女友達に見られたくない姿No.7くらい
棚いっぱいにずらりと並べられた下着の前に、彰久はいた。
突き刺さる視線に目を瞑ることで応戦するも、耐え切れるかどうか。
何が楽しくてこんなところへ来なければならないのか、不満いっぱいの気持ちで荷物を抱える。
「せめて男物のコーナーへ行かせればいいだろ。なんでこんなところに」
帰りたい気持ちを死ぬ気で押さえ、試着室付近の壁に背をつけら彰久に声がかかる。
「彰久、ちゃんといる?」
「夜中のトイレが怖い子供か。さっさと着て買え」
「ん?なんだって?」
「聞こえてたよな?聞こえてたよな!?なんで出てくる秋奈!」
カーテンを半分開け、彰久に顔を突き出す秋奈。絶対遊んでる。そうとしか思えない。
「大体、こんな姿大学の友達にでも見られたらどうするん」
「月野木……先、輩?」
姉弟喧嘩を止めたのは彰久だった。開いていた口を急速に閉じ、荷物を掲げた。
「月野木先輩、ここで何して……その、下着の女性は……」
「秋奈だ、秋奈!姉だ!」
チラリと目の前の少女に視線を向ける。間違いようもなく雫だ。
が、目が点になっており話は完全に聞いていない。
「見たいなら言ってくれれば……私も、先輩になら……」
「おい成瀬、こんなところで変なこと口走るんじゃ……秋奈?お前はなんでニヤニヤしてる!?」
「後は若いお二人で〜」
カーテンの閉まる音が店内に響く。雫と彰久の間には気まずさ百五十%の空気が流れた。
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