第8話「ラナ討伐」

ラナを倒す為に1人で城を出ようとした時だった。

「ミシェル様。」


その聞き覚えのある声に振り返った。


「ローズ?!」


「どちらへ?」


「実は……。」


ミシェルは正直に悪魔との契約を話した。


「なるほど、わかりました。では、私から魔法を1つ、プレゼントしておきます。」


「へ?」


「貴方の想いが本物なら、悪魔との契約は意味をなさなくなるでしょう。あ、それと私もお供させてください。」


「危ないわよ?」


「大丈夫です。実は私も転生者で、元勇者パーティのヒーラーなのです。」


「ええ?!」


「さ、皆が起きる前にいきましょう。」


「う、うん……」


2人はこっそり城をでて、馬車でレオンハルト王国へと向かう。馬車が城に付いた。


「私の魔法で、姿が一時的に見えなくします。」


「ありがとう、ローズ。」

そう言う彼女の顔は少し曇っていた。

「……彼女を救いたいのですか?」


「ええ、そうね。確かにラナは私にとって憎い相手よ。でも、それでも、何か理由があるんじゃないかって、思うの。」


「……貴方が奇跡望むなら、きっと叶うでしょう。そう、思います。」


「?そう?なの?」


「さ、ラナの部屋へと急ぎましょう。」


「ええ。」


2人は城にこっそりと忍びいった。ラナの部屋を目指す。しばらく城の中を歩き、ラナの部屋へとたどり着いた。


そおっと入る。ミシェルは剣を握りしめた。


「さあ、ラナへそれを突き刺してください。」


「…………。」


ミシェルにはできなかった。


「う、ううん、誰?」


ここでラナが眼を覚ます。


「はっ?!」


「あら、ミシェル様。私を殺しに来たの?」


「………。」


「死ぬのは貴方よ!!」


ラナの姿が怪物へと変わっていく。


「へぇえええ?!」


「ぐぁああああっ!!」


驚いて動けないミシェルにローズは早く突き刺すように言う。しかし、ミシェルにはできない。


「このままでは国が滅びます!早く!刺して!」


追い出された国、でも、それでも祖国。ミシェルは覚悟を決めた。


「はぁ!!」


ラナに剣を突き刺そうとする。ここで剣術の特訓をしていた事が役にたった。剣はラナの心臓へと突き刺さる。


「ぐぁああああああああぁぁぁ!?」


ラナは呆気なく死んでしまった。否、ラナは元の人間の姿へと戻る。


「ラナ」


「あれ?私……ここはどこ?私は誰?」


「え?」


「ラナは死なずに記憶を失ってしまったようですね。これでは悪魔との取引も無効です。」

そこに悪魔が出てきた。

「くそっ。そこのヒーラーのせいで我の食事が……」


「諦めて帰りなさい。」

悪魔は恨み言を言って去っていった。


「ラナ、記憶がないの?大丈夫?」


「え、誰?ですか?」


「ミシェル様、もう帰りましょう。後は王子がなんとかされますわ。」


「……そうね。」


2人は城を抜け出して馬車に乗り、隣国の城へと戻っていった。

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