第7話「呪いのとき方」
ミシェルは城に戻ってからテラスで悩んでいた。それはロンの顔である。もちろん今のままでも問題ない。でも、本人はそれを嫌がっている。なんとか元に戻す方法は無いのだろうか。
「ミシェル、どうかしたのかい?」
「ロン様の呪い、解けないかしら?」
「……そうだよね。こんな化け物みたいな顔の私なんてあなたに相応しくないですよね。」
「違います!私は今のままでも構いませんわ。ただ、ロン様は物凄く気にされているので、心配で…。」
「ありがとう。ミシェル。」
優しく微笑むロンはとても素敵に見える。例えゾンビだとしてもその優しい性格までは変わらないのだ。アーロン様に見放され、言われなき罪を背負わされて、この世は無情だと思っていたけれど、ロン様は違う。私を選んでくださった。優しくて素敵な方。そんなロン様の力になりたい。ミシェルは心からそう思うのだった。ミシェルはさっそく城の書庫にてたくさんの魔法書を読み漁った。
「これかしら?違う……こっち…。」
色々と読んでいるうちに夜になる。しかし、呪いをとく方法はわからない。
「うーん、普通の魔法ならかけた相手に解いてもらえばとけるのだけど……。」
そう悩んでいる所にロンが来る。
「ミシェル、そろそろ休まれては?」
「い、いえ、私は一刻も早く、ロン様の呪いをときたいのです。」
「その気持ちだけ受け取っておきます。さあ、部屋に帰りましょう。」
「そうですわね。」
ロンに言われて本を閉じようとした時だった。一筋の文が気になった。
「…呪いのときかた?」
そこに書いていたのは紛れもなく呪いのときかたである。しかし、問題があった。呪いをとく術者が死んでしまうと言うものだった。
「これなら…。」
「ミシェル、却下だ。君に死んで欲しくはない!」
「でも、……」
「いいから早く部屋へ戻ろう。」
ロンに手を引かれて寝室へと戻った。しかし、ミシェルはあの本の文が気になって仕方なかった。もし、ロン様を元に戻せるのなら……。
翌朝再びあの本を探しにいく。
「…あった!」
ハシゴから降りると本の例のページをひらいた。
「なになに……。術者は魔法陣を図のように描き、その中心に立つ。へ?これだけ?」
これだけで本当にとけるのだろうか?少し不思議に思いながらも本の通り魔法陣を描くことにした。魔法陣を書き終えた後、ミシェルは祈りながらその中心へたつ。
「どうか、ロン様の呪いをといてください。」
すると光が辺りに溢れた。その瞬間、ミシェルの意識は遠のいた。
「あ、れ?」
薄れゆく意識の中で何かを見た気がするがよくわからない。ミシェルは眠った。
「……あ、あれ?生きてる?」
ミシェルが眼を覚ました時にはもう夕方になっていた。
「どうして?失敗したの?!」
「いや?成功だ。」
誰かの声が聞こえた。驚いて声の方を見るとそこには黒い服をきた……。
「あ、悪魔?!」
「そうだ。我は悪魔貴様の願いを叶えるには聖女を倒す他ない。」
「え?」
「聖女を倒す力をやるから代わりにおまえの命をいただく。」
「そ、そんな。この本は悪魔の降霊書だったのね!?」
「そうだ。悪魔の我に叶えられない願いは無い。喜べ、女。お前の願いは叶えられる。」
「わかったわ!ラナを倒しにいくわ!」
「では、この剣を受け取るがいい。」
「これは?」
「魔物を1突きで消滅させる剣だ。」
「……、1突き。」
「そうだ。お前、このごに及んでラナへの慈悲を忘れられないのだな?馬鹿な女だ。だから騙される。」
「……」
受け取った剣はすこし重いぐらいで振り回す事はできるぐらいだった。
「さあ、行くがいい。願いを叶えた時、お前は死ぬ。」
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