カリスマのくせにこじらせた二人の恋愛事情

葉っぱ

第1話 なぜ彼は告白してこないの?

 都内有数の進学校である鷲鷹学園には、世間にも広く知られた二人のカリスマ的な学生がいた。


 鈴木薫子がその一人である。高校三年生。進学校ゆえに成績こそ中間ではあるが、細く雪のように白い肌で、薄い茶色の髪は日差しにあてると金色に輝く。誰とでも分け隔てなく会話をして、笑いかければ男女ともにその笑顔に見とれる圧倒的美少女である。この3年間で告白された数は学内外で数え切れないほどであるが、その告白の全てを彼女は「好きな人がいる」と一貫して断り続けた。


 その好きな人とは、、、もう一人のカリスマである同じクラスの神田秀一である。秀一は入学試験の成績優秀者として、新入生代表の挨拶をした時から、全学生を騒然とさせた。天性の秀才かと思えば、彼は努力して勉学に励み、運動も手を抜かない。常にトップを目指してその地位を確立させたという。そして特にいじらない黒髪に端整な顔立ち。笑えばあどけない可愛らしさを兼ね備えている。全学年の女子、女性の先生までもが母性をくすぐられては彼の笑顔を一目見ようと彼の周りを挙動不審に周回する。盗撮された彼の写真は数百枚と裏で出回っているほどだ。


 かくいう薫子も、入学式の秀一のスピーチを見て一目で恋に落ちた。以降、彼の声が聞こえるだけで美少女形無しの誰にも見せられないような破顔をして、全身が生まれたての子鹿のように震えてしまう。


 1年生の時から彼にはこんな噂があった。薫子と同じように女性からの告白を度々受ける秀一は、その全てを断り続けたのだが、フラれた女性たちが聞いた理由をまとめると、「この学校の女生徒のほとんどに魅力を感じないらしい」「相当理想が高いようだ」ということだった。


「だとしたら、彼と付き合えるのは薫子くらいしかいなくない?」


 友達はいつもそう言った。自分でもちょっとそう思う。私はこの学園で一番の美少女と噂されているのだ。彼もそんな噂を聞いて私のことを知っているんじゃないか?と。


 しかし、高校一年生から二年生まで、私と彼はクラスも離れていてまるで接点がなかった。友人同士、大人数で遊ぶ機会を画策しても、秀一は気が乗らないようで参加してくれない。休み時間に彼のクラスに遊びに行っても彼は私を気にかけもしなかった。


 そんな陰から見ているだけの片思いをしている私に、やっとチャンスが巡ってきた。高校三年生、最後の今、私はついに彼と同じクラスになったのだ。


 4月。一学期の始まり。

 私と彼は、みんなの推薦で学級委員に選ばれた。


「よろしく。鈴木さん。」


 彼に話しかけられた初めての言葉である。


(はいっ!一生よろしくお願いします。永遠によろしくお願いしますぅううう!!!)


 と心の中で叫んだ。


 が、薫子は秀一の声を聞くだけで破顔バンビになる習性がある。


「ああああああ、ひゃい。こちrこそっ!」


 まともに会話にならなかった。


 5月。少しだけ会話することに慣れた。ほんの少しだけ。


「鈴木さんって、薫子って言うんだね。淑女っぽい良い名前だね。」


(えーーーーー!!うそうそうそっ、今私褒められたの!?大変!お母さんありがとう!私薫子で良かった!!!!もっと平凡な前にして欲しかったって言ってごめん!!!)


 この日、薫子は知恵熱を出して翌日から3日間寝込んだ。


 6月。ある日、二限目が終わった休み時間にクラスがざわついた。


「秀一、彼女いないんだよな?合コンあるんだけど来ないか?お前が来たら、全女子かっさらっていきそうだけど、それはそれで面白いから!」


 秀一にそう話しかけた男子がいた。


 クラス全女子が微たりとも動かなくなり、耳の神経をフル稼働した瞬間である。


(いやっ!なに言ってるのよ!行くわけないでしょ!!ダメ!絶対ダメ!)


 薫子はこの時、齢17にして血圧140を叩きだしたと後に語る。


「いや、そういうのはごめん。いいよ。」


 秀一が言った。


「何だよ、ノリ悪いなぁ。好きな人でもいるのか?」


「ああ、まぁ。いると言えばいるな。」


 ガタンっ!ガタ、ガタ!!ギーーー!バタン!


 隣のクラスのある男子生徒はこの音を聞いて、「2組が掃除を始めた?」と思ったと後に語る。


 聞こえた音は、女子が思わず机を押して、椅子から立ち上がった音であった。


全女子(好きな人がいるの!?好きな人がいるの!?初めての情報よ!?)


全女子が一同に心の中でそう思った。

それは人類が発した歴史上最強の、銀河を超えて届くテレパシーとなった。


「まじかよ!このクラスか?」


全女子(ナイス質疑。根掘り葉掘り聞けよ!)


「うん?まぁ、そうっちゃそうかもな。」


 その瞬間、薫子以外の女子が一斉に薫子の方を向いた。


全女子(やっぱり!薫子なんじゃないの!?!?!?)


 学級委員である二人は、史上最強のカップルと噂されていた。誰が見てもお似合いの二人で、いつ本当のカップルになるのかと誰もが憶測の目で見ていたのだった。


 7月。夏休みが近づく。

 進学校であるため、みんなが大学受験前の夏期講習に時間を費やす。


 薫子は秀一の進学候補の大学をリサーチしていた。T大学。自分の学力では無理かも知れない。せめて近くの大学を選ぼうと受験先を絞った。


 8月。夏休みが始まった。


 会えない。闇で出回っている秀一の写真を見ながら勉強に勤しんだ。


 9月。2学期の始まり。


 席替えがあった。

 薫子の席は教卓の前。真ん中の一番前の席である。

 

 そして、その後ろの席はなんと、


(やばいやばいやばい!秀一君、後ろの席ぃぃぃ!!眺めることもできない!でも後ろ姿見られてる!どうしよう!)


 どうしようもなにもない。


 トントンっ


 薫子の肩がそっと叩かれた。秀一である。


「え!?」


 薫子がそろ~っと後ろを振り返る。


「鈴木さん、席近くなったね。話しやすくなったな。」


 そう言って、ニコッと秀一が微笑む。


「う、ううううんっ。うううううれしいなっ!」


 この日、薫子は本心を彼に伝えられた記念日としてお祝いにホールケーキを買って帰ったという。

 

 二人が笑いながら話すのをこっそりと写真に収めてくれていた友人から、その写真がスマホに送られてきたその日の晩は、ベッドに顔を埋めて声を殺して泣いた。歓喜の涙である。


 その週末は美容室でヘアマニキュアをした。


 10月。あることに気づいた。


 時々、授業中に聞こえる秀一の小さな独り言である。


「ああ、綺麗だな。」


「素敵だ。」


「好きだ。」


 まるで好きな女性を称賛するような言葉がかすかに聞こえるのだ。


 その度に薫子の心拍数は跳ね上がる。


(もしかして、、、私のこと?)


 一度そう考えてしまったら最後、頭の中を何度もその疑問がリフレインする。


(まさか。でも。)


(秀一君と一番話す女子は私。秀一君の目に映るのは前の席の私。)


 どんどん希望が膨らんでくる。


 薫子は初めて、セントジョーンズワートを購入したのはこの時だと後に語る。精神を安定させるハーブティーである。


 11月。


 受験を控えているとはいえ、クリスマスが近づき多少みんなが意識し出す頃である。薫子も内心どこかで期待していた。


(クリスマス前に告白とかしてくれたら・・・。)


 秀一に想いを告げられ、二人で過ごすクリスマス・・・という妄想が薫子の毎日のエネルギー源になった。そのドーパミンは受験勉強の動力として使われることになる。


 相変わらず、時々だけど秀一の恋の独り言は続いていた。


 12月。センター試験を控えて生徒は黙々と勉強している頃。


 話の流れで秀一君から誘われて、放課後に図書館で二人で勉強をした。もちろん薫子が教えてもらう側である。


(この流れは、クリスマスのお誘いは本当にあるのではないか?)


 薫子はドキドキした。


「しゅっ、秀一君。丁寧に教えてくれてありがとう。すごくわかりやすかった。」


 初めて名前呼びをした記念日。


「うん、いいよ。鈴木さん、飲み込み早いからきっと試験も大丈夫だよ!」


「また、もし時間があって迷惑でなければ、その、、教えてね。」


「ああ、もちろん良いよ。連絡先も交換しておく?」


「いいいいい、いいの?」


 連絡先を交換した記念日に塗り替えられた。


「うん。俺、鈴木さんは話しやすくて好きだから。」



(!!!!!!!!!!!!!?????????)



(好きって言った?好きって言った?今、好きって言った!!!??)


 これは両思いで確定?と薫子は強い期待を抱いた。



 1月。三年生はほとんど学校には行かない時期。


 クリスマスは結局誘われることなく終わった。当然と言えば当然なのかも知れない。受験前だもの。そう薫子は悲しさを頭から追い出して勉強を続けた。年末年始も彼に会うこともできず、友人が撮ってくれた二人の写真だけが心の拠り所であった。


(ちょっとだけでも、声が聞きたい。)


 電話をしてみようかと思ったけれど、耳に直に彼の声を聞くのはハードルが高かった。せめてメッセージだけでも。。。


 彼と交換したチャットアプリのトーク画面を開き、3時間かけて文章を考えた。


『秀一君、勉強はかどってますか?がんばってね。』


 それから3時間後、彼からの返信が来た。


『ありがとう。鈴木さんも頑張ってね。』


 薫子は翌日、トーク画面をスクショしてラミネートをかけて勉強中の下敷きにした。寝るときには枕の下に敷いた。


 2月。各自試験に挑む。学校へは卒業式の練習などで出席するのみ


 試験を終えた者からホッと息をつき、クラスに明るさが見られた。


(卒業まであとわずかなのに、私と秀一君は進展しないままなのかな。)


 薫子に不安が宿る。


 そんなとき、大変な事実が判明する。


「なぁ、秀一。結局好きな人のことはどうなったんだ?」


 秀一の友人がそう話しかけたのだ。秀一君は私の後ろの席なの。つまり、その会話は完全に私の耳に入るってわけ。もし、彼の好きな人が私なら、彼はどう答えるのだろう・・・?と薫子の指先は震えた。


「え?そんな話あったっけ?」


 秀一が不思議そうに言った。


「なんだよ、お前言ってたじゃん。このクラスに好きな人がいるって。」


「ああ、そういえばそんな話をしたな。」


 続けて彼が言う。


「違うよ、アレは・・・」 


「俺ね、松崎先生を心から尊敬しているんだ。だから好きな人って言うのは生き方が素晴らしいなって意味で。」



「は?」

(は?)


 秀一に話しかけたモブ男子と私の心の声が綺麗にハモった。


 松崎先生とは、このクラスの担任で国語の先生である。おそらく40代半ばと噂の既婚女性である。


「松崎先生ってね、休みの日にはボランティアをしたり、お茶も華道も嗜むんだって。国語の先生だから、言葉使いも綺麗でしょう?そういうところが好きでさ。」


「結婚するならあんな女性が良いなって。本当に素敵な人だよ、松崎先生は。」 


(なななななな、なるほどっ!全てつじつまが合う。彼が独り言を言っていたのは国語の時間だけで、教壇にいる松崎先生の話し方を素敵だ綺麗だと言っていたのね、、、。私じゃなくて。。。)


 うなだれた。机に顔を伏して泣いた。


 しかし、考えて見ると、彼は本当に好きな人はいないってこと?


(私にチャンスはあるのだろうか?)



 3月始め。卒業式である。


 秀一は現役で難関大学Tに合格したと聞いた。薫子はそこから近い大学に合格した。秀一から離れないためだけに勉強に取り組んだ結果、薫子の受けた大学のレベルもそれなりに高い。


 しかしこのままいけば、今日を最後に何事もなく卒業して、その後も彼と会うきっかけを取り付けることはできないように思えた。


(ああ、私、、秀一君が私のことを好きなんじゃないかって思っていたから、告白されるのを待つだけだったなぁ。馬鹿な勘違いのせいで3年間片思いのままよ。)


 そんな風にがっくりと肩を落として過ごし今日を迎えてしまった。


(もう会えなくなるのなら、告白してしまおう。フラれてしまったほうが忘れるのに時間もかからないかも。。)


 どうせ私は、彼の前でまともに告白などできない。顔を真っ赤にして手足は震え、言葉も聞き取れないに違いないと考えた薫子は、手紙を嗜めてきていた。


 彼の好みに近づく為に、できる限り丁寧な字で、言葉遣いを綺麗に。上品並ぶレターを心がけて書いた。ずっと好きだったこと、大学に進学しても会いたいこと、秀一君にふさわしい女性を目指すことなど、懸命に嗜めた。


 そして大事にそれを持ったまま、卒業式を終えた。


 高校生活が終わること、友人と会えなくなること、それもあるけれど、、それ以上に秀一君と会えなくなることを考えるだけで涙がこぼれた。


 校門前。花束を持ってざわつく卒業生の中に彼を探す。


(いた。)


 仲の良い男子と、彼のファンであろう後輩の女の子に囲まれいている。私は私で、知らない男子たちに何度と声をかけられていた。「ちょっと話が・・・」そう言って声をかけてくるほとんどの男子がおそらく告白するつもりなのだろう。私はもう一人ずつ丁寧に断ることなどしている暇がない。無視を決め込んだ。



 このままでは二人きりになどなれそうもない。私は思いきって彼にメッセージを送った。


『話したいことがあるから、時間をもらえませんか?』


 目に届く場所にいる彼はそのメッセージにすぐ気がついたようだとわかる。そして程なく返信をもらえた。


『じゃあ、今から校舎の裏に行くよ。そこでいい?』


 彼がそうメッセージを送った後、校舎に向かって一人で歩き出した。私がここにいることに気づいたようで、彼は私に目線を送ると先に行ってしまった。


 少しタイミングを遅らせて私も校舎裏へと向かう。


 

 校舎裏に着くと、すぐに彼の背中を見つけて私は駆け寄った。


「ごめんなさい。いきなり呼び出したりして・・・」


「いや、うん。全然良いよ。」


 彼は私が言いたいことがあるのだろう?と言う目で沈黙したまま待っていてくれた。ああ、本当は手紙を渡して逃げることも考えていたのに、これは言うしかないのだろうか、、と覚悟が決まらないまま足が震えだした。


「あのっ、大学。そう大学!合格おめでとう。す、すごいね!」


「ああ、ありがとう。」


「あ、あと。勉強教えてくれてありがとうっ。おかげで私もちゃんと進学できた。」


 秀一はなぜか、ちょっと怒っているかのような顔をした後、ふぅっとため息をついた。


「ねぇ。」


 そう私に声をかけると、困ったように笑って続けて彼が言った。


「こんな風に呼び出されたら、告白されるのかと思っちゃうよ?」


(実際、そうだけど・・・どうしよう、なんて言えば?)


 思わぬ彼の言葉に固まってしまった。


「鈴木さんって、ずっと好きな人がいるんだよね?その人とは上手くいった?」


(え?貴方ですけど・・・)


「あ、それは、これからというか・・・あの、私、」


 遮るように秀一が話す。


「俺たち、同じクラスになってからベストカップルって周りがからかってたの知ってる?」


(うん?なぜそんな話を?っていうかもう吐きそう!)


「それで俺、鈴木さんが入学した頃から好きな人がいるって告白を全部断っているの知ってて。俺と噂になったら申し訳ないなってずっと思ってて。」


「え、そんな。申し訳ないなんて、そんなの私がむしろ・・・!」


「とりあえず、前からそれは謝ろうって思ってたんだ。ごめんね?」


(やだ、ちゃんと訂正しないと。そんなことないって!私が好きなのはっ)



「・・・秀一君なんです。」


「え?」


(ああああああ!もう無理!走って逃げたいっ!)


「だから!私のそのすきな人って言うのは秀一君なんですってば!」


「ああああああ!!!言っちゃった!!!!!」



 思わず心の声の予定が声に出して叫んでしまった。


 薫子が尋常ではない慌て方をしたのを見て、秀一もつられてパニックになったように口を開いた。


「え?ええ!?だって、入学したての頃って、俺たち全く接点なかったじゃ・・・」


「あーもう!始業式のスピーチからだから!おかしくないの!」


(あーもう何やってんの!やけくそ感すごいじゃん、私!)


「あの、これ!手紙です!」


 そう言って、無理矢理彼の手に手紙を押しつけて、薫子は逃げ出した!


「断りの返事とか聞きたくないから、行くね!」


 そう言って涙目で走り出す薫子。


「ま、待って待って!ちょっと!待ってって!」


 すぐに追いかけてきた秀一に腕を掴まれて捕まる。


「やーーーだーーー!もう無理ーーーーっ!!!」


「待っててば!なんでそうなるの!俺も好きだってば!」


(・・・へ?)


(なんで?そんな話信じられない・・・)


 ついに座り込んで泣いてしまった薫子に、ゆっくりと秀一は腰を下ろして静かに言葉を続けた。


「鈴木さんの好きな人が俺だなんて思わなかったんだよ。ごめん。」


「同じクラスになって、話すようになってからずっと好きだったよ。1年の頃から綺麗な子がいるって気にはしていたし。多分俺も3年間ずっと、鈴木さんに片思いしてたよ。」


「え?だってだって、好きな人は松崎先生で、それは尊敬って意味で、、だから他に好きな人はいないんじゃ・・・?」


「なにそれ?誰になにを聞いたか知らないけど、俺が話す女子って鈴木さんしかいないのわからなかった?」


「ぐすっ、だって委員だから、じゃ、ないの?」


 後に薫子は語る。鼻水を垂らして泣く美少女は、美少女であっても好きな男に見せる顔ではないと。


 ひどい顔で泣きはらした薫子に、苦笑して秀一はこれ以上説明することを諦めた。


「ああ、とにかく!俺は鈴木さんが好きだ。付き合ってくれないかな?」


(ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!)呼吸が犬のそれである。


薫子「は、は、はいっ!!」


  「いいいい、良いんですか!?それ本当ですか?」


秀一「本当です。笑」

  「せっかくだから、鈴木さんの気持ちも言ってよ。」


薫子「えっ!!?」


秀一「だから、その。好きだとか。聴けたら良いなって。」


薫子「て、手紙にしたためてございます!おおお納めください!」


秀一「えー、そう言わずに。笑」


薫子「ええ・・・?」


  「う~・・・・・す、好きです。」(めっちゃ小声で)


秀一「よしっ!じゃあ、みんなのところに戻って本当のカップルになったって報告しよう!」


薫子「この泣き腫らした顔でですか?」

  「・・・秀一君、ちょっとSだね。」


秀一「そうかも?泣いてる鈴木さん、ちょー可愛いし。」


(!!!!!!!???)


 心臓が痛い。目も鼻も痛い。




 後日、初めて念願の彼氏となった秀一の家に行くと、部屋に飾ってあったのは秀一が盗撮した私の後ろ姿(ピンボケ)であった。



 こうして、こじらせ3年両片思いはようやく成就した。




 



 

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