魔王の謀略

「エルネア君、お疲れさまでした」

「うん。ルイセイネこそ、お疲れさま」


 夕刻。大神殿からの帰り道。

 夜の賑わいをみせ始めた大通り沿いの露天を横目に歩く、僕とルイセイネ。

 マドリーヌ様という問題児を実家のミストラルにお任せして、二人でルイセイネの両親に帰還の挨拶をしてきた帰りだった。


 マドリーヌ様を腕に貼り付けたまま、ご両親には会いに行けないからね。

 一度実家に戻ったのは仕方ない、としておきましょう。


「それにしても、式場ですか。なんだか、大変ですね」

「いやいや、ルイセイネも他人事じゃないんだからね?」


 大神殿へと向かう前。

 マドリーヌ様がアームアード王国を訪れている理由を聞いたわけなんだけど。

 僕としても、結婚の儀式はどこかで挙げなきゃな、なんて漠然ばくぜんと考えていた。だけど、周りが具体的に動き出していることを知って、ミストラルやルイセイネといよいよ結婚するんだな、という実感が湧き始めていた。


「でもさ。リステアたちのあとって言うし、もう少し猶予ゆうよはあるのかな?」

「いいえ。リステア君たちのお話は既に進んでいるようですよ。来る前にセリースちゃんに聞きました」


 僕やルイセイネだけじゃなくて、みんなが「セリースちゃん」と言い始めていた。

 最初は僕の口滑りから始まった敬称だけど、なんだかみんなにじわじわと広まっていったみたい。

 セリースちゃんは、自分が「ちゃん」付けで呼ばれると少し照れて頬を染める。その姿が王国随一と讃えられる美少女をより一層可愛くさせていた。それで、ついついみんなで言い始めちゃったんだよね。


「リステア君たちの結婚の儀は、副都アンビスの大神殿で執り行うそうです。本来は王族が含まれていますので、王都の大神殿で執り行うのが恒例なのですが。大神殿の復旧は早くても数年後なので、今回は特別に、ということらしいですよ」


 副都にも、立派な大神殿が建っている。だけど、伝統的な儀式や王族、歴代勇者の挙げる結婚の儀は、王都の大神殿で、と決まっているらしい。

 今回は……。仕方がないよね!


 短い夕闇の時間に染まった大通りを振り返る。

 太陽が竜峰に沈むまでの僅かな時間だけ茜色あかねいろに染まった王都は、復興中とは思えないほどの賑わいをみせていた。

 まだまだ仮設住宅や避難所暮らしの人が多くて、食事は外で食べる人が多い。それを狙った屋台が、大通りだけではなく至る所に出店していて、日中頑張って働いた人たちが仲間や家族と談笑しながら行き交っている。

 あと少しで太陽は完全に沈み、平地は夜闇に包まれるんだろうね。だけど、人々がともす明かりは遅くまで夜を切り裂いて賑わう。

 人ってたくましいね。どんな状況になっても、頑張って生きようとする。そしてそのなかに、楽しみを見つけていつでも騒げる。


 夜はこれからだとばかりに騒がしい大通りの先。ついさっきまでお邪魔していた王都の大神殿は、僕たちの視界には映らない。

 ルイセイネは、建立までにあと数年と言っていたけど、そこから更に細かな装飾だったり周辺施設の整備だったりを含めると、まだ十年単位の歳月が必要らしい。


 そうそう。石彫りを生業なりわいとしているジルドさんは「好景気だ」と忙しそうにしながらも喜んでいたっけ。

 そんなジルドさんは、今でも王都の北部に住んでいた。

 周囲に正体が露見しちゃったわけだけど、変わらない素朴そぼくな生活を送っているらしい。今度、北の地のお土産を持って訪れなきゃね。


「さあ、行きましょう」

「うん」


 ルイセイネに手を取られて、また歩き出す。


「リステアは、じゃあすぐにでも結婚の儀を挙げるのかな?」

「遅くても夏までには、と聞いています」

「うわっ、思っていた以上に早いや」

「そうですよ。だから、エルネア君もその後だと油断していたら大変なことになりますからね?」

「ねえねえ。それって、僕だけが考えなきゃいけないことかな?」

「ふふふ。わたくしたちも意見を言いますが、皆さん立場が違いますからね。それを纏めるのは、家長であるエルネア君です」

「そうだね。じゃあ、まずはみんなの意見聴取から始めよう」


 ミストラル、ライラ、ユフィーリアとニーナ。そして本日、最後の難関であったルイセイネと神殿関係者に結婚承諾の挨拶を済ませて、その全てから許可を得た僕は、いよいよみんなと結婚するんだね。

 これまでも、ひとつ屋根の下で苦楽を共にしてきたので、結婚と言われても正直実感がわかなかった。だけど、こうして目の前に現実が近づいてくると、なんだか奇妙な不安が湧き上がってくる。


 僕は本当に、みんなを幸せにできるのかな?

 みんなは僕について来てくれるのかな?

 女性は、結婚の儀を前に喪失感そうしつかんや不安に襲われるという。僕もまた、そうした不安定な思考に囚われそうになっていた。


「エルネア君、楽しみですね」

「んん?」

「もうすぐ、皆さんと本当の家族になれるのですよ。わたくしは、わくわくしています」


 ルイセイネの足取りは軽い。

 自分の両親と神殿の許可を正式にもらって、心が躍っているのかな。

 行き交う人々も、巫女様の陽気な様子に頬を綻ばせていた。すれ違った少女がこちらを見ながら、負けじと母親の腕に抱きついて、るんるんで通り過ぎていく。


「ええっとね。僕は今でも、みんなのことを本当の家族だと思っているよ。だから、僕はいつでも楽しいよ」

「ふふふ、そうですね。エルネア君はいつもプリシアちゃんたちと同じように楽しそうです」

「ええっ。僕って幼女たちと同じ雰囲気ふんいきなの!?」


 二人で笑う。

 笑いながら、湧いた不安を払拭した。

 そうだよね。僕たちはもう家族なんだ。

 楽しいことや喜びだけじゃなく、不安や不満を持ったり、時には喧嘩をすることもあるだろうね。だけど、家族はその程度のことでは絆を失わない。失わないからこそ、家族なんだ。

 不安を抱えたら、みんなと相談すればいい。みんなが不安にならないように、頑張って引っ張っていけばいい。ううん、僕だけがみんなを引っ張るんじゃなくて、みんなで「家族」を引っ張っていけばいいんだよね。


 なんだか、心が軽くなった。

 さすがは巫女様だね。

 人々の不安を無意識で取り除いてくれる。

 僕はルイセイネの手を結びなおして、のんびりとした足取りで実家へと帰った。






 実家、と呼びたくないほどの豪邸へと帰り着いた頃には、既に日は落ちていた。

 そして、邸宅を囲む緑の壁の周りは静かになっていた。


 昼過ぎ、一度帰ってきた時には驚いたよ。

 なにせ、実家が観光名所として賑わっていたのだから。

 地区ひとつ分程の僕の実家。その周囲は、植木と壁で囲まれていた。

 これだけの豪邸だからね。不審者が侵入してこないように、警備にも人が割かれている。だけど現在は、王国軍からも人員が割り当てられて物々しい警備になっていた。

 原因は、垣根の外からでも見える巨大な漆黒の竜、即ちリリィにあった。

 普通の竜族よりも遥かに大きい立派な竜族が見られるとあって、日中は大賑わい。ここ数日は、お祭り騒ぎになっているらしい。そして、不審者が出ないように物々しい警備になっていた。


 夜も警備は続いていて、道端みちばたには等間隔で王国軍の兵士さんが立っている。敷地のなかでも、お屋敷に雇われた警備員さんたちが見回りをしていた。


 ……王国兵の人たちはまだしも、お屋敷で働く人々の賃金や維持運営費の全てが国庫から出ているんだよね。

 色々とごめんなさい。

 誰に対してなのかわからない謝罪をしながら、みんなが待つお屋敷へと戻る。


 お風呂に入ってさっぱりした後。フォルガンヌや獣人族の人たちも含めて、みんなで賑やかな夕食をとった。

 僕や両親はそもそも平民なので、身分なんて気にしていない。というか、アームアード王国の国民は、身分制度への意識が薄いんだよね。そんなわけで、食事は手の空いている召使さんたちも一緒だ。

 見た目はいかついフォルガンヌたちだけど、幼女のプリシアちゃんが既に平然と接していたのが良かったのか、召使さんたちも怯えることなく働いてくれていた。

 プリシアちゃん、フォルガンヌのおひげをそんなに強く引っ張っちゃいけません。


「エルネア、これをあの方に」

「うん。持っていくね」


 楽しい夕食会は、そのまま宴会へと発展しそうな勢い。だけど、この騒ぎに参加していない人が居るんだよね。

 それは、巨人の魔王。

 僕は、ミストラルに手渡されたお酒などが乗ったお盆を手に、宴会場をあとにする。

 そして、お屋敷の一室へと向かう。

 今でも、油断をするとお屋敷のどの辺なのか混乱する絨毯張りの長い廊下を進み、目的の部屋へと足を向ける。


 しまった!

 部屋の扉を叩こうにも、お盆で両手が塞がっています。と目的地の前で困っていると、誰もいないのに部屋の扉が勝手に開いた。


「お邪魔します」


 入れってことだよね、と解釈して、部屋へと入った。


「うわっ。豪華だ。こんな部屋もあるんだね」

「くくく。己の実家だというのに、その言いようか」

「だって、望んで手に入れた物じゃないし、僕もまだあんまりここで生活してないんですよ」


 部屋のあるじは、ゆったりと身体が沈む長椅子に横たわって、僕を迎え入れた。

 僕が部屋へと入ると、扉が自動で閉まる。

 魔法って便利だね。


「今日は気を使ってもらって、ごめんなさい」


 長椅子の前に設けられた机にお盆を置きながら、魔王に感謝と謝罪を入れる。


「気にする必要はない。待つことには慣れている。百年程度ならのんびり待とう」

「いやいや、百年も待たせませんからねっ」


 千年単位で生きている人にとって、百年は気長に待てる範囲なんだ……


 魔王が手を伸ばす。僕はその手にさかずきを持たせて、お酒を注ぐ。

 魔王は上半身を起こし、お酒を口に運んだ。


「口に合います?」

「問題ない。リリィが先に持って帰ってきた羊の乳の酒も独特で美味かったが、これは高級な味がするな」

「ルドリアードさんが。ああ、この国の第二王子様が魔王への機嫌取りで持ってきた最高級のお酒らしいです」

「そうか」


 魔王はおつまみにも手を伸ばしながら、暫しお酒を楽しんだ。

 魔王はこのお屋敷が気に入っているようで、十分に寛いでいるように見える。

 だけど、それって本当は奇跡に近いことなんだよね。


 魔族の、しかも魔王。その人をないがしろにして、今日は半日を過ごさせてもらった。

 人族の常識から考えれば、魔族の支配者を放置するなんて考えられない。というか、普通に考えても、お客さんを放っておくなんて失礼だよね。

 だけど魔王は、僕たちの個人的な用事や周りの人たちへの配慮で待ってくれたんだ。

 夕食会に参加しなかったのも、獣人族の人たちに気を使ってだと思う。

 フォルガンヌたち獣人族も、見ただけで相手の種族を判別することができる。だから実家に到着した時点で、魔王の種族にも気づいていたはずだ。だけど、先にルイララのこともあって、警戒はしても敵対行動は取らなかった。それでも、ルイララのうやまうような態度や、リリィを相手に余裕を示す魔王に、只ならぬ気配を感じていたに違いない。

 フォルガンヌたちにはその場で紹介しても良かったんだけど、今度は正体を知らない母さんや召使さんたちがひっくり返る可能性があって、控えさせてもらっていた。

 そんな感じで、魔王には獣人族とお屋敷の人たちのことを優先させてもらって、後回しの対応になってしまっていたんだよね。

 本当にごめんなさい。そして、ありがとうございます。


「気にするな。私もこのような場にまで来て騒ぎは面倒だ。其方そなたきにはからえ」

「とは言っても、ひとりだけはぐれさせているのもどうかと思うし。近いうちに紹介しますね」

「そうか」


 魔王は言葉少な気に、杯に口をつけていた。僕は杯の液体がなくなるたびに、手にしたつぼを傾ける。

 魔王は特に不機嫌とかそういうわけじゃなく、純粋にお酒の味を楽しんでいるように見えた。


「どうだ、其方も飲むか?」

「いいえ、僕はお酒を飲めないので」


 お盆にはもうひとつ杯が乗せられていたけど、僕は丁重にお断りを入れる。すると、魔王はくつくつと喉を鳴らして笑った。


「魔王の晩酌ばんしゃくを断るとは。其方は本当に大物だな」

「うう。そんなつもりじゃないです。本当にお酒が飲めないので」

「まあ、良い。気にするな。私に気を使わぬ貴重な存在だ。そのままでれ」

「一応、気は使ってるんですよ?」

「そういうことにしておこう」

「それで、今回はどんな用件で来られたんですか?」


 頃合いを見て、気になっていたことを聞いてみる。

 単純にリリィとお散歩、ではないと思うんだよね。魔王がわざわざ竜峰を越えて人族の国に来るなんて、なにかあるんじゃないのかな。

 というか、魔族は竜峰を簡単には越えられないんじゃなかったんですか! リリィがいるから? それにしても、気楽に来すぎです。


「一般的な魔族には越えられない、というだけだ」

「それってつまり、魔王くらいになれば易々と越えられる?」

「魔王にも色々ある。越えられる者もいる、程度に認識していれば良い。クシャリラも超えただろう」

「そうですね。そう言えば、クシャリラはどうなりましたか?」

「くくく。私がここへ来た用件を聞いていたのではないのか?」

「そうでした!」

「まあ、クシャリラとの関連でもある」


 魔王は杯を机に置くと、手を伸ばして謎の空間から真っ黒な布に包まれた長物を取り出す。

 アレスちゃんといい、その謎空間はどこに繋がっているのでしょうか。とても気になります。


「ようやくクシャリラが支配していた国から手を引くことができた」

「と言うと?」

「一時的に占領していたわけだからな。上の命令で撤退することになったとはいえ、手順は踏まなければならん。家臣には働きに見合った報酬を渡さねばならぬのだからな」

「そのまま支配じゃなかったんですね」

「他の魔王との力関係にも影響する。二国分を今の私が支配するのはよろしくない」

「なるほど」

「クシャリラも、残った忠臣を連れて西へと移動した。魔族側もようやっといち段落したところだな。だが、私はこちら側にも長期にわたって部下を派遣しているのだ。いち段落をしたら表敬訪問くらいはせねばなるまい」

「ああ、ルイララか。彼には随分とお世話になっています」

「あれは、お前があまり相手をしてくれないと不満がっていたな」

「いやいや、ルイララの相手をまともにしていたら、寿命が縮んじゃいます」

「くくく、そうだな。だが、あれが思いのほか楽しく仕事をしているのは、其方のおかげだ」

「そうなのかなあ……」


 ルイララは、いつでもどこでも自由に振る舞っているように見えるんだけど、と話したら、魔族の国ではそうでもないらしい。

 ルイララの親は始祖族しそぞくで、魔王に次ぐ公爵位。ルイララ自身も子爵位ということで、意外と真面目に領地を管理しているのだとか。

 だから、身分や役職のしがらみがなく、対等に接してくれる僕たちの近くにいると楽しそうにしているらしい。そして、魔王もこちらに来ると息抜きになるのだとか。

 種族は違えど、それなりの立場の人はやっぱり大変なんだね。


「じゃあ、表敬訪問と言いながら休暇に来たんですね」

「まあ、それも目的のひとつだな」

「じゃあ、別の目的とは?」

「これを其方に渡そうと思ってな」


 言って魔王は、真っ黒な布に包まれた長物を僕へと差し出した。僕は安易に受け取ろうとして、嫌な予感で慌てて手を引っ込める。


「くくく。さとい」

「これ、絶対に危険な物ですよね!」

「危険かどうかは別として」


 僕が手を引っ込めたので、魔王は自分で長物を包んでいた布をぐ。

 なかからは、いびつに曲がりくねったひと振りの剣が出てきた。


 はい。見覚えがあります。魔王クシャリラや、魔王の更に上に立つという少女が所持していましたね。そして、巨人の魔王も長椅子に立てかけた状態で所持しています。

 知っています。

 魔剣です。

 とてもとても危険な、最上位の魔剣です!


「それって、魔王が持つというやつですよね」

「そうだ。これを其方に渡そうと思ってな」

「いやいやいや、僕は絶対に魔王にはなりませんからね!」


 危ない、危ない。危うく問答無用で魔王にさせられるところでした。

 やっぱりこの人は魔族だ。油断をすると、すぐに恐ろしい状況になっちゃう。


 僕が視線も逸らして断固拒否の態度を示すと、魔王は愉快そうに笑う。


「そうか、残念だ。だが、気が変わったらいつでも言うと良い。現状、魔王位は不足している。其方が望むのなら、私はいつでも後ろ盾になろう」

「いいえ、なにが起きても魔王にはなりません! そもそも、武器はもう持ってますし」


 僕には、霊樹の木刀と白剣がある。三本目は必要ないですよ。


 魔王はさほど本気ではなかったのか、僕が断ると気にした様子もなく、また魔剣を謎の空間に収納してしまう。


「用件はいまのふたつだけ?」

「いいや、次が本命だな」


 ルイララを労うためと、僕への魔王勧誘。それだけなら特に問題はなかったんだけど。

 魔王は寛いでいた姿勢を起こし、僕を真剣な眼差しで見つめてきた。

 魂を鷲掴みにするような感覚が襲いかかり、これまでの緩んでいた気配が吹き飛ぶ。

 一瞬で全身に嫌な汗が噴き出してきて、僕は身動きできなくなった。


「それでは、言おう」


 乾いた喉を潤すこともできず、僕は魔王を見る。


「結婚の儀に、魔族も一枚噛ませてもらう」

「……は?」

「儀式は私の国で挙げてもらう。もしくは、儀式に私を含む魔族の参加を要請する」

「……」

「まあ、ようするに。この国の復興協力などの見返りに、其方の結婚の儀にべということだ」


 魔王は口の端を上げて、僕への悪戯いたずらが上手くいったと笑った。


 くううっ。

 恐ろしい気配はわざとなんですね。

 僕を怯えさせて、もてあそんだんですね!


「良いではないか。魔王の件を其方は拒んだのだ。それくらい甘んじて受けよ」

「ぐぬぬ」


 魔王に弄ばれたことは悲しいけど、言い返せません。

 魔王の要請を断るなんて、普通なら死に直結することだからね。


 巨人の魔王は気配を殺し、またお酒を飲み始めた。

 僕は緊張から解放されて、へなへなと床に座り込んでしまう。


「でも、さすがに結婚の儀を魔族の国で、というのは無理ですよ」

「だろうな。妥協して、私らを招ぶことで許そう」


 大変なことになりました。

 式場選びだけでも大変なのに、来賓らいひんに魔族も加わるなんて……

 僕は頭を抱えて、魔王の前で転げ回った。

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