第10話 リオンと光の神様
あの日リオンは、横たわっていた。
あの日とは。。
私が初めてあの娘に出逢った日の事だ。
私は光の神である。
あの日の事をジャンが見ていた等到底気が付きもしなかった。
それくらい、私が受けた衝撃はすごかったのだ。
興味本位で見に行った、リオンを見た時のあの衝撃。。。
あの娘は横たわっていた。
金色の髪は乱れ、衣装もまともに羽織るわけでもなく、やせ細り、生きているのかさえ疑う程だった。。
創られた御霊の娘とは最期はこんな姿になるのかと考えた位だ。
だが、そんな衝撃を受けながら、私の内側は事もあろうか別の感情と感覚があったのだ。
あんなにみすぼらしく、痛々しいあの娘を見て、私は感じたのだ。
「綺麗だ。」と。
あの娘の何がそう「綺麗」だと感じたのかは、その時は解らず、私は自宅へ帰る。
帰れば、妻のサティが尋ねてきた。
サティ「どうだったの?」
そうなのだ。我々夫婦は初めからリオンの様子を見てくる事を目的としていたのだ。
光の神「酷い有様だ。。。」
私は座りため息をついた。。。
だが、私の内側にある『綺麗な娘』
これに関してはまだ、言えずにいた。
そうして、私は何度も通う事になる。
部屋で横たわってばかりの娘は、私がやって来る度に言うのだ。
リオン「貴方様の欲望は私には叶えられない。だから、お帰り下さい。」
光の神「欲望とはなんだ?」
リオン「私を抱く為に来たのでしょう。」
私は驚き
「私はその為に来たのではない。」
そう言えば
リオン「なら、何をしに来られたのですか?」
私はこの娘が不憫に思えた。
真にそれだけの為に創られた事が、
この娘から伺えたからだ。
光の神「私はお前と話したいから来たのだ。」
リオン「話したい?」
光の神「そうだ。ただ、お前と話がしたい。」
リオンは、不思議そうな表情を浮かべながらそのまま眠ってしまった。
私は娘の髪に触れ、手で整えてやっていると、ミナカヌシ様が部屋に現れた。
ミナカヌシ「リオンをどう思いますか?」
光の神「不憫な娘だ。」
ミナカヌシ「それだけですか?」
光の神「それだけとは?」
ミナカヌシ「この娘から何か感じませんか?」
光の神「と言うと?」
ミナカヌシ「私はこの娘を見つけた時の衝撃は未だ忘れません。
それは、生気がないわけでも、
みすぼらしい姿でもありません。
普通の者には感じられませんでした。」
光の神「普通の者ではない?」
ミナカヌシ「そうです。この娘は普通ではありません。 内に秘めたるものがです。」
私はミナカヌシ様からの話をきき、理解した。なぜ『綺麗』だと感じたのかを。
光の神「私はこの娘を見て『綺麗』な娘だと感じている。」
ミナカヌシ様は、私に微笑み言われたのだ。
ミナカヌシ「光の神様。あなたに頼みたいのです。 この娘の心を開かせ、生きさせてほしいのです。」
光の神「なぜ、私にだ?」
ミナカヌシ「貴方様の温かく、情熱とも言うようなエネルギーをもって寄り添えばあの娘の心を開かせる事ができるかもしれません。」
光の神「勿論、そのつもりだ。」
私は決めていたのだ。
初めから。
この娘を救う事を。。
それは、私だけではなく、妻、サティは勿論だが。ヒンズーの私の仲間達と共にだ。。。
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