第4話「醜い顔と聖女」

「ん……」


「お目覚めですか?」


「え?」


目が覚めると王子の膝の上に頭を置いていた。驚いて退けようとするが体が動かない。


「?!」


なんと手錠をされて、足枷もされていたのだ。


「こ、これ一体。」


「あなたをずっと見ていました。」


「はい?」


「その美しい体を私のモノにしたいと…」


「初夜のお誘いにしては酷い有様ですわね。」


「ええ、記念すべき初夜です。」


ミシェルはなんとか手錠を、壊そうとするが、体に力がはいらない。


「くっ!」


「無駄な事、あなたが怪力なのは周知の事実。特殊な魔法をかけて解けないようにしています。」


笑顔でそう言う彼はどこか恐ろしかった。


「私を、どうするの?」


「まずは、……」


いきなり唇を奪われる。


「んっ?!」


「暴れないでください。痛い事はしたくないので。」


「ローズ!ローズ達はどこに!?」


少しパニックになってローズを、呼ぶが助けにはこない。


「使用人達には少し眠って貰っています。」


「そ、そんなっ!?」


怖い!殺される!


そう思ったミシェルは涙を浮かべた。こんなことなら荒野で生活していた方が良かったと思いなおす。


「ミシェル様、誤解しないでください。あなたに危害を加えるつもりはないのです。」

「なっ!?じゃあ、この手錠を外してぬださいませ!」


「そ、それは……」


ロンは言い淀む。


「本当の私を見ても逃げませんか?」


「逃げないわ!」


「約束ですよ?」


「ええ!」


勢いで頷いたが‪”‬本当のロン‪”‬とはどう言うことなのだろう?


ロンはミシェルの手錠、足枷をはずした。そしてそっと顔に手を当てる。そこには、


「っ?!」


「本当の私は、このように醜いのです。」


ロンの顔は醜いゾンビの顔だった。


「きゃーー!!」


「……、だから言ったじゃないですか。やっぱり私と結婚してくれる人なんていなかったんだ。優しいあなたならきっとと、期待した私が愚かでした。」


「……び、びっくりしただけです。」


なんとか笑顔を作ろうと表情が強ばる。


「でも、なんでそんな顔に?」


「とある聖女に騙された結果です。」


「とある聖女?まさか、……」


「ええ、聖女ラナです。」

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