を駆使して戻って来た。

 僕の手には、丸々と太った兎が握られていた。


 さっき、気配を探って動物たちの居場所を把握していたからね。


 驚愕きょうがくする人たち。

 だけど次の瞬間、彼らの口からは驚愕以上の悲鳴が溢れた。


『狩りか、それなら我に任せよ』

『俺様が一番だっ』

『ちっ、もうエルネアは獲物を狩ってしまったのかっ』

『混ぜろ混ぜろーっ』

『宴会じゃー』


 竜の森の奥から、魔獣たちが押し寄せて来た!

 鹿をくわえた大狼魔獣おおおおかみまじゅうつのに大蛇を突き刺した鹿魔獣。猪を鷲掴わしづかみにした大鳥の魔獣。


 ほらね。どうなっても知らないって言ったじゃないか。

 狩りの競争だとか言い出したら、魔獣たちが黙って様子を伺っているわけがない。

 こうして周りの迷惑なんて考えずに参加してくることなんて、最初からわかっていました。

 だって、プリシアちゃんのお友達だからね。


 森の至る所から大迫力で集合して来た魔獣たちに、研修に参加していた人たちは大混乱になったのであった。

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