第5話「呪い」
「当時、国は河川の決壊で荒れておりました。そこにラナが現れ、たくさんの人を救い、奇跡を起こしていきました。私は河川の決壊を直して欲しいというと、あるものと引き換えだと言うのです。それこそが私の顔です。」
「……。」
「それ以来私の顔は醜いゾンビに変わってしまったのです。」
「………。」
「ミシェル嬢、私は昔からあなたの事を気にしておりました。」
「私の事を?」
「はい、始めたダンスパーティーで出会ったあの日、貴方は道に迷っていた私に優しく微笑んで道を教えてくださったのです。それ以来あなたの事を忘れた日はありません。」
「そういえばそんなこともありましたわね。懐かしい。」
「あなたが流刑にされたと知った時には既に時遅く、助けに行くことを周りから止められておりました。」
「そうなのですね。ありがとうございます。」
「そんなあなたでも、この顔は受け入れ難いでしょうか?」
「……そんな事はありません。」
そう言ってミシェルはロンの頬にキスをした。
「顔など関係ありません。私を選んでくださった事、心より感謝しておりますわ。」
こうして、次の日に2人の式が執り行われた。国中の誰もが祝福をしてくれた。中にはミシェルの噂を聞いてよく思わない者もいたが、幸せな結婚式を行えた。
「お嬢様、おめでとうございます。」
「ありがとう、ローズ。」
「お嬢様、今ここで言う事ではないのですが、」
「?なに?」
「ロン様の呪いは簡単にはとけないでしょう。それでも、よかったのですか?」
「ええ、もちろんよ。」
コンコンと部屋のノックがなる。そこに現れたのはロンだった。
「ミシェル。」
「ロン様、どうされました?」
「これを……」
ロンが見せたのは自分の手だった。
「まあっ?!呪いが広がっている?!」
「そうなのです。私が幸せになればなるほど、呪いはより強く私を蝕む事を今しりました。」
「そんな……」
ミシェルはロンの手を優しく握った。
「ミシェル?」
「お辛いですわね。私、力になれるならなんでもいたしますわ。」
「ありがとう、ミシェル。」
そう言って2人は微笑みあうのだった。
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